Voightlander Bergheil 手札版フォールディングカメラを変身させる
2017/06/09
2018/6/23(距離計部改善)
文字を緑で記入している部位が今回作り直した部分です。



歴史的に希少な本体になるべく手を加えずにシノゴサイズにして距離計連動機にします。
レンズは銘玉Helliar1:4.5 150mmです。

これは蛇腹を最大に伸ばしたところ、
レンズ交換はバよネット方式です(たぶんこれが世界最初のバヨネットマウントでしょう)
フィルムが廃判の手札サイズですからシノゴにします。



ファインダーの接眼部と露出計算表のプレーとを外して距離計部のメカベースを固定します。
赤い矢印のところにM8のネジ穴を作ります。
此処だけが本体に傷をつけるところになります。



カメラ内部のレンズの移動を外に伝える軸、M8ねじを切っています。
軸受けはマイクロボールベアリングを2個使っています。
上の写真の赤い矢印部に装着します。



2mmのアルミベースの上にカム類が取りつき始めたところ。
中央の穴あき軽量化カムの軸受けもマイクロボールベアリング2個、
距離計(カメラの上に転がっている)との連接部にもベアリングを入れていますので
合計5個のボールベアリングを使いました。
蛇腹と本体ケース内の1.5mmの隙間から距離計連動棹が見えます。
この棹は最短距離1mぐらいのところです、無限大時にはほとんど引っ込みます。
なお距離計のベースにはマミヤプレスのジャンクから頂戴しています。


このカメラはクラップ式で前蓋のレール部は90度折り畳まれてしまいます。
そこで巻き尺のスチール板を前の障害物と突き当てて連動しますが
折り畳むときには連携が外れて隙間に折り畳まれる仕掛けです。
仕上げ塗装前で巻き尺であるのがよく判ると思います。



ここの機構がちょっと不安定だったので巻き尺式を変更します。
使ってみて不便だったのは前蓋を開いてベッドを起立した際に
どうしても巻き尺の先端がストッパーから外れていて装着が面倒くさい事。

 
そこで、この巻き尺のパーツを1.8oφのスチール細線を撚った柔軟性のあるwireに交換。
更にストッパー側はボックス式にして普段は繋がりっぱなしとし、
写真ではピンセットで少し後ろに引っ張って先端部を引き出しています。

同時に距離計とレンズ位置関係の微調整をたやすくする機能を持たせました。

ここはスパンが20o以上ありますし、ベルクハイルの特徴である長大な繰り出しにたいして
最短測距1mよりも伸びた場合は転結が外れて測距できなくなるだけです。

レンズがバックした際にBOXというか連結ソケットにwire先端を案内してやれば元通りです。
レンズが後退してきたときにボックスというか


前蓋を折り畳んでいるところですが撚線なので柔軟性があり曲がっているところです。

 




左のファインダー周りをぐるりと取り囲んだパララックス補正用のワイヤーは三味線糸です。



暗い室内から窓を覗いていますが実際のブライトフレームは明るいです。
距離設定で自動的に補正移動します。
視野率は95%ぐらいです。



これは手札サイズのフィルム部をシノゴ(約10p×12p)に拡大するためのプレートです。
光路を広げるために16mm程広げながらバックさせています。
アルミ板とマホガニーの板を組み合わせて工作します。
バルクハイルのスライドレールにそのまま装着脱できます。



シノゴの部分は国際規格にしていますのでいろんなホルダーが使えます。
シノゴ以外にブローニーフィルム、最大6×12pも使えます。



ファインダーのカバーは台所のガスレンジ周りの修理をした際に不要となった鉄板を流用しました。



右側はスーパースピグラです。
何方も距離計連動ですがベルクハイルはレンズ交換には距離計が対応しません。
負け惜しみのようになりますが距離計精度はベルクハイルが勝ちます。

完成仕様
RFベルクハイル45          1.83kg
スーパースピグラ             2.76s  
  スーパースピグラは RF ベルクハイルの1.51倍の重量。


距離計部の改造が終わったので120フィルムを装填して距離計のテストをします。


曇天の夕暮れ時を狙ってレンズ開放のf4.5〜5.6を主に使っています。



小型ブルトーザーの運転席、赤いグリップに距離計を合わせています。
フィルムは2007年に期限の切れたEKTACHROME E100、自家現像です。

フィルムの劣化で色調はおかしくなっているのと長手方向は経年変化で偏食が始まっています。




テーブルの足、細いタケノコ辺りで距離計を合わせています。



フォークの先端、一番手前の刃に距離計を合わせています。



この一枚は少し絞った写真です(5.6と8の中間)


こちらは2017年の最初の試写です。

最初の試写でフィルムの劣化はほとんどないことが分かったのと現像処理を変更してみました。
フィルムは1999年に期限切れになったFujichrome64T(タングステン光専用)を冷凍保存していたもの。
夕日の木洩れ日のアジサイ。
中央下側のアジサイにピントを合わせています。

F 8.5 1/2sec

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