Ihagee Duplex cameras 9×12cmを4×5、Range finder cameraにする試み
このカメラメーカーはドイツのイーハーゲーで1920年に発売開始され、その後20年間ほど製作された息の永いカメラです。
同じドイツ製でフォクトレンダー社製の有名な「ベルクハイル・手札」とほとんど同じスペックです。
ダブルエクステンションのフォールディング ベッド乾板カメラ、所謂大手札といわれるサイズのカメラですが
シートフィルムもキャビネ1/2というシートフィルムを少し切り詰めて使うことも不可能ではありません。
しかしそのサイズのフィルムも販売しているのを見かけたのは既に2年ほど前が最後で、以後見かけません。
そこであと僅かのサイズですから現行大判カメラ用で一番小さなサイズ、シノゴに変換するアダプターを作りました。
ここまでですと本体には一切手を加えることはありませんが、
目測式か或いはピントグラスと差し替えて獅子舞をするかしかないわけです。
レンズはゲルツのトリオプラン 15cm f:3,5 という大きな直径44mmもある明るいレンズが付いています。
感材の感度が低い時代のレンズの明るさは重要な意味を持っていたと思われます。
ベルクハイルのヘリヤーがf:4,5でしたのでそれに対抗してみたものと思います。
3枚玉でこのように明るいレンズの性能がいかなものか興味津々です。
なお、イーハーゲーは後のハッセルブラッドのお手本になったといわれるプリマーフレックス(6×6)を製造したメーカーでもありますが
このプリマーレフに付いていたf:2,8のトリオプランを以前所有していましたが、これも素晴らしいレンズでした。
よくご存知と思いますがエキザクタもこの会社の製品ですね。
シノゴ用の変換ホルダーをあっという間に製作したので既にシノゴの6連写パックを背中に背負っています。
finderはフレームfinderとグリコのおまけみたいな小さな反射finderです。
いささか頼りないですね。
このカメラをRangefinder Cameraにしよう
今年は距離計連動カメラばかり手がけましたので4台目で打ち止めと思っていたのですが
このカメラを眺めているとまたもや悪い虫が騒ぎ始めたのであります。
距離計としてはカールツァイス製、ポラロイドカメラ用の距離計ブロックが転がっています。
同じ手札サイズカメラに糸を掛けて距離計連動にしたのを思い出しましたが
今度は2度目ですからそれなりに進化しないと面白くないですね。
そこで完全に機械リンケージでちゃんと収納も出来る構造にならないか検討してみました
1回目のレンジファインダー改造機はこちら
1回目のものはアマチュア的発想の糸掛けでしたが、今度は完全内装式で考えることにしました。
前後するベッドの動きを距離計に伝えればいいわけですが、レールベッドが90度折れ曲がってレンズボードを
畳み込んでしまうのですからどこかで切り離し機構を考えないといけません。
先ずはボデーの横に穴を開けてベッドの最後部がフタを閉めたときにどのような振舞いをするのか観察します。
蓋を折りたたみ始めるとベッドの最後退位置からさらにまだ10mmほども僅かに上昇しながら後退するのがわかります。
距離計自体の振舞いは60度ほどの旋回でその範囲以外では動きは規制されてしまいます。
つまり、レンズボードの前後移動と距離計の間でどこかに範囲外の移動が発生しても無理なく逃げる機構を考案しないといけません。
近接側ではレンズボードがどんどん離れていけばいいのでメインの伝達アーム(上記真鍮アーム)は
後ろからバネで前にあてがって摺動し最短距離(約1m)からベッドが離れていったらおさらばすれば良い訳です。
実は無限大側が大変なのです。
ベッド最収縮時からさらに畳み込みにしたがって10mmほどもアームは後退します。
そこで上の写真のNTカッターの先の辺りに関節をつけて膝を折り、これは折りたたみの際の逃げシロとなります。
横壁の皮を剥ぎ取ってアルミニュームの地肌が出ています。
下のほうで左右に穴を開けてベッドの移動を約38mm検知します。
アームなどの機構をカバーする為に周辺をマホガニーの木をくりぬいた壁で囲います。
ファインダーの当に木材を使っていたアイレス35 II型の話が脳裏をよぎりますがなかなかいい考えでしょ?
レンズボードのスラストが38mmに対して距離計側のアームの支点を13mmのところに持って行くと
写真のような位置関係のところでばいりるが変換されます。
最終的に中央のプレートは上下スラストして最適位置でロックします。
これは最短1mの時のアームの位置です。
レンズボードは1mより伸びると距離計から切り離して前進できます。
これは無限大の位置です。
メインの大きなアームは関節部を曲げずに距離計を最大限に押し込んでいます。
レンズボードを収納して前の蓋を折りたたみます。
アームは下側の関節が折れ曲がっているのが判りますでしょうか?
製作する上で非常に難しかったところはこの関節部のバネの強さとメインアームのバネの釣り合いでした。
下の関節部のバネは二重掛けにしています。
それと距離計との接続部(画面中央辺り横移動部)のカップリングでお尻が円弧を描いたナットと
バックラッシュを防ぐスプリングで構成していますがうまく行きました。
ブライトフレームは画角に合わせて切り直します。
中央部の指示とパララックス補正フレームを表示できます。
オリジナルは0.3mmほどの真鍮板ですがそれを利用してスリットを切り込みます。
これは中央位置の表示の様子です周辺のフレームがデジカメの能力不足で見れません。
視野倍率は0,7程度であまりよくありませんし、でかいレンズと蛇腹でケラレが出ます。残念。
完成した真正面
ケース右側が左より10mmほど厚くなっています。
この際80年の張り皮は山羊革に新調してあげました。
あまり役に立ちはしませんが反射finderと赤い水準器。
80年以上前の水がまだ抜けずにちゃんと生きています。
絞りの値が3.5-4.5-6.3-9-12.5と
f:3,5をスタートとした昔の表記が使われていますね。
レンジファインダーの上に事務用クリップを改造した折りたたみアイピースをつけています。
これで視野率80%ぐらいのSportsfinderとなります。
完成重量1.35kgとなりました。
試写
先ずはポラロイドカラーで写してみます。
これは距離計をつける前、物差しで距離を測って撮影。
絞りは開放(f:3,5)です。
これから下は
僅かにシアンが強かったので補正しています。
義母を連れて郊外の知り合いのところに枝豆の収穫に行きました。
引っこ抜いてはさみで葉っぱを切り取ると多いのは一株に100粒位も付いてきます。
10月だというのに汗ばむ暑さでした。
こんな風に葉っぱを取ってしまいます。
畑の持ち主、はにかんで蚊顔をあげてくれません。
似たような画面ですが
6枚撮影、そのおしまいですが・・・絞りを調整するのを忘れていました。
大失敗の2段オーバー写真ですがなんだか大正時代の風物のような写真でしたので・・・オマケ。
枝豆の奥の白いのは盛りを過ぎた蕎麦の花です。
END
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