5台目のシノゴ2眼レフ完成

最初はスピグラをベースにスタートしたシノゴ2眼レフシリーズも今回で5台目の開発となりました。
然るお方からこのレンズ(クセナー135mm)を使って製作して欲しいと依頼を受けての製作です。

今回はファインダーに工夫を凝らしてみました。
WISTAのシノゴ用ピントグラスを検討してみたところ、1枚のアクリル板の一面に梨地加工をし
その反対面をフレネル加工してあります。

ハッセルブラッドのファインダーなどで経験することのできるすごく明るいピントグラスと良く似ています。
無理やり欠点を探してみると少し空中像に近く感じ、ピントの山が掴みにくいような感じもなくは有りませんが
なにせ貧乏人ですから実はハッセルブラッドなど畏れ多くてあまりまともに覗いた記憶もない実情ではあります。

4号機ではピントグラスの裏側に細工をしましてパララックスを、ピントグラスに影で遮り調整する方式を採用しました。
これですと暗い被写体の場合、パララックス移動による影なのか暗い背景なのか境界がはっきりしない欠点がありました。

それと、今回採用する予定のフレネルレンズはあまりにも輝度が素晴らしく最大15mmも発生するパララックスを
影で作ると最短距離では上下画面の下方向が15mmも蹴られてしまい画角に歪を感じることになります。
そこで一計を案じフレネルレンズ自体を15mmほどもスライドさせられないものかと・・・

図体が大きいので上下レンズ間も71mmと66サイズの2眼レフなどよりもパララックス発生は大きくなっています。
∞〜最短距離は1,2mまでパララックス自動補正可能な設計をして見ました。
カメラ自体の最短撮影距離は約0.9mまで寄れますがパララックス量は急激に変動しますので
ここは妥協してピントグラス移動は距離∞から1,2mまでをカバーするところで止しました。
レンズボードが繰り出されて近距離側に焦点を合わせると中に仕組んだアームの働きでピントグラスは逆方向の
後方に向かってスライドする仕掛けを工夫しています。
ここで一番重要なのはフレネルレンズどころかピント面が前後に移動しますのでここにガタがあるとピント精度が狂ってしまうわけです。

今回は製作途中の工程は省略します。
なぜならば基本的には4号機とほとんど同じような構造なのです。
フレネルレンズのスライド部は製作したあと図面化を試みて見ましたが却って図面が難解で頭をひねってしまいました。
現実にはなかなかうまく動作していますのでこれで良しとします。
それと4号機まではピントグラス面の位置調整で上下ピント微調整をしていましたが
今回はスライド機構などが組み込まれたので反射ミラーの位置・角度微調整で調整する方式にしています。


レンズはご注文主様からお預かりしたクセナー135mmf:4.5です。
今回ストロボ用のアクセサリーシューは左右に各1個ホットシューをつけています。
さらにレンズボード上にストロボ用ホットシューを追加しようということになりましたが常時前面から4cmほどの
突起が出ていることになり、見苦しいので必要に応じtr準備する脱着方式にしました。

前面にはふざけてMUTOFLEX TYPEVとラベルを貼ってみました
(此処と下方に間の抜けた空間が出来てしまいましたので)。



レンズボードに12mm×40mm幅の突起を常設しました。
ここに別置のホットシューを3mmローレットネジで固定します。
サイドのホットシューのほかにシンクロターミナルを増設しましたのでそこへ配線します。

4号機は2000grを辛うじて切ることができました、今回は2250grと約10%重量が嵩みましたがそれだけの成果はあると思います。。
レンズのフランジバックが125mmと、予測より10mmほども短いので
レンズボードを10mm後退というかめり込ませなければならなくなりました。
そのためにレンズボードの形態は4号機よりもがっしりとした感じに仕上がり、ここで重量が増加しています。



これはストロボを取り外したところ。
ラベルはこれを使うつもりです。
Mutoflex XLV つまりムトーフレックス 45です。


無限大位置での右側面



最短撮影位置での左側面(蛇腹は2重蛇腹です)。
こちら側のホットシューの後ろにシンクロターミナルを追加しています。



試しにスピグラと並べてみました。
スピグラはレボルビングが出来ますので少し背丈は大きく、2階建てのMUTOFLEXと近い寸法ですです。
レンズのついていないスピグラですが重量は2,5kgありましたので2,25kgのMUTOFLEXのほうが10%軽いのです。



無限大位置でのピントグラス、最前進しています、レンズは当然最後退の状態ですがピントグラスは最前進です。
なお、写真撮影のためにフードは撤去していますが明るい太陽光の元でこの明るさで見れます。



これは最短距離でのピントグラスの最後退した様子です、レンズボードは最前進しています。
ピントグラス面に直射の太陽が差し込んでいますが明るいですね。

当然フレネルレンズの上には透明な硝子板があり手を触れたりルーペを落とし込んでも良い様に保護しています。


試写


これはポラロイドでの最初のテスト。


柵の上を歩く子供、子供って遊びを発見する才能が素晴らしいですね。
ガチャガチャ(シートフィルムホルダーの愛称)に装填した期限切れのプラスX(ASA125)


ガチャガチャを大袈裟に2回引いて・それからシャッターをチャージして・大急ぎでピントを再調整・はいレリーズ。
結構速写もできるものですねぇ、と・・・自画自賛。



今は亡き私の師(僕が勝手に師と仰いでいます)、星野次郎さんのご霊前に完成報告に行ってまいりました。
星野さんは反射望遠鏡製作の日本第一人者で、お作りになった反射鏡は星野鏡と呼ばれて有名です。
ほかに、戦前から蒸気機関車の製作を手がけられ見事な蒸気機関車や蒸気自動車を製作されました。

星野さんご愛用であった工作機械が今僕の手元で活躍し、この写真機も完成しました。

帰り際に星野さんの奥様を1枚撮影させていただきました。

END

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