ウルトラワイドレンジファィンダー・シノゴ製
Handmade Ultrawide Rangefinder45


シノゴサイズのカメラで65mmのレンズと言うと35mmカメラで云うところの18mm相当になるようです。
先日、トプコンのシステムカメラ用の増設45アダプターを利用した素晴らしいカメラの整備を仰せつかって
無事整備完了、納品しましたところ・・・

「トプコンのシステムカメラ用の増設45アダプターをもう一個所有しているので遊んでご覧」との天の声。
「あのぅ・・・65mmなどと言う広角レンズはとても手が出ないレンズで手持ちの65mmは69サイズまでしかカバーしないのです」
と、返事をしてご辞退するつもりでありましたが・・・

「じゃぁ スーパーアンギュロン65mmがあるのでそれも送ってあげるよ」

ギョッ、整備させて頂いた機体は物凄く洗練されたデザインの逸品、こちらはどうすればいいの?
つまり同じレベルのものは技術的に自作できないし・・・

「そうだっ」とひざを叩いてこれならいけそうだ・・・
つまりこれくらいの広角カメラですとレンズは既にf:5.6とかf:8とかで暗いし焦点距離は短い。
ですから距離計なしの目測機がほとんどでそれで充分に事足りるのであります。

今年に入って69サイズのRangefinder機
「Report69」「Sports Rangefinder45」を生産したので
勢いに乗って今年3台目の
「UltrawideRangefinder45」をつくろうではないか!
無駄を承知のカメラ作りがこちとらアマチュアの真骨頂。
 
性能  縦180mm  横180mm  奥行120mm  重量、1,2Kg
レンズ Super-Angulon1:8/65 
 
撮影Rangeと距離計連動範囲  ∞〜0,73m
シャッターSYNCHRO COMPUR 1〜1/500
絞り  f:8〜64


こちらは整備お預かり品の機体、素晴らしく洗練された無駄のないデザインですね。
トプコンの45アダプターをベースに削りだしのアルミニュームフランジが見事です。
とてもこのような洗練されたデザインには完成しそうに有りません。


早速加工にはいりますが先ずはスーパーアンギュロンを装着する直進ヘリコイドを探さねばなりません。
ネットで調べるとあることはありますがヘリコイドだけで2万5千円!高い(と思ってしまう貧乏人)
何かないものかとジャンク箱の中を探してみることにします。
と・・・

古いタクマーレンズのストロークは6mm以上あります。
今回欲しいストロークは7mmほどですが先ずは我慢。
それよりもこのレンズをくりぬいて、でかい後玉が通過できるとは思えません・・・。


スーパーアンギュロンの後玉の外径は42,0mmなのです。
レンズ側から覗くととてもそんな隙間があるとも思えませんがうまくいくと刳り抜いたり出来るかも知れませんね。
レンズはカビ気ていてもう使うレンズでもありませんから分解してみることにしました。


もうひとつの正常なレンズの横に分解したペンタックスの金具類を並べています。
今回、使用するのは右下にあるヘリコイド部分だけです。
レンズそのものはフィルムルーペなどに再利用できます。
なんとヘリコイド部分の内径は42,100でした。
100ミクロンの余裕があるではありませんか、ラッキーです。
100ミクロンですとうすい紙も差し込めないほどの隙間ですから軸心を揃えるのは大変です。


調子に乗って固定リングを加工しようとしたら既に加工されて
0.*mmの薄いリング材ですから旋盤でうまくつかめません。
この通り、吹っ飛んで壊れてしまいましたのでこのフランジリング部分は新規に製作することにしました。


製作途中のRangefinder部。
距離計blockはヤシカのコンパクトな35mmRF機(ジャンクで既に型名不明)
から引き抜いたユニットです(フルスパン2mm程度)。
今回のレンズは6mmほどのストロークがあるので変換機構を作ってスパンをあわせる必要があります。

