VIEW ARCOのファインダーを再現してみる(View Arcohと命名)
2013/04/10

JFCという写真機愛好クラブの会員で山形県在住の友人がここ九州にお見えになり初顔合わせとなりました。
そしてお土産に頂いたのが珍しい「ARCO35J」です。
非常に個性のあるカメラで、僕も以前入手していたのですがファインダーブロックが欠損した状態のジャンク。
仕方なく自作で∞から35cmまでの最短距離まで連動する仕掛けにはして見たものの特徴的な平べったい
ロープロファイルなファインダーにななっていない「みにくいあひるの子」だったのです。
お土産に頂いた機体はバッチリ完動品ではじめて正しい姿のアルコ35に出逢ったのでした。

さて、そうなると次に欲しくなるのはこのカメラの最大の特徴「ビューアルコ」という2眼レフ化ファインダーです。
何せパララックス補正なしのRFですと35cmの最短撮影距離でのパララックスは強烈です。
ファインダー視野の中央に見える物体は画面の一番上辺りに移動して視野上半分は消えてしまいます。

このカメラはそれを解消すべくレンズボードの上に4mmタップが切ってあって本体レンズの移動に追従して
アクセサリーシューを利用したレフビューファインダーボックスが装着出来パララックス補正を可能にし
ビューファインダーレンズには絞りも装填していたので被写界深度も確認できるという優れた構想でした。

しかし脱着式で欲張りな機能を精度良く再現するには複雑な機構を要求されたので高額な商品になった事でしょう。
そして35mm一眼レフが生産され始めたのでこのカメラそのものの存在意義がなくなってしまったのです。
売れ行きははかばかしくなかったと思われ、今となっては物凄い珍品価格なのだそうです。

で、その薄幸なビューアルコを自分の手で再現してみようという事になります。
とてもオリジナルのような高精度なものではなくあくまでも「VIEW ARCOのようなもの」であります。

どんなものだったのか参考にさせて頂いたのがこちらです。

http://nobrin7.exblog.jp/13435031/ へのリンク

∞から最短の35cm迄レフファインダーブロックが伸縮しながらお辞儀をしていくのが面白いですね。


左はわが家にあったARCO(ファインダーは自作) 右は由緒正しいペンネームトムさんから頂いたARCO35J




レンズは転がっていたバルナックマウントのテッサー50mm f:2.8ジャンク(という事になります)

ミラーとピントグラス部はミノルタSRT101のジャンクから抜き取ったミラーボックス部分をベースにしたもの。
フードの折り畳み機構は僕の技術レベルではとても作れそうにないのでルーペを固定したリジッドな機構。
名前はオリジナルのままでは恥ずかしいので少しもじっています、ARCO→ARCOH
一応完成、アクセサリーシューに挿し込んで4mmビスでレンズボードにねじ込めばいいのです。



35cm迄レンズボードが伸びるとここまでお辞儀をします。



無限大だとしゃっきりと起き上がります。単なる35mmの2眼レフですね。



サイドカバーをはずして見たところ
2か所のスライド機構があり、一つはミラーボックスを跳ね上げてレンズを前傾させる運動と
前傾するミラーボックスとボデー基準距離間を維持して旋回する運動を分担します。
夫々外径3mmのローラーガイドで案内しています。
本当はsinカーブと円弧を描く案内スリットが必要ですが略して直線運動にしていますので中間距離の所では
誤差の要因になりますが「・・・のようなもの」になれば自分の目的は達成したと思います。
オリジナルの構造が全く判りませんがおそらく僕の構想はあまり外れてはいないと思います。
一応完成はしたのですが少しスパン誤差が出ますので近接側で完全に合うようにしています。
誤差の原因と対策の目処が付きましたので修正予定です。
現状でもパララックス補正ファインダーという目的では充分だと思います。

今の世界に生きている私達から見れば一眼レフの存在でまさに一笑に付するような装置です。
デジタルカメラの出現で銀塩写真は風前のともし火となった変革の嵐にもてあそばされる今日。
「ビューアルコ」を設計して商品にした人達の御苦労の足跡を偲んでみたのでありました。



 35cmの最短距離で撮影したムギセンノウ(麦仙翁)
KODAK E100VS(自家現像)


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END