ミノックス引伸ばし機の整備
                                                             2004/6/2

 然るお知り合いの方からのご依頼でミノックス引伸ばし機のメインテナンスを引き受ける事になりました。
到着した物を観察して見ますと、6Vの電球を使う構造なのですがトランスが取り去られています。
ランプもありませんのでここは入手の容易な自動車に使う12Vの電球を使用することにしました。
規定では6V−5Aの電球となっていますから12Vですと-2,5A=30Wと云うことです、
このほうが電流値も半分ですから電線も負担が少なくてすみます。

トランスはあり合わせの物で、台座の下にぴったり納まる物を見つけました。
電球は自動車用品の売り場で12V−23Wの物を見つけました。

もう一つ、フイルムトンネルのところのパーツが欠品です。
これはものすごく重要な部品なのですが物がありませんので、こうであろうと云うことを推測しながら
製作するしかありません。


小さいですね、フレクサレットが大きく見えます。


先ずは簡単な所から、電源ソケットはヨーロッパ規格と思われる物凄いものでしたのでパソコンなどで使っている
3Pアース付きの物にして、白っぽいのがトランスです。
支柱の中を通り抜けて電線が通ります、輸送の際にはこの支柱は外したいので中継ソケットを使いました。


右がヘッドカバー側です。電球は12Vに変更しました。
左側はフイルム側ですが、先ず散光の光源をフロストのレンズで拡散平均化しています。
奥に少し赤い物が見えますが、これは赤い安全フイルターで内に巧く内蔵されています。


ランプハウスはヒンジで繋がれていますのでピンを抜いて分解したところです。
右手が引伸ばしレンズでフイルムの下面と接するアパーチャーは鏡面仕上げで、ごく僅か湾曲しています。
つまりレンズとフイルムキャリアーが一体なのですね。
赤い矢印で示しているところが紛失したフイルム圧板を受ける金具のようです。


Aと記入した矢印の部分がフイルム圧板を0,5mmほど下げてフイルムを密着させます。
普段は僅かな隙間でフイルムが移動出来ます。
Bのレバーは支柱とヘッドをロックするレバーでここのバネが不具合でロックが不完全でした。
ここには別に強いばねを挿入して動作を確実にしました。


製作した金具の底面です。フイルムと接触しますので僅かなアールを持たせてバフ掛けをしました。


これは加工中の金具の表側ですが試行錯誤中ですのでまだ汚いです。
最後に黒い塗装をします。


メッキしていませんので真鍮色のローレットのかかった部分が製作した金具です。
手前に引き抜けるようにしています。


ミノックスの後ろに黒いのがライツのフォコマート1Cを一番下げた状態です。
ミノックスの方は精一杯UPしています。
本当に可愛いですね。
構造的には完全にフォコマートを抜いた精密製品です。

ミノックスカメラを持ち合わせていませんのでとりあえず手元にあったミノルタ16QTで
写真を撮って見ました、そしてミノックス引伸ばし機に・・・

ミノックスって画面サイズが8mm×11mmだそうですが豆カメラミノルタ16の画面サイズは
17×12mm喪あるのですね。つまり丁度ミノックスの2倍の画面面積です。

普段、ミノックスと16mmのカメラは同じようなものだと思っていた自分が恥ずかしくなりました。


ミノルタ16で撮影したものの半分の面積をキャビネサイズに引伸ばしたものをスキャンしましたので
あまり意味はありませんが。

つまり、ミノルタにして見れば半分にトリミングされていますし、ミノックスに謂わせればミノルタごときカメラと
一緒に論じて欲しくないというところでしょうか。