METROGON 153.8mm F6.3 

絞りもシャッターもない広角レンズに虹彩絞りとギロチンシャッターを組み込んでみる。
2018 5 10

余談になりますがこのレンズを通信販売で入手したのは20年ほど以前です。
その頃は何の知識もなく、絞りもシャッターもないしかもレンズのエッジ部分が座屈して
ガラス屑が封入されたままの状態なので使い物にならないと諦めていたのです。

アルミの塊のようなレンズなので金属屑にでもしようかと考えてネットで調べてみたら
1942年に製造開始した航空機用広角レンズで9×9吋のロールフィルムを使う偵察用レンズ。
シャッターや絞りも付いていないのが結構出回っている様でした。
なおレンズはコーティングされておらず、入手するならコーティングされている方がいいとか・・・

そこでどうせ廃棄するならその前に一度試写してみたいと考えて、
全て身の周りにあるもので楽しもうという老人的お遊び、山水画のひげジイジを想像してくだされ

転がっていた製版機用レンズの絞り部分だけのジャンクを宛がってみると何とかなりそうな気がします。




中央上が製版機用レンズの絞り部、下左は後玉、右は前玉。
後玉の周辺はかなり肉厚なので絞りを挿入は可能かも。



左は製版機用レンズの絞り部分をくり抜いたもの。右は切り取った残骸



Metrogonの後玉の内側を極限まで小さくした絞りが嵌合できるまで拡幅



左上は不要になった絞りのクズ、中央上の絞りを右の前玉に乗せる。
左の後玉をかぶせる。



こんなイメージのレンズで中央には3.4mmの隙間があります
文献によると隙間は1mm程と書かれたものもありますが正確に計測したところ3.4mmです
ここに絞りと、シャッターを挿入します。


絞りが挿入できたので次に残る1mm程の隙間に入れられるシャッターとくればギロチンシャッターしか思いつきません。
そこで一工夫して前代未聞だと勝手に想像する。
電気仕掛けの可変速ギロチンシャッターはどうでしょう。


フィルムはエイトバイテンを使うので図体が大きくなるのはご愛敬という事で計画を進めます。
レンズの光路で絞り部の開口径は32mm弱なので32mmの穴の開いた板を通すには巾45oのギロチン巾と決定。
案内板の幅を片側5mmとして隙間を加えて全巾は56oと決定。

ギロチンのスタート・ストップ・開口部を加えた全長は160o位かな?

図面など全く作成せずに(もうそのような能力がない)モータードライブはマブチモーター
壊れたパソコンのDVDドライブユニットの自動開閉蓋ドライブ用モーターと減速ギヤなら無料。
スラストガイドもDVDドライブの案内ガイドを流用、無料。


2oのウレタンベルト材があったので溶着して丸ベルト作成。
プーリーは真鍮材から削り出し、モーターから黒いゴムベルトで減速して白い歯車をドライブする部分はDVDの中から・・・
右下のマイクロスイッチは壊れたスキャナーから取り出した。
巾が56oなので前蓋とのギャップを作る3本の脚はベルト部分やスライドガイドが通る部分は窪みを作って空隙を確保。



かなり進行して間もなく完成。
左の駆動部は予定より15mm程はみ出したが、
白い歯車が外の出ていて指で回せるのでシャッターの復帰位置への戻りメカニズムとなって一応成功。
絞りが入ったために前玉の固定ネジ部が抉られたので新しいネジ位置を外側に広げた。



駆動部後方電池電圧を1.5v〜3v〜6vと倍々飛びにしてみた。
赤いボタンはシャッター、これを押すとモーターが作動し、ギロチンを走らせてマイクロスイッチで自動停止、
モーターはそのマイクロスイッチで閉回路となり回生電力ブレーキ(効果があるかどうか不明だが満足)



ギロチンは2枚製作、2mmスリットのプレートは未塗装。
シャッターの性能を見るためにセンサーを組み込んでいます。



速度計測中。
ギロチン速度3段階、ギロチンサイズ2種類で1/7 -1/13- 1/20  1/85−1/200ー 1/300
スリットを1oにすれば1/600になりますが必要ないでしょう。
もう一つスリット6o位を作ると殆どカバーできるかな?



先日8つ切り暗箱用に作成したバイテンホルダーが早速役に立ちそう。
鏡筒の前玉の手前に絞り指標の銘板が見えますか?

ヘリコイドを付けるか本来の目的通りに∞固定焦点にするか・・・
こんな完成になるのかイメージしてみました、今回はシャッターと絞りの完成までです。


END