振子時計でア・ソ・ボ

2016・01・01


終戦直後、柱時計や目覚まし時計が壊れると修理職人さんが家々を尋ねて修理をして廻っていました。
小学3,4年生頃だったか我家の壊れた柱時計を職人さんが縁側で見事に解体して軸穴の楕円形になったのを
鏨で叩いて穴を狭め、もう一度真円に整形して丸い箸のようなもので仕上げ研磨して再組立て給油をして動くようにしてくれました。
僕はその手法を真剣に頭に叩き込み、今度は自分でやってみせると心に誓ったのです。

それから半世紀どころか70年近くもそんなチャンスには恵まれませんでしたね。

本業の電気設計業をたたんで、趣味でカメラ工作をはじめたのですがこれも一段落。
昨年5月に日本カメラ博物館に作品6点を寄贈、永久保存されたからか?・・・
何か気が抜けてしまったようで鶏卵紙印画をやって見たりするのですがどうも落ち着かない。

オークションでふと見かけた500円の壊れた振子時計が少年時代の出来事を思い起こさせました。


    
30日巻ですから振り子時計終焉の頃の製品でしょう
全く動かない、ぜんまいを巻くカギ?がない、外装はヒビだらけです。


  
ぜんまいを巻くハンドル・カギ?を製作。


   
メカニズムは綺麗なものです、機械的性能は最後の時代で完成度が高いのに電気時計や水晶時計に追われて憐れな末路。
洗浄と給油ですぐに動くようになります。
むかし決心した軸穴の修正など出番はありませんでした。



外装があまりにもお粗末ですのでマホガニーの突板でお化粧します、突板を貼って乾燥中です。



メカ部分は少し欠品を補ったりしましたが素直に動くようになりました。
文字盤の真ん中はくり抜いてスケルトン仕様にしました、動くところが大きく見れますので面白いですよ。

振子の前のガラスはカットグラス工法なのですがなんとなくダサいので透明にしリブを4本立てて
バックには鶏卵紙プリントの旧北海道庁を貼りましたがこれはあまりよくなかった。



針はスケルトンに対して黒では視認性が良くないので赤にしました。
時針の先端には8mmほど細い針を足しています。
今チューニングしているところです,
短期的には1日10秒程度の誤差で安定しているようですが
これから気温や湿度などの長期誤差要素がいっぱい出てくるでしょう。
時報は時打と 30分毎の1回打ちです。


END

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