EPSON GT-X900フィルムホルダーを作る
2015/01/31



私のフィルムスキャナーはEpsonのGT-X900を使っています。
エイトバイテンもスキャンしますので唯一無二のスキャナーだと思います。
ところがこれをお使いになった人はおそらくすべての人が不満を持つと思われます。
フィルムを保持するフィルムホルダーが実に不満の元となるのです。


今回の製作は実に地味なもので製作の時期も遅きに失するものでしょうが古い機種が生き返り
更にメーカーの最新機種のホルダーよりもこちらの方が優れていると自己満足しています。



これは純正のホルダーですが華奢なプラスチックフレームなので折れたりしたところはこれまで骨接ぎしたりして使っています。
メーカーではGT-X900用は早くから供給停止したという事ですが実はGT-X970用とは互換性があるらしいので不親切です。
そしてオークションではいまでも新品のホルダーが結構なお値段で取引されています。
それとブローニーサイズではアンチニュートンリングガラスを使用したものがアメリカ製で販売されているようです。
彼の国ではそれを使うのが常識だとか書いてあるのを見かけました。
フイルムの装着はフィルムを案内ガイドに乗せておいてアンチニュートンリングガラスで押さえつけるだけ。
そして、135フィルム用は販売されていないのではないでしょうか?

私の考案したものは装着が簡単、135フィルムもアンチニュートンガラスに貼り付けるので平面度が確保できることです。
張り付けたものを
裏表反対にひっくり返すところが最初は非常にスリリングですが少しも不安定ではありません

アンチニュートンリングアクリル板を使って平面性を出そうとするのはGT-X980で採用されていますが
プラスチックであることの傷や埃の影響、さらにはフィルムと取込レンズとの間に有ることが気になるところです。


アンチニュートンリンガラスで試験してみたところフィルム膜面と取込レンズの間に
アンチニュートンリング処理のガラスが介在すると処理面の影響が出ます。
アクリル製のアンチニュートンリング処理についてはまだ拝見したことがありませんので何とも言えません。
私の考案はフィルムよりは光源側にアンチニュートンリングガラスがあることでその影響はほとんど無視できます。




これは僕が製作したホルダー、

まだ試作1号機ですから改善するところが出てくるでしょう
左側のフレーム1個で135とブローニーのセッティングを兼用します。
フレームの上側中央が135とブローニーの識別装置です。
それと純正では右手に2個の旗のようなものが出ていて位置決めしますが
私の製作したものは硝子板の右奥側にフレームを持って行くだけで位置決め完了です。
なお、フレームにガラスプレートを装填する際はフィルムと抑えゴム磁石側が下側の位置になる必要があります。
つまりセットして上の光源側から見るとアンチニュートンガラス面がフィルムより上側になります。

ライツ社のフォコマートも光源のコンデンサーレンズの下側のフィルムをアンチニュートンリングガラスで押え
ニュートンリングを抑制すると同時に平面を出しています、これですと画像に処理の影響は出にくいです。




これが135フィルム用フレームでアンチニュートンリングガラス製です。
フィルム幅は35oですので余裕を持たせて35,5mmの位置決めをして両サイドは0.1oのステンレス(磁性を受け付ける)板です。
フィルムを抑えるのはゴム磁石でテープ状のものです。

先にステンレスのエッジをを数ミリオーバーハングする位置にゴム磁石を張り付けていても0.13mmほどの厚さのフィルムは
ゴム磁石とガラスの隙間にステンレスと接着剤の厚みがあるので同じような厚みとなって出来ている隙間に収まります。
また両脇のクリアランスは1mmもない余裕なのでフィルムのミミの位置ずれは直ぐに確認できます。
ゴム磁石の抑えは自在にスラストしますので安心してマスクできます。
純正のホルダーでは6コマ×2本のフィルムを上手く騙しながら装着するのが一苦労でしたが
今度は1本のフィルムの耳を片側ずつマグネットで押さえつけるだけなので非常に楽だと思います。

フィルムとフィルムの間の銀色のものはステンレス板で粘着テープで接着されていて
フィルムの位置決めとゴム磁石の吸着をするところになります。

135用とブローニー用の2枚のアンチニュートンリングガラスにはゴム磁石を吸着するためと
フィルムの位置と幅を規制するステンレス板と周辺を保護する黒いテープが張ってあります。




これはブローニーを装着しかけて底面から見たところです。
平面性が確保できてしかも装着が簡単で一気にストレスが解消します。

フィルムはこの底面側に来るようにセットしなければなりません。
そしてフィルムの光沢面は上になるアンチニュートンリングガラスと密着するので、取り込まれた画像は左右反転になりますが
これはスキャナーの取込時の操作で直ぐに左右反転できるボタンがありますので簡単です。

フレーム4隅の楕円形に見えるところはフィルム面とGT-X900のガラス面との距離を微調整する位置で
フォローセットスクリューが用意してあり表側から90°で0,2o、1回転当たり0.8o調整できます。
本体の硝子板を傷つけないようにプラスチックの可撓性プラ板の下敷きが入っています。
一度セットしたらそれでおしまいなのですが引掛けたりしやすいので実用化にはここは作り変えないといけないようです。




これは135フィルムをゴム磁石でセッティングしているところですが左の方は片側しか止めていないのでフィルムがカールしているのが判ります。
右側は弓なりの出っ張り側(光沢面)をアンチニュートンリングガラスに押し付けた格好になり平面になっています。




EPSONの純正ホルダーは両脇だけの固定で平面度を確保するものはなにもありません。
フィルムが平面ではなくカールしているのが観察できますね。




不細工ですがこれがフィルムサイズの識別機構で、左右にスライドします。これは135フィルム識別マーク




これがブローニーフィルム識別マーク


硝子ベース面からの隙間調整。
メーカーでは出荷調整でフィルムホルダーを使う場合の隙間は3mmにセッティングされているのだそうです。
私は2,5mmから4oまでの範囲を調整できるようにしてみました。



おおきな画像ですが6×9の自作カメラでの撮影です。
もう10年ほど以前の江戸本郷界隈です。
アンシャープマスクなどは一切かけていません。

次に中央の鉄柱の中心辺りを部分拡大して硝子板とフィルム面のクリアランスを変えてみます。
取込解像度は全て3200dpiです。
全体写真は圧縮していますが下の比較画像はピクセル等倍のままで切り出しています。
スキャナーの画像取り込みソフト上のアンシャープマスクを弱くかけるとおそらくみな同じになるでしょう。




2,5mm



2,9mm



3.3mm



3,7o


判り辛いほどほとんどフォーカス位置にあるようですがよく観察してみると2,9mmの画像が一番ピントが来ているようで、コントラストも出ますから3oで正解でしょう。



飛び立つ鳩 makina67  NIKKOR 1:2.8/80
f:5.6 1/125  2400dpi APX100をISO400に増感、現像液はTMAXdeveloper(アンシャープマスク処理なし)
画像上部の空をトリミング。



中央より右側の部分

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