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トロピカルにレストア

古いモロッコ革貼りの汚いカメラを修復しようと思いついたのが
内部の上質な木材、マホガニーやチーク材を十分枯らしてありますので
思い切って革を剥いで羨望のトロピカルカメラの真似となりました。

ところで、トロピカルの語源について私なりのご説明をします。
昔木製のカメラが発達したのは英国が中心でした、明治時代は植民地を求めていた背景もあったと思いますが
探検ブームでした。当然,乾板が使えるようになった写真機が出番となります。
熱帯地方に写真機を持ち込むと黒い革貼りの写真機は虫たちの好む食料となりますので、
虫も食わない堅牢なマホガニー材が使われ高級ニス仕上げにしたようです。
また蛇腹も黒いと蝿が好むので赤い色にしたといわれています。
当時の感材の性質からも赤い色で充分熱帯の照りつける太陽に対処できたでしょう。

ところがこの仕上げが当時の王侯貴族の好むところとなり、
初期の目的よりは工芸品として、もてはやされて発達していったものと思われます。

初めて製作したトロピカル1号機
エンサイン・レフレックスA型
見る影もない姿に、思い切って手を加えました。
このカメラにはトロピカルモデルはない物と思っての
思い付きからであります。
このカメラは明治末に発売されましたがなんと
昭和初期、メーカー自体が売れ行きの落ち込みを
回復する為トロピカル仕様を販売しています。

なんとなく贋作くさいので少し嫌気が差しましたが
仕上げは漆塗りでナカナカの物と思います。
現在大阪の先輩のところにおいてあります。
現在レンズは先輩のダルメイアーがついております。

グラフレックスJR
レトア前 
鼠に齧られています

カワハギの状態

ばらした部品一式

これは左のモデルの
完成写真が見つから
ないので・・・別のレストア
機体です、スミマセン。




















2台のトロピカル・グラフレックス。

左にあるのは2×3サイズRBグラフレックス・ジュニアです。製造時期はおよそ1915〜18年
アマチュア用のレボルビング(縦横画面を回転切替)機能の付いた機種です。

右側はRB4×5スーパーDグラフレックス1948〜58年グラフレックスの最終版です。
いずれもまさに廃棄物ともいうべき無残な姿で私の所に現れました。
幸い、左のモデルは上部ハンドルを古いズボンのベルトで製作して、黒くなったいぶし銀の鍍金も洗浄と
研磨で昔の面影を再生できました。
右のモデルは割りと新しい戦後のタイプですが酷使されて上部の蓋は取り除かれ全面のフレームもモクネジの穴が
無数に明いていましたが、ラッチ金具類やハンドル部を製作して上記のような状態になりました。

新しくなった、それぞれのプロフィールを以下に示します。


23グラフレックス

2×3グラフィック正面と120ロールパックをつけた後面




6×9ブローニーフイルムを使えるようにロールパック(サクラ=小西六)を装着しています。
これで、我が家の在りし日のペット、ジローを撮影しました)


45グラフレックス



4×5吋の現在の国際規格のシートフイルムパックが使えるように改装しています。

もともと画面が暗いのでボシュロム・テッサーを開放絞りで使えるように自動絞りとしました。
オリジナルの機種でも自動絞り機構は生産されていましたがこの機体にはレンズなど付いていませんでしたので
手動絞り式のボシュロム・fテッサーを加工して、シャッターをレリーズした時に電気的にソレノイドバルブを
作動させて、初期設定絞り値に絞りを回転させます。

なお、蓋の部分や周辺の金具類は自作しました、本来は蓋の部分はアルミニュームで黒い革張りです。
レンズ保護カバーもアルミニュームに革張りですが革の代わりにチーク材の薄い板を使っています。
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