スキャナカメラ(scanner Camera)マガジン式の2号機を作る
2010 12 08〜2011 02 02

やみくもに作った1号機で色々な事が判りましたので2号機はそのデータを元に発展形で進めたいと思います。



A コンパクトにすることで通常中版1眼レフカメラのマガジンと置き換えられる、所謂「scanner magazine」として設計する。
B やはりローコストであることを目標とする。


1 
製作の初めに考える事

  今回はEPSONのGT-S620を入手しましたのでそれで進めますがこれまでの情報を眺めてみますとGT-S620とGT-S630は
  どうも同じ基板を使ってあるようで、なぜかLED照明回路の定電流回路パターンが620ではCCDの横に配置してあるのに
  それを使わずわざわざサブ基板を使っているようです。
  620を製作した時点ではそこに何か問題があったのでしょうかね。

   実は2号機ではこの照明回路は一切使わず自作照明回路を用意する事でCCD周りのプリント基板を整理するつもりです。
 そうする事によってCCDの基板を25mm短縮できる可能性があります。
  630(620)のプリント基板は4層基板で構成されていますが裏表の両面基板の内層にさらに2面のパターンが走っているのです。
  これは外からは全く観察出来ませんので表面に実装された部品とそこでどのような回路が必要で構成されているかを観察し
  内層パターンを推測しなければなりません。
  迂闊な事をすると一瞬にして基板が回復不能の状態になる大博打でもあります。

   CCDの周りを観察しますと、幸いなことに照明制御回路は3個のLED列を1ブロックとした簡単な定電流回路を6回路制御しています。
  1個の定電圧ダイオードの作る定電圧を参照して13.5Vの電源電圧からそれぞれ3個直列のLEDを約20mA程度以内の定電流で
  点灯させています。LED1個の順電圧降下は約2.9Vですから電源電圧が変動してもおよそ9V・20mAになるようにトランジスタと
  抵抗1本で定電圧ダイオードの定電圧を参照して制御しているようです。

   フラットベッドスキャナーとしてはこの照明の安定度は重要な意味を持ちますがスキャナカメラとしてはスタートの一瞬だけ
  これから撮影する一齣のホワイトレベルの参照値であればいいので可変抵抗器を切りこんで可変にするぐらいです。
  LEDを過電流で壊さない様に電源電圧の最大値で可変抵抗を最小にしても20〜25mAを超えない直列抵抗を切り込めばいいのです。

2 CCD基板を切り詰めてみる
  
  実は1号機を作るときに図面も引かずにバラした基板をぶら下げて引き回し、
 工作機械の切屑などで悲惨な目に合わせた基板は通電試験が始まると次々にトラブルを起こして壊れてしまいました。
 その悲惨な基板を貴重なご検体さまとして細心の注意を払って切断腑分けいたします。
 定電流回路の構成はおよそ見当が付きますのでそれが当たっているかどうかの考察をします。
 まずは
電源ラインが1本、次にグランドラインが1本(1面)、それと通電指令の制御線が1本あるはずです。
 推測通り、裏表の両表面はグランドラインで構成されています、これは強烈なシールド効果でノイズ防止をしています。
 基板の固定の都合もあるので元々の固定ビス穴はCCDのほうに残して基板の端から25mm離れた場所を切断しますと
 内部の1面に0.8mm幅のパターンが2本通っていました。
 もう1面のパターンはやはりグランドラインで、2本のパターン(電源と制御)の周辺もグランドで囲ってありました。
 
この切断位置には重大なミスがありましたので後記します。


基板切断

GT-S620のLED照明部が中央から左側マジックで線を引いた25mm、これを切断して撤去します。
GT−S630も同じ基板のようです(最初に切断してみたのは壊れたS630でした)。


プリント基板の切断した断面ですが4層基板で目に見えない内側の層に1〜2の配線が見えますが線幅は0.8mm程度でしょう。
表裏に見えるグランドパターンが右側のスルーピンで内部の層の配線の両脇もグランドラインにしてあります。
この2本の配線は電源ラインと制御ラインで制御ラインでLEDの点滅をさせています。
昔、4層基板までは設計したのがすこし役に立ってこのあたりはCCDの信号処理パターンは走っていない筈という推測です。
実はスタート時にLEDが点灯すればいいという判断の誤りでこの切断に大きなミスがあり苦しむ事になりました。
実は写真右側「2」のパターンが必要なことが判明しました。
あとでで修正と反省の部分を記載します。




上がGT-S630のCCD基板をそのまま使った1号機です。
下の基板は右25mmを切り取ったCCD基板(GT-S620)です。
25mm以上切断できるかも知れませんが基板を固定するビス穴辺りまでは残しています。

なお
GT-S620と630のCCD基板は互換性がある事が判りました。
信号制御するメイン制御基板?はCPUのOSのバージョンが違います。
左側の制御信号線のFFCソケット2個を移動しなければなりませんが少し工夫を考えてみます。



