雑 記 帖
その2
1眼レフのペンタプリズムのミラー汚損は修復できるか
然るBBSで話題になったのですがペンタプリズムのミラー蒸着剥がれした物を再生すると
4000円で引き受けてくれる…と
僕は大事なカメラだったらそれは安い料金だとは思うのですが・・・
こんな話を聴くと実験したくなるのが悪い病気です。
1 手元に転がっていた立派なペンタプリズムを先ずは塗料の剥離材で剥がします。
2 今度は銀鏡剥がしです、高級なプリズムは銀蒸着、安いのはアルミニューム蒸着です。
硝酸をぶっ掛けましたが特に反応なし、 さてはアルミかと今度は塩酸をかけようとしたら蓋が古くなっていて
なかなか取れず、怖いのも手伝って薬品で溶かすのはあきらめました。
そこで、今度はセリュームで研磨、途中面倒なので金剛砂10000番も使いました。
ここの作業はまじめにやらないと中途半端では最後に泣く事になります。
まだ屋根の中央稜線に黒い部分が少し残っています。(1番ミラー)
3 構造は下からの光線を上の斜めになった屋根状のミラーで斜め前下側の2番目のミラー
(名前があると思いますが判りません)に折り返します。
そこは覗き穴というか?-アイピース側の正面ですからここで人間の目に到達します。
この正面に見える長方形の部分が人間の目と正対する私が勝手に命名した、自称2番ミラーです。
4 いますべての銀鏡を剥がしていますがミラーをあてがって見るとこの2番ミラーに銀鏡をあてがうと俄然反射して見えます。
つまり、1番ミラー(屋根)は入射光と反射光の照射角が割りと深いのでほとんど全面反射してくれるようです。
5 普通、蒸着剥がれを起こすのはこの屋根の部分が多いと思いますので屋根だけを完全に剥がして2番ミラーは
大切にする手もアリですね。
6 注意 ミラーの形状は色々バリエーションがありますので天頂の屋根が重要な場合もあると思います。
7 2番ミラーだけに0.3mmほどのポリカーボネート製のハーフミラー
(完全ミラーが良いに決まっていますが手持ちの都合で)の蒸着面をはって見るテストをします。
鋏で必要な寸法に切って、透明な長時間硬化エポキシの脱泡を充分にした物で接着します。
脱泡はヘアードライヤーで練り合わせたエポキシを時間をかけて暖めて行います。
これをミラー面に薄く塗り、然る後にミラーの蒸着面を貼り合わせて完全に平らなものに強く押し付けます。
樹脂が厚く残っていたりすると平衡ではなくゆがんだ画像を見る事になります。
プラスチックミラーですから高温にしないと作業出来ない高価なバルサムは使えません。
2番ミラー部に接着中のポリプロピレンミラー
ここは本物の表面鏡を貼るのが一番いいとは思いますが・・・
いま、少し斜めになっていますが硬化までに時間があるので修正できます。
8 完全硬化ではありませんが天頂部分は透明のままで様子を見て見ます。
右端の3色ボールペンの先が上下さかさまになって見えますか?
天頂部は何もしていませんが結構反射しているようすが見えますか。
部分拡大、プリズム部だけですがピントがプリズムに合ってしまったので逆さボールペンはボケていますが・・・
天頂の1番ミラーの回りからはあらゆる方向からの光線の影響があるはずですがさほど影響はないですね。
これが硬化しましたら天頂部のミラー2面を順次貼る事になりますが稜線のところをよほど注意深く作業しないといけないでしょう。
面倒な場合は黒い塗料で塗りつぶす手があります。
間違っても普通の銀色塗料は使えません。
ミラーの代わりに銀色の塗料が塗れればいいのですが、残念ながら一般の塗料ではそれは不可能です。 光の波長よりも小さな粒子の塗料であれば可能ですがさて?特殊塗料ですからお値段は如何ほど? 思い切って、黒い塗料を塗ると明るさは落ちますが鏡面は保てます。 結論、 やって見てもいいですがかなり大変ですのでやはり4000円の再生業者さんの御世話になるのが 一番近道と云うことをお伝えしたいためのお話でした、 オソマツ |
その1
モノクロ現像液の話 D76補充液方式 秘伝のタレ
私は既成の現像液をずっと使っていましたが、あるときシュテックラー処方に出会ってからその安定性の良さと経済性にほれ込んでいました。
ただ、大判の皿現像を暗黒中でやる時やドラム回転現像の際のA,B二度交換の煩雑さが気になり始めましたのでD76液補充方式で使ってみようと思い立ちました。
昔から広く実践されてきたことですから取り立てて言うほどのものは何もありませんが私なりに思いついて工夫した事などを記入したいと思います。
私は自家調合ですので補充液も調合しましたが市販に補充液処方があるかどうかはわかりません。
その場合の補充液はオリジナルのD76でもいいと思います。
むしろそのような方式の方が多いとおもいます。
(注)最近は専用補充液ではなくD76そのもので補充しています。
したがって、この補充の仕方は我流でやっていますのであくまでも一例として読んでください。
D76処方
水(50℃) 750ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 100g
ハイドロキノン 5g
硼砂 2g
水を加えて 1000ml
D76R処方(補充液)
水(50℃) 750ml
メトール 3g
無水亜硫酸ナトリウム 100g
ハイドロキノン 7.5g
硼砂 20g
水を加えて 1000ml
左のボトルはD76 原液をを満タンに詰めたペットボトルです(醤油のボトルかな?)。
キャップはネジ式では無いので暗室で紛失することがなく重宝しています。
ここで重要なことは1000mlではなく満タンにしてしまいますので多分1150mlほどになります。
1 全くの始まりは原液現像を2回ほど使用します、液は捨てません。
2 3度目あたりの使用で、初めて使用した液の一部を30ml〜50mlほどを捨ててボトルに戻し、残量の空間をD76で埋め合わせします。
35mm2本の時は50ml〜70mlを捨てて補充と云う風に特に厳密な決まりはありません。
ボトルの内壁の沈着物は多分銀の結晶と思われますが差し障りはなさそうです。
3 一定の現像時間を守っていても少し薄くなってきたら液の交換量が不足していると解釈して次回から新液を多くします。
特筆すべきは右側の補充液です。
私がUPしているのは味の素のサラダオイルの詰め替え用550mlの袋と言うかボトル?です。
これで1000ml入りますが補充液はどんどん中身が減りますのでこのように柔軟性のある袋で完全に空気を排出することで酸化を防止しています。
補充液の残りに空気が入るとものすごい茶色になります。
問題は口が細いので新液を注入する場合に苦労しますが注ぐときは30mlずつぐらいしか吐出さないのでその点は楽です。
また一部透明なので中の状態がよくわかります。
(私は専用の小さい漏斗を用意してビニールチューブで袋の口と結合していますが50ml交換の場合でも約20回現像出来ますから面倒とは思いません)
マヨネーズのボトルもポリエチレン製のようでぎゅっと搾り出せて空気を排除できそうですね。