LPレコード洗浄機を作ってみた

2013/05/17

細々とLPレコードを楽しんでおります.
最近突然150枚ほどのレコードが到来しました。
若いころあまりにも高根の花すぎて欲しいとも思わなかった
「グラモフォン交響曲大全集」11巻とその他のレコード一塊。

作曲家毎にカートンケースに収まっているのですが永年浸みこんだ垢を落としてからでないと針を下すのが勿体ない。
枚数も半端じゃないので超音波洗浄機を作って全部洗濯をしてから聞きたい。

眼鏡など用の超音波洗浄機は結構お安い価格で販売されています。
メガネのレンズ左右2個に同時に振動を与える振動子2個のものもありますので両面同時に洗浄できますが
お値段がそれなりに嵩張ります。

では安いもの1個の振動子を底に水平においてレコードを垂直に置くと振動の方向がマズイか?
超音波洗浄は水がキャビテーションを起こして真空の泡がまた収縮してゼロに戻る時の衝撃が作用すれば良いのだから
何も真正面っからではなくてもレコードの浸かっている水がキャビテーションを起こせばいいように思います。

そこで通販で送料込み2200円というものを見つけました。
採用のもう一つの要素は水槽の容量が「610」mlだったからでもあります。


当ホームページ「610hp」に実にふさわしい。



さっそく解体してこの超音波振動子を上手に取り外さないといけません。
写真では既に左右にステンレスケースをチップソーで切断した鋸跡があります。
セラミック振動子はキューリー点が160℃等と低いのもあるので
瀬戸物の振動子に熱と機械的なストレスを与えない様に注意して加工します。
幸いステンレスケースなので熱伝導は非常に緩慢ですね。
周辺の樹脂は強烈に硬いのでなかなか大変な作業でした。



はい、出来上がりです。

駆動基板や制御パネルは外して105円の透明スチロールケースに収容しています。
表示器の右側には携帯電話充電器の中身を取り出したレコード回転用の電源、
ケース内の右上はスピードコントローラ用VRです。

金色のCDはケースの外にあって真下の小さなギヤモーターのシャフトに装着したシリコンゴムチューブと
接触しリムドライブします、速度は毎分1回転位から4回転ぐらいまでスピードコントロールできます。
超音波照射時間は90・180・280・380秒 の切り替えができます。



槽の底は直径50mm程の振動子が来ますがそれでレコードをどっぷり漬けると水槽は1リットル以上の容積になりますので
振動子の正面以外の左右はクリーム色のスチレンボードで塞いで洗浄液を600cc程にしています。
全体は3mmのアクリル板で半円形55mm巾のステンレス帯板をはさみこんで半月状の水槽にしています。



小さなギヤモーターの白いシリコンチューブが金色のCD(2枚)をリムドライブしている所が見えます。
VRは普段はほとんど速度調整する事もないのでツマミなど付けていません。
もちろんこのCDは単なるレコードを回転するタイヤの役をしているだけです。


CD10枚を入れて売っているケースの芯を利用してレコード盤ホルダーを作ってみました。
ペラペラのPPとかPE製なので芯に10mm角材を打ち込んで補強していますが
オンボロなのでそのうちちゃんとしたモノを作ります(CDを小馬鹿にしているようでゴメンナサイ)。
これでレコード盤を締めつけると周辺のウレタンスポンジリングでレーベル部分の防水をしてくれます。


 
シャフトのメネジ側は少し突出してレコードの位置決めをしやすいようにしています。
右側はレコード盤を締め込んだところです。



CD製のタイヤは持ちやすく、水洗の時に蛇口からの水をかけ流しするのも楽です。



製作1号機でもあり中の振舞いを観察するためにも全部スケルトンにしているのもあって不細工です。


洗浄液はこの道の先達からアドバイスを頂いた「水の激落ちくん」を2倍に希釈して使ってテスト開始です。
アルカリ電解水がどうして洗浄効果があるのか不思議でしたが
どうも汚れにアルカリが作用して瞬時に石鹸を形成するようですね。
理窟はとんと判りませんが180秒照射で充分効果があるようです。
液をそのまま解放状態でどの位で効力が落ちるか(洗浄液の寿命)?
洗浄後の水洗はざっと2回転程、勢いの良い水道水を掛けるだけで良いのか?


おまけ

どんどん枚数が捌けるので廃材をかき集めて乾燥棚も作ってみました。
乾燥促進のために風を送ろうかとも思いましたが埃の出ない風を作るって実に難しいようです。
まぁ10枚も洗浄したら翌朝まで自然乾燥させようと思います。



全幅20cm位のラックですが詰めれば20枚以上ならべられます。
先輩から水滴を吸い取るのに専用のペンコットなどの使用を勧められましたが
とりあえずフィルム現像の水滴吸収用スポンジではみ出している水滴を吸ってラックに乗せています。

END
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