FFCのソケットが前方に出ていて邪魔なのですがFFCを直に接続することにしたので不要となり、
基板を痛めたくないのでハウジングをニッパーで毟り取る事にします。
まず両脇を齧りとってマイナスドライバーで上下に広げてから少しずつニッパーでプラスチックを取り去って後でピンを1個ずつ半田ごてで外します。



FFCですが制御基板側kとLED基板の間を60cmほどで繋いでいます。
LED側のほうは割と折り曲げ加工などしていないので私の場合はLED側を22cm程切断してこちらを使いました。
木材の板材(桐の木箱の切れはしを使いました)にFFCの白色のほうを上にして置き、
加熱したはんだごてを横倒しにあてて樹脂を溶かしてリボンをスッと引き抜きます、決して半田ごてを動かしてはいけません押しつけているだけです。
すると樹脂の裏面は木材に残り表面も半田で溶解して2mmほどリボン線が出るように鏝を当てたのち
裏表を充分に半田メッキコートして1本1本を90度捻って縦向きに整列させます。
残りのリボンがたくさんあるので剥く練習を充分に行えますが別に難しい作業ではないです


FFCのすぐ脇にC33と記名された極少の表面実装コンデンサーがあります。
初期の頃作業中についうっかりこのコンデンサーを半田ごてで壊しました。
スキャナーカメラの大先達YAKUさまも同じ失敗をされたそうで以後エポキシで保護されたと聞きましたので
私もエポキシでモールドして作業を進めました。



非常に見苦しい配線ですが老人で目が悪いのでご勘弁。
下側のCN-1の配線はエポキシでプリント基板のエッジとエポキシで補強しますが
赤く識別したCN-2のほうはFFC1と両面テープで添わせると特にエポキシは必要なさそうです。
ベース基板と半田付けするリボン側の半田面ががT字型に直角なので半田が乗りやすく横とのブリッジの危険も軽減しました。
なお100μの電解コンデンサーは取り外して右下に折り返します。



タイミングベルトの端末処理
エプソンのテンションスプリングを利用してテンションを持たせます。
ベルトの終端は0.5mmのステンレス針金で折り返して縛ります、スプリング側はスプリングの一端でUターンして固定です。
左側に引っ張るための余長がみえています。
この方式は出っ張りが邪魔わするのが判りましたので最初に結束バンドで仮締めして
後で
ステンレスワイヤーで締めあげていく単純な方式に改めました。




CCD基板のスライダーとタイミングベルトの接続は100円ショップで売っていたメモバサミ?のスチールのパーツのばね作用を利用して押さえつけています。
真鍮ベースのベルトの当り面にはタイミングベルトの切れはしをセメダインのsuper-Xで接着しています。
接着力はあまり強くないでしょうが横向きの応力しかかからないので充分です。
正常な動作のときにはここにはリニヤガイドをスラストさせるだけのごく軽い負荷しかかかりません。
過負荷が発生いたらここでスリップが起きてトラブルを防ぐフューズの役目をしてくれると思います。



ベースは2mmのアルミ板で、昔事業をやっていた時の製品に使ったジャンクなので塗装がかかったままです。
縦104.5mm、横119.5mmです。厚みは予測では60mmぐらいになるでしょう。
LEDを点灯させるSWには、マイクロSWだとヒステリシスが気に入らないので何かに付いていたリーフ接点を使っています。
右下の「茶赤橙黄色」のリード線は原点センサーのフォトカプラーをメインの制御基板から外して延長しました。



裏側の様子です。
ほとんど隙間なくモノがあります、FFCのCN-2側は真っ赤にマジックで無っていますが
老人ボケが始まっていると間違えるのでCN-1とCN-2の認識用でそれ以外の何もございません。
リボンケーブルの辺りにLEDの簡単な点灯回路を置くつもりです。



横から見たところです。
CCDの表面から僅かに低く全体が収まってくれそうです。
これでマガジン化の第一歩を踏み出せます。
LEDの点灯制御信号を貰えないので電源認識のグリーンのLEDの制御信号を貰ってグリーンが点灯していればLEDが点灯し
原点位置の検知SWと連動しCCDが原点にあるときには常時点灯となるように構成するつもりです。




1号機と2号機を比較します。
首尾よく成功するならばおよそ容積にして1/2ぐらいで出来上がりそうです。

マガジン部の結合機構の製作には全く自信がありませんのでブロニカECのマガジンを解体してみようと思っています。



LED基板 GT-S620&S630のLRDは1個当たり2.9〜3.0Vの電圧降下で動作します。
基板構成上の観察では3個直列≒9Vごとのブロックが6ブロック構成です。
そこで左側のコネクターに近い6個(2ブロック)を使う事にします。
実は42mm幅のCCDに光を与えたいので4個ないしは1個1個の間隔を狭くしたいのですがあまりにもモノが小さいのと
半田ごての熱をうまく伝達できないので出来合いの位置のまま使っています。
そして
重要な事はグラインダーでガラスエポキシ基板の裏側と横を完全に削り取っています(裏側のパターンは全部剥がしておきます)。
表側のパターンで3個直列の回路を構成してあります(パターン間の面積は放熱のためか広くとってあります)。




