古典カメラ 主にクラップ・タイプ


新規入荷(2002/9)



左側は下の1項で説明するネッテルです。右が同じアトム版ゲルツのTENAX、大きさもだいぶ違います。
ちいさいネティックスはちょうど20本要りタバコのサイズです。
左上の写真の上にあるのが1枚撮りガラス乾版ホルダーです。


ゲルツのテナックスはレンズはドグマー1:3.5、75mm、
シャッターは今となっては大変珍しいエアーシャッターです。
1秒から1/250まであります。絞りも3.5〜32魔であります。
スローガバナーは歯車ではなく右下の横に光っているエアーシリンダー内のシリンダーを
左に引き寄せてチャージ、動作時はわずかな隙間から空気が漏れる時間遅れを利用します。
怖いような話ですが無音で意外と正確に動作します。
今回入荷した時点で動作していましたがまもなく動作が不確実になり洗浄注油でまた復活しました。
全面ボードは当時最新の材料、アルミニュームのため腐食で灰色になっていましたので、
往年の姿を再現するため光沢の黒エナメル仕上げにしました。

いまさらこんなのを写してみる者もいないとは思いますが、変なこと大好き人間です。アタックしました。

これまた珍しい名刺サイズのフイルムがFUJIから販売されています。これのちょうど半分のサイズがアトム版です。
ガラス板の代わりに背中に1mmの塩ビシートを入れておき、ここにATOMさいずに裁断したシートフイルムを挿入しました。
結果は、ご覧の通り光線漏れはありますが、漏れていない所はさすがゲルツの誇ったドグマーです。
1/100、f:12 上の黒丸や半円はシートにオ識別マークです、上下は端まで写りこみます。


コンテッサ・ネッテル Nettix 1919-1925
縦 60mm 幅 85mm 厚み 35mm 
小さなコンパクト写真機です。
撮影サイズ 4.5×6Cm


イカ・べべ(IcaBebe) ドイツ
1911-25
二つのサイズがありました、小さいほうは4.5×6、大きいサイズは6×9Cmです。
この写真機は大きいサイズのほうです。
Tessar 4.5が付いています。
シャッターはT B 1〜1/200までの旧コンパーです。

作 例(2002/9/5)
福岡市内、中央部に隣接する海岸の誰もいなくなった浜辺で遊んでいる若いカップルに出会いました。
これほどの古いカメラですと面白がってモデルになっていただきました。

幸せそうなカップルを発見

自転車からは音楽が流れています

お二人の写真を・・・

それ写るのかしら?

縦画面で撮ればよかったのですが・・・少しピントはずれですね。
何時までもお幸せに 有難うございました。


テナックス   ドイツ
1912-25
Coat Poket Tenax このカメラも小さいサイズがありました。Vest Pocket Tenaxです。
少し大きくてベストのポケットには余るので、コート・ポケットと命名されたようです。
レンズはお家芸の名レンズ ダゴールと、この固体についている DOGMARf=4.5 10Cmのバージョンがあります。

開くとき、ヌーッと4本の腕木が立ち上がるさまは、
ちょうど犬が飼い主を見て伸びをしながら立ち上がるさまに似てほほえましくなります。


アンゴー ANGO ドイツ
1905-35?
30年にわたって作られた息の長い写真機です。
すでに1906年のカタログに、先進のセルフキャッピング機構が付いていると書かれているそうです。
つまり、フォーカルプレーン・シャッターを巻き上げるとき幕は閉まってセットされます。
それまでは幕は開いたままセットされるので2重露光を避ける為、撮影後まずはフイルムや乾板の保護が必要でした。
現在偶に現れる機体もシャッターは動作する物が多いようです。
ご紹介するこの固体は手札サイズでレンズはダゴール 135mm f=6.8
前板の下部が破損して修復中です。
レンズは左右と上下にスライドできます。(シフト&ライズ・フォール)




アンゴー大中小
左は前出(4)のアンゴー手札版です、中央はキャビネ版、右端は大陸版
シャッターは優れものですが他にレンズ交換などの楽しみのないカメラでとてもスマートとも云えない作りですので
すぐにレンズを抜き取られてしまいます。
可愛想なので三台並んで撮影しました。



CURT BENTZIN(クルトベンツィン フォールディング・レフレックス)
1912 ドイツ
この時代このような大型の1眼レフを如何に小さくするか、主にイギリス・ドイツを中心に
とても奇抜なアイデアが競われました。
この手札サイズの写真機も畳んでしまうと思いもかけない小ささになります。ミラーもピントグラスも
格納時にはフォーカルプレーン幕と平行に垂直に並びクラップ式の腕を畳むと見事に隠れてしまいます。
この複雑さが命取りで完動の姿をとどめている機体は少ないようです。

この固体は私の所有物ではありません、友人からフォーカルプレーン幕交換、ピントグラス交換
レンズ絞りのトラブル修正と難題を吹きかけられて当分居候しています




MURER&DURONI Reflex(6.5×9Cm)
1920 イタリア
イタリア製のカメラはあまり見かけません。大変珍しいと思いますので故障していますが掲載します。
機構は大変簡潔ですがほとんど歯車等を使用せず(3個)カムだけで構成した感があります。
つまり、イタリア人の独創性は充分に見受けられると思います。
独断ですが光学製品はもともとイタリアやフランスで発達していたのではないかと思います。
イタリアはもともと家具や楽器などで優れた品物を世に送り出していたので写真機が作られてもおかしい話ではありません。
この一眼レフも他のまねをしていない立派な製品だと思います。
メカの簡潔さ、特にレボルビング部の工作など惚れ惚れする物であります。
レンズはMurer Anastigmat f/4.5 120mmが付いていたとのことですが私の手に入る前に
誰かの手によってむしりとられているのが残念です。
撮影のためにダゴールをあてがっています。
サイズは高さ15Cm×幅、奥行き共12Cm 重量1,2Kgです。大変コンパクトな部類に入ると思います。


MiroflexB(859/7)
1927−36 ドイツ 
ミロフレックスAもあります、A はフイルムサイズが6.5×9 Bは9×12Cmです。

ドイツがカールツアイス財団を発足して最初に発売となったカメラです。
コンテッサ・ネッテルの名称で財団発足前に作られた物も僅かながら存在するようです。
カートベンツィンなどと同じく折りたたみ1眼レフですが
前述のイタリアのミューラー等とは比べ物にならない精密さで全金属製です。
SLRとしても、またスポーツファインダーを使ってのクラップカメラとしても使える構造ですが重量が2.5Kgにもなります。

2台の写真のうちメカニズムがむき出しなほうが前期型です、後期方との違いはフレームファインダーの
針金が折りたたみで180度回転して収納しますが後期では垂直に引き出す方式です。
もうひとつフードカバーのアクセントに縦2条のラインが付いた程度で機構は変わりません。
前期型は故障して私のところにお預かりしている物ですがドイツ人のものすごい設計に頭を悩ませるところです。
お国柄というかドイツ人の設計になる機構には偏心カムなど日本人になじみにくい構造が今も多く使われています。