Voightlander Bergheil 手札版フォールディングカメラを変身させる
2017/06/09

歴史的に希少な本体になるべく手を加えずにシノゴサイズにして距離計連動機にします。
レンズは銘玉Helliar1:4.5 150mmです。

初販は遡る事104年前になるそうです。

これは蛇腹を最大に伸ばしたところ、
レンズ交換はバヨネット方式です(たぶんこれが世界最初のバヨネットレンズマウントでしょう)
フィルムが廃判の手札サイズですから少し大きなシノゴにします。



ファインダーの接眼部と露出計算表のプレートを外して距離計部のメカベースを固定します。
赤い矢印のところにM8のネジ穴を作ります。
此処だけが本体に傷をつけるところになります。



カメラ内部のレンズボードの移動を距離計にに伝える軸、M8ねじを切っています。
軸受けはマイクロボールベアリングを2個使っています。
上の写真の赤い矢印部に装着しています。



2mmのアルミベース板の上にカム類が取りつき始めたところ。
中央の穴あき軽量化カムの軸受けもマイクロボールベアリング2個、
距離計(カメラの上に転がっている)との連接部にもベアリングを入れていますので
合計5個のボールベアリングを使いました。
蛇腹と本体ケース内の1.5mmの隙間から距離計連動棹が見えます。
この棹は最短距離1mぐらいのところです、無限大時にはほとんど引っ込みます。
なお距離計のベースにはマミヤプレスのジャンクから頂戴しています。



このカメラはクラップ式で前蓋のレール部は90度折り畳まれてしまいます。
そこで巻き尺のスチール板を前の障害物と突き当てて連動しますが
折り畳むときには連携が外れて隙間に折り畳まれる仕掛けです。
仕上げ塗装前で巻き尺であるのがよく判ると思います。



左のファインダー周りをぐるりと取り囲んだパララックス補正用のワイヤーは三味線糸です。



暗い室内から窓を覗いていますが実際のブライトフレームは明るいです。
距離設定で自動的に補正移動します。
視野率は95%ぐらいです。



これは手札サイズのフィルム部をシノゴ(約10p×12p)に拡大するためのプレートです。
光路を広げるために16mm程広げながらバックさせています。
アルミ板とマホガニーの板を組み合わせて工作します。
バルクハイルのスライドレールにそのまま装着脱できます。



シノゴの部分は国際規格にしていますのでいろんなホルダーが使えます。
シノゴ以外にブローニーフィルム、最大6×12pも使えます。



ファインダーのカバーは台所のガスレンジ周りの修理をした際に不要となった鉄板を流用しました。



右側は比較のために置いたスーパースピグラです。
何れも距離計連動ですがベルクハイルはレンズ交換には距離計が対応しません。
一方スーパースピグラはレンズの焦点距離に対応したカムを装着しますがチューニングしないと精度は不確かなようです。
負け惜しみのようになりますが1mから無限大の距離計精度とパララックス補正機構では今回のベルクハイルが勝ちます。

完成仕様
RFベルクハイル45          1.83kg
スーパースピグラ             2.76s  
  スーパースピグラは RF ベルクハイルの1.51倍の重量。




距離計の精度とか光線漏れなどを観察するための1枚目の試写。
右のカメラの左角にカメラの距離計を照準しておき、その平行面に自分の顔を配置して
2台のカメラの間に張った糸を引くとシャッターが落ちる仕掛けです(自写装置?)。
左手と被写体のカメラから降りている細く黄色い紐が見えますか?
被写体の人がいないというのは本当に不便です。

フィルムは1999年に期限切れになったFujichrome64T(タングステン光専用)を冷凍保存していたもの。
劣化しているのではないかと露光オーバーにしたのと現像処理の不具合などで妙な色になっています。




最初の試写でフィルムの劣化はほとんどないことが分かったのと現像処理を変更してみました。
夕日の木洩れ日のアジサイ。
中央下側のアジサイにピントを合わせています。

F 8.5 1/2sec

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