距離計つきスポーツファインダー搭載・軽量シノゴ製作。


事の起こりは、シノゴのフィルムバックの部分を使うためにたくさん仕入れたジャンク証明写真カメラFP−452が余っていたのと
随分以前からお酒を計量する「一合枡」が転がっていたからです。
この二つをなんとなく並べていて、ふとこれに広角系の明るいレンズをつけてスナップカメラが出来ればいいな。
ついでにRange finder が付くと面白いなぁ。
と、まあいい加減な発想でのスタートです。


これのバックと筒を使おうかと。
このレンズやストロボは使えませんですね。筒っぽとフィルムバックの部分だけ頂きます。



前を切り捨ててグリップをあてがい何かの距離計を仮に載せただけ。


一合枡を古いグラフレックスのレールにガムテープでくっつけてヘリコイド。


ここで然る写真家様に、この悪戯の内緒話を持ちかけたところ・・・
話はとんでもない方向に走り始めました。

まず、「グリップは要らないよ、縦横振り回し難いじゃねーか。」
「ファインダーはスポーツファインダーだねぇ、そして距離計連動がいいなぁ。」


オイオイ!そんな距離計機構なんて見たこと無いぞ

だからさぁ・・・人のやらないことやらなきゃ面白くもなんとも無いぜぇ。」 

うーん、よくまあ無理難題をスルスルと思いつく人だなぁ、
素人はナポレオンと一緒で不可能という文字を知らないんだからぁ。
と・・・口の中に飲み込んで、よーしやってみようじゃないか。
広角で明るいレンズはございませんか?

そうしたらニコンの105mm、f:3.5がヤフーオークションでするりと送り込まれてきました。
ただし69用ですからシノゴですと周辺が少し暗かったり歪んだりしますが構いません。
これはかなり高価なレンズですからもう後戻りは出来なくなってきました。
上の写真では既にニコンのレンズは一合枡に装着されてしまいました。



中が一合枡なら外は一升枡だ!と・・・いうわけには行きませんがそのイメージでプラスチックの周辺を
チーク材でぐるりと一巻きしました、なんだかノンベーの喜びそうなデザインだなぁ。


前を塞いで繰り出しの具合を見ています。
横は以前製作したポラ改シノゴRFですがこれは距離計とファインダーが別々の2眼式レンジファインダー機。


こんな感じにしようかなぁと半田でフレームをイメージしてガムテープで貼り付け。
既に距離計の機構は進行中。
中央下側に全反射式上下像スプリットイメージで制作中。
透視像と同じ無着色では紛らわしいので金色鍍金のハーフミラーを奢ることにしました。
これで反射率は少々落ちますが距離計イメージは黄色く着色されていますので視認性は高いと思います。
2個のミラーを表面反射ミラーにして光路のどこかに透明着色フィルターを使ってもいいことです。


まだカムは搭載していませんし、ミラーの傾きを微調整する機構なども未完成ながら、
下に見えているのは1合枡のエッジの直線動を回転角に換えるアームです。
接触部はオイルレスメタルローラー式、上下を貫通する部分には2個のボールベアリングを使っています。


このようにMonoblockとしましたので組み立てたまま上の穴から挿入取り外し可能で
メンテナンス性と安定度は自称「抜群」です。


そろそろカムを製作する準備に入ったところです。
円盤に回転角度をマジックでメモしたりいい加減なことをしています。


一応カムを切り出して取り付けてヤスリで微調整ですが、削りすぎたら廃棄ですから慎重に進めます。
フレームファインダーもステンレスシャフトで上下スラストできるようになりました。


機構的にはほとんど完成しましたのでホットシューを2個、アクセサリーシューを2個取り付けます。


ベルト通しをL型に2面に渡ってL型に付け、三脚穴も2個。
ストロボのひとつはファインダーの中から発光する事になりますね。


一旦解体して塗装を開始。
合成漆(カシュー塗料ではない)の朱赤と黒で塗り分けました。
漆塗りの枡とは目出度いですねぇ。

一応完成となりました。
  
右手側側面                          正面                           左手側側面



上面から

側面の写真でファインダーの保護カバーが前傾しているのにご注目。
スポーツファインダーで前方を見たときカバーの屋根が一番視野を邪魔しない角度です。
前後はアクリル板で素通しですが屋根は真鍮板0,8mmを使っています。


ハイ!ポーズ。


ところでこの前代未聞のファインダーを覗くとどう見えるのか興味のあるところだと思います。

実際は手前のアイピースに眼をくっつけるのですが写真撮影のためにカメラを少し離しています。
、中央の箒の柄がわざとピントをずらしているので上下が左右方向にずれていますね。
下側は視認性を上げるため金色ミラーで着色されています。

慣れれば両目を開いていてもRANGEファインダーのずれを調整できます。
まぁ、欠陥を云えば画像の下のほうにスプリットイメージを置いてファインダーの背丈を低くしたので
ファインダーパララックスとでも云うべき遠近差で上下像のズレが発生します。
これを解消するには正しいアイピースの位置ではなく、ズーッと下の隙間から正視すると上下ずれはありません。

アイピース側の覗き窓がぐらぐらするのと直径がでかいので眼の位置がシフトすると誤差になります。
アイピース側の○穴を縦長の窓にすると節穴覗き見たいですがあまりいらいらしませんですね。
このあたりは実際使いながら使い勝手の良い方向を模索しないと仕方が無いですね。

仕様
レンズ Nikon NIKKOR-M 105mm1:3.5
シャッター COPAL 0 T・B 1〜1/500
フィルムサイズ シノゴ(4吋×5吋)
焦点距離範囲 最短80cm〜∞
本体重量 1.5kg


試写


ボールの右上の薪にピントを設定 開放1:3.5  1/60 フィルムは14年前に期限切れのネオパンSS


f:4〜5.6 1/60 ネオパンSS


廃材置き場と思って近寄ったらでかいワンコがものめずらしげに・・・、4mほどまで近寄ってこれまた開放にて
アンヨを狙ってピント合わせしたのですが後脚のほうにきているようでもあります。
右側2個の引っかき傷はフィルムホルダー通称「ガチャガチャ」のトラブル。

END
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