スペシャル・ルビーをトロピカルに(69版)
SPECIAL RUBY Tropical convert69
2004/11/7
大阪の先輩から手直しを頼まれたスペシャルルビーですがミラーを普通の鏡に付け替え、
シャッター幕を手入れして一応動作するようにして差し上げていたのですが
遊び終えたのでやるよとの、ありがたいお言葉で当家に出戻ってまいりました。
自分のものとなると少し考えがあります。
スペシャル・ルビーといえば当時のベストセラー写真機ですから今でもよく発掘されます。
そこで、この機体は使うカメラとして復活させようと思います。
まずは外装の革張りですが、これはすでにかなり痛んでいますので張り替えるのが一番なのでしょうが
いつもながらどうも皮を加工するのは苦手です。
そこでいつもどおり張り革を全部はがして中の木目をそのまま磨き上げることにしました。
この手の写真機はチークとマホガニーを主材に使っているのが多いので意外ときれいになるものです。
メーカーで最初からトロピカルモデルとして作ったものは木材の吟味から加工方法までまったく工芸品としての完成されたものですから
本当のトロピカルタイプにはおよびも付きませんが・・・まあ気持ちよく持ち出せる写真機にはなります。
lensはjena・tesser 18cmが付いています。
レンズボードは凹型でメーカー純正と思われますが無限大ですとだいぶ繰り出さないと
合焦しないのでたぶん15cmぐらいのレンズ用のボードです。
これですと絞りを調整するのは困難のきわみです。
これはピントフード周りを水に漬けて膠で貼り付けてある革を剥がしているところです。
あまり長時間ですと木組みそのものも分解しますので様子を見ながらの作業です。
剥がし終わったら風通しのいい日陰で乾燥させます。
日向で乾燥させると木材が反って大変なことになります。
革を剥がしてサンドペーパーで軽く磨き再度パーツ類を仮止めしています。
木ネジの長さは千差万別ですから小さなポリ袋に機能毎に分けて保存します。
革で保護されていた内装の木材は意外ときれいですが丸鋸のあとが残っていたりします
材質は素晴らしいので丁寧にサンドペーパーでツルツルに仕上げます。
これは反対側ですが、当時最新の素材「アルミニューム」を使っている部分があります。
本来は張り皮に隠れていますが塗装するのも大変ですし見苦しいので
ここはジャカルタの友人から頂いた貴重な2mmのマホガニー材でカバーします。
なお、この機体のボデー材料はチーク材が多いですね。
砥の粉で目止めをしたあと、塗装は透明うるしで仕上げました。
内部機関ですが布幕とリボン、ミラー以外はしっかりしています。
給油もミシン油を直接給油します。
これはミラーを100円ショップで購入した普通の手鏡でごまかしています。
実は手札版のガラス乾板を使う構造なので乳幕面はレンズに近いのですが
今回は69ロールホルダーを使いますのでフイルム面が後方にバックしそうなのです。
すると、ピントグラス側も上方に逃げざるを得ないわけでして・・・
ミラーの反射面が少しでも深くオフセットしてくれると助かります。
ちなみに1.5mmの表面鏡でしたから計算では1.5×√2≒2.1mm逃げたことになります。
その分フイルム面がオリジナルの位置よりもバック出来るということです。
バックの部分はロータリー式にレボルビング(縦画面、横画面切替)できる構造なのですが
フイルムホルダーを装着する為極力薄く仕上げた、ところが・・・
完成、試運転中の操作でばらばらに壊れてしまいました。
1 肉抜きのしすぎ。
2 素材の風化、マホガニーは100年もしないうちに風化するのでしょうか?
とにかくホルダーと一体に接着すれば解決する話ですがホルダーはまた脱着可能にしておきたいので
添木と接着で何とか解決しました。
ウイスタの69ホルダーを装着したバック。
ジャバラやフードは赤いビニールレザーで製作。
ジャバラ内部に遮光紙を張っていますのでコニカの赤外フイルムでもOKでした。
今回金具類は塗装剥がし、バフがけの手を省いて黒エナメル仕上げでお茶を濁しています。
側面の木ネジがたくさん出ているところも2mmのマホガニーで目隠ししてしまいました。
(シャッターダイヤルの手前側の出っ張りです)
あ!!レンズはとりあえずというか古典ソフトフォーカスレンズのVERITO 8・3/4inchをメインにしようと
思っています。オリジナルのTessarも平面ボードを作らなくてはいけません。
アルミニュームの露出していたところもマホガニー材で張りましたのでまあまあ綺麗になりました。
さすがにベリートは真鍮鏡胴ですから重たいですね。
ほぼ完成のときに机の上から転落事故を起こし繰り出しレール部が折れ曲がる惨事も何とか切り抜けました。
繰り出し部の下のほうに白く細い木材が見えますか?これはヒノキ材レールを打ち込んで補強した跡です。
これは期限切れ赤外フイルム(コニカ2000年3月)f:4開放1/1000(多分1/500ぐらい)フイルターなしでの試写。
ピントはドアミラーあたりを狙っていますが、この手のレンズは被写界深度が深いですね。
オリジナルで付いてきたTessar 18cmです。
凹ボードでは使いにくいので平面ボードを急遽製作。
フランジボードを後ろ側に持ってくると無限大までピントが合いました。
VERITOと30万番台のOld TESSAR の試写。
Tessar(No399856番)1:4.5 f=18Cmはもともとオリジナル(original)で付いていたlensです。
VERITOはWOLLENSAKのDiffused Focusで8in.3/4 Ff:4です。
まずはTessar f:8です。
VERITO f:4と5.6の間 さすがにソフトすぎます。
f:5.6です
同じくf:5.6
この位が良い様でもありますが光線の具合でかなり変化します。
END
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