ポラロイド120をベースにシノゴの1眼式RF機を製作



ポラロイドの120と云う機体はポラロイド社がアメリカで生産していた110型の後継機種としてヤシカと提携して製作したカメラのようです。
ロールフィルム形式のポラロイドフィルムを使う形式でかなり早い時点でフィルムの供給が断たれたようです。
多分1960年ごろの恐ろしく頑丈なカメラですが今はただの置物。

僕もこれまでに結構な数のポラロイド120をシノゴカメラとして改造してきました。
その記録の一部は以下に記載がありますがその後も同じような機体を何台か製作しています。

RF45の製作
RF45-TYPE2


さて、今回は岐阜県にお住まいの人生の先輩(と、思います)「岐阜YASU」様から拝領した機材の中に
またもやポラロイド120を発見したので手を加えてみることにしました。

同じく拝領品の中に、初代マミヤプレスが入っておりましたのでファインダーを頂き、1眼式レンジファインダーのシノゴを製作してみましょう。
これまではポラの距離計と組込式の自作ファインダーの2眼式、つまりピントをRFで合わせた後にフレーミングファインダーを覗く方式です。

今度は明るいファインダーを眺めながら中央の二重画像合致でピント合わせができるのでスナップ撮影が快適でしょう。



先に完成状態の左の機体とオリジナルな状態のポラロイド120です。
初期的改造にはポラロイドのファインダー機構を利用しますので上側の切り取が遠慮がちになります。
ポラ120のファインダーのいちばん上のファインダーは視野ファインダーですので
これを切り取って下の2個のRF機構の間に入れて始末するのが以前の僕の手法でした。
このオリジナルのレンジファインダーは精度が悪く調整してもすぐに誤差が発生する欠陥もありました。

今回はこのファインダーは完全に取り払ってまったく新しくなりますので
シノゴのフレーミングができる最小、最軽量の形を追求してみましょう。



上のコの字の金具は距離系部分を切り取った初代マミヤプレスの残骸。
下の部分が切って捨てたポラロイドのバックフレーム、これだけで1kg以上有ります。
これらはスクラップとして処分する部分です。



蛇腹機構の周辺をすべて切り取って周りを木材で囲います。
マホガニー材の周辺にさらにもう1枚マホガニーで囲い込む形で咬み合わせ強度も増します。



マミヤプレスのレンジファインダーブロック。
距離計連動カムなどは全く構造が違いますのでポラロイド側のストロークとか
マミヤの方の機構を慎重に観察してリニアライズなどもどこで補正するかなど検討します。
またハーフミラーは新しいものと交換しましたのですっきりとしています。



ポラロイドの距離計軸に1,5mmのピアノ線をロウ付けします。



ファインダー部の底の必要な個所をくりぬきます。
そして、距離系のスパン調整のためにファインダーブロックを左右微調整できるように正確な長穴を2か所。
なお、左右スラストで測距スパンが決まったら固定ピンを打ち込んで狂いが出ないようにします。
スパンとリニアライズは測距プリズムの接触機構部で微調整できます。



マミヤ側を90度開いておりますが先ほどのポラロイドのスチールピンがマミヤのナイフエッジを駆動します。
マミヤの底は平らに削っています。



マミヤの測距プリズム楔を駆動する機構は手動調整で2次曲線の補正カーブを構成できるように
上の方の4個の虫ネジで近距離側から無限大までのスパンをリニアライズできます。
メーカーとしては工作精度未完成の過渡的なものだったのかそれとも1台1台精密に合わせられる機構を選んだのか?
なにはともあれ、一品料理制作にはありがたい構造です。



途中経過は単なる木工作業ですのでパスします。
一応完成して、これが折りたたんだ状態。
ファインダーは横幅は視野100%ですが上下がシノゴの縦横比より少し狭いので
左右に半透明赤マークを入れて縦横比を認識するようにしています。



横から。
ゴムのフードをつけたまま収納できます。



反対側から
3脚取り付け座は縦位置横位置につけています。



上から見てみる



後ろから
ここの部分はFUJIFP452?のバックフレームを利用して国際規格のホルダーが付けられます。
したがってシノゴの6連写、ポラロイド45などのパックが装てんできます。
ファインダーは∞から1mまで連動し、パララックス補正は手動でファインダー補正。



重量1.33kg、レンズYASHNON1:4.7 127mm f4.7〜90
シャッター SEIKOSHA-SLV(B・1〜1/500)


試写

我が家の2階から、フィルムはシノゴです(f:8) efke ASA100。



上の写真の700mほど先の高圧鉄柱部分の部分拡大です。
後方の山はおよそ10kmほど離れた距離で鉄塔の上あたりの若杉山山頂にはパラボラアンテナなどがあります。
10km先の山肌の樹木の盛り上がりなども見えるようです。



最短1m(絞り開放f:4.7)
鏡の50cmほど手前にカメラを置いて、左右逆像に写りますので画像処理で反転しています。
夏バテ気味で疲れ切った見苦しい面体申し訳ありません。



中国製612ホルダーに中国製ASA100120フィルム「上海GP3」を装填。距離2m(絞りf:5.6)
白い棒に2重像を合わせ撮影しています。



距離5m(絞りf:5.6)
白い棒に2重像を合わせ撮影しています。

END

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