RUBENSU(4×5)製作記(10/9日開始)

1号がおよそ成功しましたのでご依頼のあった會津様の分を製作開始しました。
お気にいって頂けると嬉しいのですが、きっとものすごい撮影回数をされると思うと怖い気もします。

1日目
到着したクラウン・スピグラ、蛇腹が痛んでいますので修理します。また上部のファインダーは全て撤去します。

外皮を全て剥ぎ取り、コーナーのゴムが抜けているのを特製の塗料で補修します。

1日目はここまで
 補修完了した蛇腹です。たぶん赤外フイルムでもOKと思います。先に見えるのは取り外したファインダー部品。


2日目はBOXの製作に取り掛かりました。シャッターは手持ちのものを仮付け。

2日目 レンズはコンゴー 150mm2個を使います。


3日目 ミラーボックス製作 内面をつや消し塗料で塗りました。
ミラーは表面鏡です。前面ボードを傾斜して作るつもりですが蛇腹も変形の物を作ることになります。



4日目 クラウンは前蓋を開くボタンを上部にもって来ています。
上部はミラーボックスでふさいでしまうので横から操作するように改造をしました。
左の写真がそれで、3mm真鍮棒を加工して横の隠しボタンを押すとフックを下げて開く仕掛けです。
この工作に半日を要しました。全く妙なところで手間を喰いました。
右はピントグラス受けですが、周りを真鍮バンドでぐるりと囲んで強度を稼ぐことにしました。




5日目はピントグラスホルダーを製作、ピントグラスとフレネルレンズを装着しましたが、不注意ででガラスを割ってしまいました。
したがって画像は掲載しません。

6日目は昨日のミスの原因となったミラーボックスと本体の結合を完全なものとしました。その上でビューレンズのボードを製作、
本体のフレームファインダー金具に連結金具を接着、クランプ金具での結合ですが撮影面とピントグラスの中心軸を合わせるところまで到着しました。
上の左側の写真ですがレーザーを10mはなれたところから照射して、撮影のため少しずらせたビューレンズ左側のピンクのライトが見えますでしょうか。
右側の写真は中心にレーザービームが来ているところ。これとフイルム面のグラスの中心を合わせます、中心から僅かずらして撮影しています。
左斜めの明るい縦線は天井の蛍光灯の写りこみです。
本当の光軸合わせは数百メーター先の高圧鉄塔でやりますので明日の仕事です。


7日目 本日蛇腹製作をしました。左は内側に極薄の遮光紙、周りにケント紙で造った矢紙を貼り付けて筒状にしたところです。この周りに偽皮を貼ります。
    右は完成した蛇腹、両脇はステンレス薄板でフレームを作って張っています。
ご注意、右の写真の左下にご注目!!下側の方は1段余計に折り曲げが付いています。これはボデー側前面が傾斜しているためです。
こうすることで蛇腹の変形繰り出しを防止します。


8日目 ビューレンズボードを作り変えました。2重構造とし、レンズのライズフォールを簡単に出来るようにしました。これで∞側の中心軸合わせが正確に行えます。
また、ピントの精密な調整をピントグラス側と、レンズ側での調整が可能になります。
本日の予備試験ではビュー側のダウンで∞から1mまでパララックス補正が出来るようです(フレームファインダー腕の上下による)
パララックスの目印はまだ考えていません。
なお、明日(17日から22日まで作業を中断することになると思います。


   

9日目(10月23日) 1 ミラーが到着していましたので交換しました。これで画面のケラレはなくなりました。
              どさくさにまぎれて作者がちらり登場、白髪隠しに草花がちょいとお手伝い(爆笑)
            2 鳥居金具の底ですが左右シフトの動作を接着剤で固定しました。
            3 鳥居の下のチルトも固定、右のねじ1個では不安なので3mmネジ追加で固定。
            4 写真では解りにくいですがビューボックスの前板をアルミニューム板で製作、縁金具はフライスで整形した
              引抜き材のアルミニューム棒材です。(ここをあまり厚くするとファインダーに干渉しそうです)


10日目(10月24日) オーナー様と相談の上、ビューBOXを固定することにして実行しました。全く安定したので作業も進めやすいと思います。
BOX内の両脇にアルミアングル材でピントグラスのベースを作りました。これに対して左側のピントグラスが乗っかりピント位置の微調整をすることになります。
1号機より精密に微調整が出来るはずです。夜になって覗くものがないので、この後は明日の工作になります。


