リポート69と命名します。
昨年から企画していたカメラですが1眼式距離計連動がなかなかうまく行かずに中座していました。
事の発端は昨年知り合いの方から整備依頼を受けたLINHOF220というカメラがとても面白かったからです。
高価なカメラですがこの特異なデザインはリポーターが取材面談しながら相手を写すということが主目的であったと勝手な解釈しています。
そこで無謀にも69サイズの写真を縦画面で撮影できる1眼式距離計付きのカメラを自作しようと企んだ訳です。
完全なパクリでは面白くないので・・・確かリンホフ220は6×7か6×8でしたよね。
僕のリポート69は6×9サイズであります。
これはモデルとなったリンホフ220です、これのデザインをパクろうと言うことです。
露出計まで内蔵していて素晴らしい写りを約束してくれるカメラです。
「欲しい・・・金がない・・・では・・・作ろう・・・」
デザインはこれをパクることにしましたが、1眼式RANGEファインダーで基線長が物凄く狭いのがこのデザインの最大の欠点ですね。
そこでレンズは標準の105mmですと被写界深度が浅くなるので妥協点を探して80mmと決定しました。
これで距離計のあやふやなところを少しでもカバーできればと言う願いです。
レンズにはマミヤセコール80mm f:2.8(マミヤC2眼レフ用)を使うことにして、静岡の友人から取り上げました。
シャッターは大判カメラ用のコパルでB/T・1〜1/500までですがピント合わせ用の開放レバーが別に付いています。
絞り目盛りは自作しました。
66カメラのレンズですからイメージサークルが不足するのは自明の理ですが贅沢は言わないことにしましょう。
レンズが広角レンズになったおかげで多少は被写界深度が稼げます。
ヘリコイドにはアサヒペンタックス67のヘリコイド(頂き物)を使うので∞から70cm弱までをカバーすることが出来ます。
ヘリコイドの直進移動をマイクロボールベアリングを使用してクランクアームに伝えます。
ヘリコイドの移動量はなんと15mmもあるのにミラーの移動量はフルスパンで1mmもあれば十分なので
移動量を恐ろしく圧縮をしないといけないこととガタやヒステリシスは一切許されない精密さを要求されます。
途中で半年あまりも放り出してしまって頭を冷やし、越年したので再度挑戦をして見ました。
ジャーン、リンホフ張りにグリップ、たて構造も考えましたが小男の僕には長すぎる。
グリップ強度にも自信がない、リンホフだって横にグリップを付けたバージョンも発売したのですよ〜。
僕のグリップはポラロイド証明写真機のグリップだったかなぁ(忘れました)
グリップにはレリーズボタンとホットシューを搭載しています。(*^_^*)
リンホフと良く似ているでしょ?フィルム巻上げは反対側に持っていくことも可能ですがこちらですと
巻き上げ、シャッターチャージ、シャッターレリーズがすべて左手で行えます。
関係ないけどフレミングの左手の法則だったっけ?
親指でフィルムチャージ、中指でシャッターレリーズ、人差し指でレリーズが出来るというものです。
現実には僕の手が小さいので右手で少しホールドを手伝わないとうまくは行きません。(ーー;)
こちら側は何もありませんね。
上から俯瞰した写真です。
ホットシューは生きていますよ(飾りカバーの付け忘れ)。
真後ろから見たところです。
装填したフィルムの覚えはこのトプコンホースマンのホルダーに付いていましたが
皮は全部本革と張り替えました(グレーでボロボロでした)
完成重量は1.4Kgでした。
ファインダーの概略図ですが構造はオーソドックスなものです。
基線長が短い上に広角ファインダーとなるので、さらに画面圧縮が1/2程度懸かっています。
距離計付きファインダーの設計としては最悪の状態ですね。
汚い漫画ですがミラーはバネで反時計方向(後方)に引っ張られています。
カム1とカム2は圧接していまして糸掛けの位置の微調整を可能にしています。
カム1のアームの長さ約35mmを糸掛けの軸の直径3mm(微調整しました)でおよそ1/20に圧縮しています。
糸は墨つぼ用の伸びのない細い糸をしごいてなじませてから使っています。
あまりにもみすぼらしいと言うか汚い内面ですが・・・
まぁ、苦労のあとと笑ってやってください。ちゃんと機能していますから・・・アハハ(力ない嗤い)。
試 写
久しぶりの晴天で慌てて近所の公園に行きましたが午前中は人影もまばらでした。
実はレンズボードとヘリコイドの間に光線漏れが発生していたのに気がつきませんでした。
(原因解明と対策は既に完了しましたが、例題のコントラストがおかしいのはその所為ですので割り引いてご覧ください)
これは白いワンちゃんにピントを合わせたものです。
手前からずーっと先まで写しこんでいますのでご参考までに。
これが普段の縦構図ですね。
上の写真の部分拡大です。
さすがに四隅は歪んでいますが6×6用のレンズにしては偉いですね。
光線を引いてしまっていますがこれは最短70cmほどまで迫っての撮影ですので、参考までに・・・
計測では最短での距離計の誤差は4〜5cmあります。
1mで正確に合わせていますので実用距離計連動範囲は90cm〜10m程度で完全無限大は少し誤差が出ますが
ヘリコイドのエンドを∞に調整していますので不自由はありません。
私の子供(三男)と同級生で若くして白血病に犯され亡くなった笠君の一周忌に
追悼演奏されたハープの演奏会。
END
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