電源電圧は13,5Vとなっておりますので定電流回路を取り除き、最大電流をLEDの最大許容電流推測値25mAに制限するため
3個ごとの1ブロックにシリース抵抗200Ωを接続しています(
3個のLEDは白い塗装の裏側で直列配線されたいます)。
この2ラインの疑似定電流回路にさらに直列可変抵抗5KΩで光量調整します。
裏側はコネクターに配線接続されていて邪魔なので全部削り取っています。



LED基板の後面は完全にグラインダーで斜めに擦り落しCCDのすぐ脇にくっつけます。
問題は隣同士の間隔で明暗差が出そうな心配が出ますが散乱光を作らないといけないかもしれません。
この薄っぺらな隙間に光を通すのに液晶バックライト装置のフレキシブルフィルムを使う事も先に考えましたが
面倒なのでとりあえず直接照射でテストします。



CCDと左側のLEDの拡大図です。
LEDの高さ面はCCDの表面からははみ出しまあせん。
LEDの間隔が少し間遠いので問題が出るかもしれませんがその時は初心に帰って液晶バックライト方式に切り替えます。


ここで一応完成となってLEDはマイクロスイッチでスタート時だけ点灯する事にしました。
しかし試験をしてみると異常なコントラストの画像であったり全暗黒のカバーの中ではエラーになったりとおかしな事が起きました。
そこで1号機を観察してみるとスタート時のキャリブレーション点灯時に一瞬「明滅」しているのです。
つまり、制御基板の指令で「明」と「暗」の状況を作り出してダイナミックレンジのスパンを決めているようなのです。

そこで4層基板の中に隠されたパターンを掘り起こす羽目になりました。
表面のグランドパターンを剥離して薄いガラスエポキシ絶縁層を慎重に剥がしていきます。



出てきたパターンは非常に小さくって剥離しやすいので安全な面にサンハヤトのフレキシブル基板の切れはしを中継ターミナルとして作りました。



この配線は黄色い矢印のZD(ぜナーダイオード)に繋がっていたのですが25mmも切断するという快挙の悪夢に執り付かれたいたからです。
赤い線で切断したので苦労しました、切断幅を黄色い線の24mm以内にしてZDのラウンドを残せばいいのです。
あと1mm、安全のために20mm切断であれば何も心配はなかったのです。
つまり
ZDのカソードマークの部分が外部に出ていた安全なターミナル箇所だったのですね。



汚い配線図ですが電源は外部の電源プラグから直接引きます。
LEDアレーは3個ずつの組になっていて2組を使います。
CCD基板のゼナーダイオードのカソードマークから手持ちの抵抗18kΩでTrのbを駆動しますが抵抗値は10k〜50k程度でいいでしょう。
これでVRが零オームになってもLEDは最高輝度25mA程度ですから安全です。
実は起動時にホワイトレベルをキャリブレーションするだけで済むと思っていたのが大きな誤りでした。
起動時には一瞬「明」「滅」を交互に読み取ってダイナミックレンジを決定しているようです。
したがってZDのカソード位置に供給される信号と同期して
一瞬[明と滅」を交互する必要があったのでした。



LEDの電源は電源ジャックのこの位置から取り出しました



原点センサーのフォトカプラーはレール位置に引きだしましたので4本の線を引きだして延長し、センサー側でソケット接続にしています。



完成後の内部
真ん中にあるSW類の基板はSW4しか使いませんので3個のSWは撤去してステッピングモータの縁にかかる部分は削り取ったりしています。
パイロットランプは外に延長して引き出しています。
ベースにEPSONのGT-S620-630を使用する限りこれ以上の小型化は難しいでしょう。


完成写真


やっと完成しましたので1号機と並べて記念撮影します。
1号機はブロニカS2ボデー一体ですが2号機はブロニカECのボデー脱着ができるマガジン方式です。


マガジンの幅=128mm 高さ120mm 奥行=64mm
1号機と比較すると容積は約1/2になりました。



正面から



右側面



俯瞰



この角度から見るのがいいなぁ
三脚座の部分はそのままでも三脚に座りますが15mmのアダプターを作りました。



本日初めての画像です。
これからピントグラスとCCDカメラのピント微調整などの最後の仕上げが残っています。
原画は1200dpiで撮影しましたので自動車は全部筋状になりました。
14039×10200画素ですから1億4千300万画素になるのかな?


END
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