11日目 今日は少し見た目が変わります。
     ビューBOXのピントグラスホルダーの微調整機構が思惑通りに行きました。

板バネの両脇に3mmビスが通る溝を造ります。この上にフレネルを装着したピントグラスが付きます。

ミラーBOXは基本的に木製です。
ところがこれを振り回すオーナー様は怪力の持ち主ではないか?いずれにしても1号機のように試写をして「ハイ動きましたおめでとう」
では済みそうにありませんし、つくるたびに改良を重ねるのがこの世の習い、周囲をアルミニュームのU字とL型のサッシで取り巻いてしまいました。
ドーダー、これなら文句アルメー、ナーンチャッテ・・・
実は補強も然る事ながら、ぐるりと革を張巡らせる自信が無いのが本音のところ・・・これなら平面を切って張るだけ。

折りたたんだ状態のルーベンスU君です。ビュー側のレンズは蛇腹をつけてブーラブラ。
なんだか思い当たるところありで情けないサマですね、ふざけてレンズキャップをビニールテープで貼り付けて、独眼流正宗
おぬし、伊達よノウ
ここは既に次なる策略が巡らされていますので乞うご期待。
今日は調子に乗りすぎかな?
蓋も考えなくってはいけませんね。


12日目(10月26日)

ビューレンズと下の鳥居が螺子1本で連結されました。ビューレンズの下中央の摘みの付いた螺子で、工具は必要ありません。
増し締めをしたければコインで締められます。これを外しても前板から紛失することもありません。(Eリングで保持しています)
両脇の2個の小さなネジ頭は位置決めピン代わりですので緩めたりする必要はありません。
左の写真が∞での姿勢です、ビューボードは3cmほど持ち上がっています。
右の写真が1mでの姿勢です、本体蛇腹が直進で伸びているのに対し、ビューの蛇腹は3cmほどシフトしています。
つまり手動ではありますが∞〜1mまでパララックスを補正しています。
本日ボデーレリーズ関係の部品は取りはずしました。


13日目(10月27日)日曜日

 

本日はカメラを畳んだ時のビューレンズボードの固定方法を決定、加工しました。
両サイドに燐青銅板のラッチ金具を作りました、ボードを押し込むと確実にロックできます。
取外しは燐青銅のラッチを開いてやると簡単に外れます。
レンズにはキャップをつけることにしていかがでしょうか?保護ケースが要りますでしょうか?


14日目(10月28日)月曜日

 

本日、ピントグラスの位置修正、これはスピグラは向かって右に光軸が片寄っているのを補正した積りが2,5mmしか移動していなかったので5mm移動するために再度ピントグラス位置を修正しました。
続いて上蓋を製作、1号機では作っていなかったのでなんとなく手間取りました。蝶番が1個紛失して、今は片足で持たせています。
これを90度開いた時に固定する金具も考えないといけません。ホームセンターで売っているのはすごく華奢なものかでかい物ばかりで困ってしまいます。


10月29日



本日ピントフード作成、蓋の蝶番はつけましたが90度開いて固定するラッチ金具の適当なのがありません。
工業用の最小のものを買ってきましたがサイズが合わない、ホームセンターで売っているのはチャチ、明日自作しますが一体ワシは何屋さんだなんだろう?
独眼流の眼帯はこんなものですかね?手芸用品店で、怪しまれながらハンドバックのベルト(15mm幅)とドイツ製のベルトラッチと、レザー(フード用)を調達しました。


10月30日

  
1 ヒンジは既製品に思ったようなものが無く、自作となった。あればたかが数百円で買えるものを・・・
2 お誂えだけになかなか良い収まりです。開くとフードがこのくらい立ち上がります。あとは穴の中に手を突っ込んで中にある
  勝手違いのベロを探して起こすと自立します。
3 外装の革張りも終わって蓋の前のロックも燐青銅版で製作。パチッと止まるところはタガネを製作して窓を作りました。
  本当にゴクロウサン。今日はカザリ職人の弟子入りでしたね〜。
  オット、蓋と本体の間に計算違いの隙間が8mmほど、どうしましょうかね。

写真を撮っていて気が付きましたが、蓋の裏側が未塗装でした。ギャフン。 あしたのココロダ〜


10月31日(木曜日)

今日は覗き窓に眼鏡をくっつけただけ、ためしにテープでくっつけているだけです。つまりごまかしですが良く見えます。
今まで100年間両眼で眺めるルーペは、もしかすると世界初? そんなことは無いか?古いローライフレックスの増設フードの写真で見たことがあるような???
パララックスの距離対応表示指針が付けたいのですが良い考えが浮かびません。


