ペンタックス67用リンホフボードベローズ


2007/9/24

永いことカメラいじりをしていたので古典鏡玉とでも云うべき明治大正時代のレンズとかあちこちの引出しに眠ってしまっています。
インターネットで知り合った友人がそのようなレンズの試写をされますとついこちらもムズムズしてきます。
ところがボデーが老朽化していたりフィルムサイズが特殊だったりで不自由します。

そこで一念発起、機械としては完全に安定領域のペンタックス67をボデーにいろんなレンズ遊びができないか?
なるべく簡潔に遊べるように今回アオリとかは一切付けません、本当に使いたかったら大判で使えばいいのですね。
レンズは国際規格?大判では定番のリンホフボードを介して装着します。

レンズの範囲は105mm〜210mmと云うところにねらいを付けてジャンク箱を漁ってみるとペンタックス35mm接写用の
ベローズが出てきました、ストロークは170mmほどもあります。

ペンタックス67とはどのように接続するか?
普通ですとバヨネットマウントのついた壊れたレンズや中間リングの金具を利用するところですが生憎手持ちがありません。
製作に一番手を喰いそうなバヨネットマウントも自作してしまえ!それなら廃材でタダに近い金額で作れる。
素人作業ながらフライス盤を使って現物合わせの製作開始、何せ年金老人はタダと云う言葉に弱いですねぇ。
「ハイハイ・学校」などにもすぐ行って手を挙げるのだろうなぁぁ・・・笑
良くしたもので天は我に味方する、以外と上手くできてしまいました。
あとは接写ベローズのパーツと組み合わせ、蛇腹を作ってはい出来上がり。


工作中のボデー側、ペンタ67バヨネット部



ちょうど入荷した洋吟(ヤンピー)0.3mmの裏側、
サイズは子羊1匹約1m平方ですがマジックでマークしたところはピンホール。
こうしておけばピンホールのないところや、差障りが無ければ目潰しをして使います。
この羊吟は0.25mmほどの平均厚でしたのでピンホールは多かったですね。
薄いに越したことはありませんがあまり薄いと歩留まりが悪いですね。



CADソフトで蛇腹の矢紙をプリントします。
単なるA3の紙にちょうどプリントしてこのまま使うことにしました。



上の紙を切って色に合わせて山折り谷折り。
このあと艶消しラッカースプレーを吹いて黒くします。
ラッカーで紙自体も少しコシが出てきました。



簡単なように両面テープで矢紙を貼り付けることにします。
全面に貼るよりは要所要所に貼る方が結果がいいようです。
腕に自信があれば全面糊付けしたほうがいいのかもしれません。
端っこが斜めなのは折りたたんだ時に糊代が積み重なって一か所だけが嵩張らない様にするためです。



矢紙に折り癖がついていますのでそれをなぞって折っていきます。
糊代が斜めに逃げているのがわかりますか?
遮光性も十分なので羊吟の裏にA4のコピーペーパーを張り付けただけの2層構造ですが
これで10年ぐらいはへっちゃらですよ、遮光は完全に羊吟の仕事です。

なおこの蛇腹はテーパーなしの大きなサイズですから非常に簡単に仕上がりますが
普通のカメラ用のテーパー蛇腹の製作は恐ろしく大変な作業と根気が要ります。



バヨネットは非常にスムーズに装着、取り外しができました。



リンホフボードを付けて最短105mmぐらい。



これが最長270mmぐらいまで伸びますか(まだ採寸していない)



逆向きから。



バヨネット部の完成。


その日の内の試写会



1 左上は5インチソフトフォーカスレンズ WALLENSAK VRITO f:4.8 FOCUS5”
この焦点距離のベリートは後にも先にもであっていませんし文献にも掲載されているのを見たことがありません。

実はデトロイトにお住まいのある会の知合いの方からご教示を頂きました。
ウォーレンサック社の1919年カタログに記載がありましたが、f:6となっています。
直径なども全く同一な様なので絞り羽根を最大f:6にしたのかもしれません。
これを拝見していて思い出しました、この手の対称レンズは前玉を外せば絞りは1段暗くなりますが
焦点距離が延びるのですね、このベリートの場合は10インチと記載がありましたので試してみました。
この新作ベローズで被写体との距離3mまでは調整範囲になります。
67で10インチ(25cm)のレンズですから3mでも充分被写体を大きく写せます。


2 左下はDallmayerl LONDON PENTACF/2.9 PATENT
たぶん大正時代の大口径レンズでf:2.9は非常に明るい方になります。

3 右上はエンサインカーバイン(69サイズ)についていた単玉レンズ。
エンサインカーバインには距離計まで付いた高級機までありましたが
これは絞りやシャッターの後ろに張り合わせレンズが1枚の一番低級機の玉です
絞りはF:11からとなっていますがフード外しでF:6.8ぐらいから使います。

4 ALDIS-BUTCHER ANASTIGMAT1/4.5 5INCH FOCUS
この頃まではカメラの最先端機の製造は大英帝国の時代で、素晴らしいレンズが作られていましたね。
そののちドイツのカメラ工業がが隆盛になり木造カメラの時代も終焉を迎えていきました。


ちょうど完成の夜に月下美人の花が1個だけ咲きました。

1本のフィルムに2コマずつ撮影しました、焦点距離がそれぞれ違うので前後にカメラを移動しています。


1-1 WALLENSAK VRITO f:4.5 FOCUS5” F:/解放


1-2 WALLENSAK VRITO f:4.5 FOCUS5” F:/8



2-1 Dallmayerl LONDON PENTACF/2.9 PATENT F/解放(2.9)



2-2 Dallmayerl LONDON PENTACF/2.9 PATENT F/8



3 エンサインカーバイン(69サイズ)についていた単玉レンズf:6.8ぐらい
フィルムの給送が不調で画面が切れました。



4-1 ALDIS-BUTCHER ANASTIGMAT1/4.5 5INCH FOCUS F/4..5 開放



4-2 ALDIS-BUTCHER ANASTIGMAT1/4.5 5INCH FOCUS F/8

END
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