メインのfinderは証明写真機のfinderについていたでかい凹レンズを2個組み合わせ、
接眼レンズにはこれまた何かのカメラに付いていた接眼部を組み合わせました。
視野率は80%ほどで不満も残りますがこれまた新品で購入すると数万円しますので我慢我慢。


これがヘリコイドスパン変換機構です。
左下の爪がレンズのヘリコイド量を検知し。一番右の軸が支点です、距離計に伝達されるストロークは中央上部の
十文字ビスで距離計blockに伝達します。


いきなり完成に近づいた写真です。
実は製作過程を記録中のデジカメのデータを誤って消してしまいました。
距離計block自体も下側のプラスネジ2本で左右にスラストさせて距離レンジのスパンを最終的に調整します。


前面ボードと本体をばらした写真です。
距離計から裏側を通って突き出た距離計ピンは光路の邪魔をしないギリギリの線を抜けることが出来ました。
もちろん、分解しても何も悪い影響はありません。
ヘリコイドの隙間が100ミクロンしかなかったのでフランジバックの微調整のために
普通ですとシャッターのネジベース部にシムを敷き込んで調整しますがこの機体の場合は
この長四角いフランジ面にシムシートを差し込むように計算しています。
最初の予測では0.3mmのシムを入れる予定でしたが最終的に0.7mmのシムを入れて完成しました。


裏面からみたヘリコイド検知レバーの様子。
距離軽侮とのつなぎ目から光線が漏れるのを防ぐため蛇腹機構を羊の皮で作っています。
真鍮アームはハレーションを起こすので職毛布を貼っていますのでなんだか蓑虫みたいですが役には立ちます。


最短撮影距離は0.6mとしたかったのですが残念なことに0.73mまでしか行けませんでした。
距離目盛は実測値をCADでお絵かきしてメタリック粘着シートに印刷、ヘリコイドに巻きつけています。
その外側にアルミのフランジがネジ止めされていますがこれが新規に作った固定用フランジ部分で
まだアルミニューム削りだしそのままです。


距離計ブロックがあまりにも不細工ででかいので明るい色でごまかし、ツートーンカラーで細工してみました。
WIDE***の文字類は何の意味もありませんがここが単にクリーム色の塗りつぶしだったらと想像してみてください。


こちらに取っ手かグリップを付けたいですね。


昨日、100円ショップで購入した犬の首輪を装着しました。
金具はアルミの3mmLアングル材から加工したモノです。
これを眺めていたら以前飼っていた愛犬「ジロー」を思い出しましたので
「ジロー」にしようかなぁ?

 そういえば銀板写真の始祖はダゲールで1839年にそのプロセスで作り上げた始祖カメラは「ジロー・ダゲレオタイプ」でしたね。
そして丁度100年目の1939年に僕が生まれました(関係ないけど)
2039年にはまだ銀塩写真やっている人がいて欲しいです。


ファインダーのキャリブレーション
あんまり自信がないのでやりたくはないのですが」一度はやってみないとしょうがない。

ポラロイドで撮影した画面とファインダーで覗ける範囲の比較です。
ご覧の通り上側は覗いたとおりですが下側は覗いたよりは10mm近く余計に写りますね。
左右は少し左手が余計目に写るようです、なおシノゴの場合は白い枠あたりまで撮影範囲になります。
もう少し視線が下を向くように工夫してみます。


先ずはリークテストを兼ねたポラロイド試写

顔が最短の70cm程度でこんな時の距離計はありがたいですね。
パララックスを忘れていました。



PLUSXでの試写、お地蔵さんのお顔が少しばかり細面になってしまいました。
お地蔵様(お大師様かな?)までの距離は1,2m程度です。


世界最大を売り物の釈迦涅槃像
ながさ41m 高さ11m 重量300トンだそうです。
自由の女神像と同じくらいの大きさだそうですが胎内は確か納骨堂のようです。
この床の下も巨大な納骨堂になっていてエレベーターで上がりました。
猛暑の為に善男善女の人影もまばらです。
3mも離れたら距離計はあまり関係なさそうではありますがないよりはましかな?といった程度のようでした。


中心部拡大

END

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