11月1日(金曜日)

 

ピントルーペの金具製作、フレーム前後の中央で外れます。まえか後ろににずらすと外れなくなります。
芸が無いのでピンクの鼻をつけました。こうして覗くと鼻息でルーペの裏側が曇りますね。手前にずらすと見難いと思います。
息をころして覗くことにしますか?ここがなぜ大きな窓かというと、中の起立用のベロを立てるために手が入らなければならない。
鼻持ちならない構造です。
もうひとつ、パララックス修正表示を柱に直に彫り込んだら、なれないことで汚くなってしまいましたがもう修正不能。
ご勘弁の程・・・柱の傷は〜兄さんが〜 5月5日の節句の歌が・・・


11月2日 済みませんが2,3日お休みをください。


11月6日(水曜日)
しばらく連休をいただきました。
ほとんど完成となりましたが、いつもの事ながら、そうなるとなぜか仕事が遅くなるような気がします。
何か重大なことを忘れていないかとか考え始めますね。
何日も上と下のピンとグラスを眺めて調整をしましたがもうこの位かと決心して調整ネジをロックしました。
レンズフードの工作だけがまだ決心が付きません。
携帯電話のネックストラップを買ってきました。ちいさなキャッチで外すことが出来ますが。如何でしょうかね〜

   
1 前後のネジをワイヤーロック   2 蓋を開けると・・・         3 銘板          


4 仮止め、携帯ストラップ


11月8日(金曜日)
昨日もさぼりました、すみません。(いえ、仕事はしましたが)
 
さてこの丸いのはなんでしょう              ジャーン、外したキャップの収納場所です。

これが完成した独眼流、伊達の正宗さまの眼帯ダー、少し伸縮性のある紐ですよ。キャッチは右上、ワンタッチ・ラッチで外せます。

ついでにホットシューが向かって右側に2個つきましたよ。上はイオス1000、下はフジカST605、間隔70mm。
反対側はネジひとつで外せるのでホットシューが2個揃ったら取り付けましょう。。


11月9日(土曜日)

本日、アクセサリーシュー待ちとなりましたので日没寸前に1枚、∞の試験をしました。
トライX、f:8 1/100です。


全景です。少し夕日の当たっているところがあります。

中央の1.6cm幅くらいの拡大です。これでいいのかな?もう少し良いのではないかと思っていましたが・・・。
もしかしたらぶれも? この鉄塔は約500〜600m離れていると思います。
どちらもアンシャープマスク50、かけてごまかしました。


11月12日(火曜日) ひそかに決めていた納期、30日を越えてしまいましたが・・・

霞がかけています。ネガで見るとよく出ていると思います。f:11と16の中間、シャッター1/125
夕刊をみたら、11月には珍しい6年ぶりの黄砂現象だそうで視界7Km、悪い時にシャッター切りました。
中国の砂漠化が進んでいるのでしょうかね〜



上の写真の36mm幅を拡大、鉄塔までの距離は650mです。別の駒では500m先のカラスも写っていました。
ネガでは鉄塔の一番上の電線も見えるのです(言い訳ですが)9日から見ると1,6mmほどボードが前進したことになります。
原因のひとつはフレネルレンズを取り払ったあと、漫然とその厚みを補正したためでした。


完成、アクセサリーシューが4個もつきましたのでまるで意味の無いものもくっつけました。
帆船が満艦全帆の儀式をやっていると笑ってやってください。


最短距離までのびた状況、パララックス補正は1mまでですが・・・ 

  ∞撮影時の姿勢。


11月13日(水曜日) 本日完成、全ての作業を終了いたします。
皆様のご声援本当に有難うございました。
旅立ちの前に、1号機と並んで記念撮影しました。

12月24日
色々と不具合がありまして、手直しのために一度こちらに帰ってきました。
蛇腹を再製作、レンズボードの固定方法変更、パララックス補正はスポーツファインダーの上下ではなくスライドレールを新しく製作しました。
これでパララックススライドの目盛りもちゃんと書き込めるようになりました。
ピントフードもトヨのゴム製単眼ルーペつきに変更。それを収納するために蓋が箱型になり、高さも4,5cmさらにのっぽになりました。
また、アクセサリーシューとシンクロターミナル3個を最上部に取り付けてレンズとはBOX内配線で常時接続いたしました。
収納の際もシンクロコードはなにも気にすることなく目立たぬところを通して配線しています。
レンズキャップのキャッチも2個となりました。