マミヤ(MAMIYA)7を作り変える話。
2003-12-9
67サイズのレンズ交換可能なレンジファインダー機
マミヤ7は交換レンズ自体も高価でおいそれと手の出るカメラではありません。
ところが・・・この高価なボデーが本当に転がり込んできたのです。
まるでお結びコロリン状態で・・・つまり、落として転がってどこからどこまでガタガタに壊れて・・・
先輩から、何かの教材か部品と取りにどうぞと頂いたということです。
外装から外していって、変形した距離計とかフイルム巻き取り装置などを個別に修正して行くと
何とかフイルムは給送出来るようになりました。
この辺りはさすがに近代のカメラだけの事はあって惚れ惚れするような出来です。
少し欲が出てきて距離計もガタガタながら何とかそれらしき動作をするようになってきました。
純正のレンズは私ごときにとっては、目の玉が飛び出るほど高価なものです。
電子回路のテストはレンズが無いと出来ませんが、仔細にチェックして見ると
すでにフレキシブル基板の配線が切れかかったり、変形していますので思い切って完全に別のレンズを
あてがうことに決めました。
可能であれば距離計連動としたいところです。
ヘリコイドのついた75mm〜120mm程度のレンズを探していたところ、マミヤプレススーパーにレンズ3本
ついたものを入手することが出来ました。
65mmはコンパクトでいいのですがレンズにカビ、拭き傷ありで見送りました
(私自身あまり広角レンズは使いこなせないのもありまして)
次に150mmはいささかのっぽすぎておかしなデザインになります。
最後に、100mmを使うことに決定しました。
6×7に100mmというのはポートレートなどにちょうどいいかとも思いましてね。
1 まだ回路基板がくっついたボデーです。
右上の100mmレンズをつけようかと思います。
幸いな事に、同じマミヤの銘柄ですね。
フランジの直径もボデー側78.2mm、レンズ側77.7mmとほとんど同一でありました(完全に偶然の話ですね)
2 これが電子回路関係で不要となりました。
思い切ってきれいさっぱりむしりとってしまいました。
3 フランジバックを合わせるためにボデー側の鏡胴を2mmほどフライス盤で削りますとわずかに∞が
オーバーします。
ここはわざとそうして最後にレンズと鏡胴の間に敷物(シム)を差し込んで調整します。
こうなると、このレンズが果たしてどの程度の写りか、フイルムの給送はちゃんと働くのか
試して見たくなるというものですね。
また、しくじった場合せめてレンズだけでも元に戻せる状態でありたいとの貧乏根性も頭をもたげます。
あちこちの穴は黒いビニールテープで仮塞ぎしてのテストです。
手術中のワイヤーもつけたままでごめんなさい。
距離計はまだ目測です。
4 作業場の光景。f:4 1/15(フイルムはコニカパンASA100 D76・秘伝のたれ)
5 ∞もちゃんといいみたい。
ただし、右15%程のところの下から上に上るスジ、これはどこかのねじ穴塞ぎ忘れですね。簡単簡単。
6 家ノ前の街路樹に合わせて見ました。
レンズの性能も悪くはなさそう。
人物被写体が欲しいところです。(ここにも光線漏れ)
7 これは中央下側(1,6m)ほどにピントを合わせ、f:22に絞りました。タイムは1秒
さてこれから距離計連動がうまく行くかどうかが大きな山場だと思います。
完成まで、おいおい報告を追加しますのでお楽しみに。
距離計が連動しました
2003/12/16
ついに距離計が連動しました。まだ最終調整までには大変な手間を喰いそうですが。
100mmのレンズが1m〜無限大まで移動するにはストロークが12mmほど必要です。
マミヤプレスではレンズ交換のRFということでダブルヘリコイドとし、そのストローク12mmを
約2mmほどに圧縮しています。
今度はマミヤ7を観察してみると3.5mmほどのストロークを1m〜無限大にしています。
そこで、そのまま結合するとまったく不具合になってしまいますのマミヤ7側のコロにあたる部分を
斜めの真鍮材料で2mm→3.5mmに増幅する試みをやってみました。
小口が水平面ですからストロークは2mmしかなく必要な角度範囲で3.5mmのストロークに増幅するために
1.2mmの真鍮板を斜め切りして半田付けしました。
チョン付けとして微妙な角度や、全体の高さ調整をしているところです。
最終的に、思った角度と高さになったら半田付け仕上げします。
この間、鏡胴を何度脱着して、距離計を調整したことか・・・まさに道楽以外の何者でもありません。
オレンジ色に見える部分が半田付けした真鍮版の青龍刀です。右側の頂点近くが無限大になります。
フイルム室側から覗いたところで、この後黒いつや消し塗料を塗りました。
周りは黒い植毛紙で光線漏れを防いでいます。接着剤が光ってしまったのでここも黒く塗りつぶしました。
近距離撮影のテストで不適切な被写体を選択しましたので近距離バージョンは改めて選定いたします。
我が家の2階から。
老人医療施設の入所者かデイケアーの方たちと思います。
穏やかな晴天で暖かく、散歩を楽しんでいらっしゃいます。
f:8 1/250 このあたりから(多分20m)距離計は当てになりません)
まだまだ外装もスケルトン風。
シャッターも、巻き止め解除も指を突っ込んでの作業です。
そろそろお化粧もしなくては
2003/12/17
基本的なところの目途がついたので軍艦部のかカバーなどのお化粧を始めます。
エンジニアリングプラスチック製のカバー材は小さなところで千切れたりしています。
残念ながら接着剤がほとんど使えません。
仕方がないので内側を少し削って1mmほどの真鍮板を添木にして接着します。
少し力が加わると剥がれますのでタップを立ててねじで縫いこみます、これで頑丈になります。
ねじはもともとふんだんに使われていた1,4mmと1,7mmがあります。
えらく大きく写っていますが、ファインダー部分です。
右下のねじタブがボデーと繋ぐ1.7mmの止めねじ部分ですが千切れていました。
少し上に小さな十文字のねじが見えますがこれは新しく立てたねじです。
反対側(裏側)から見ると1mmの真鍮版が添木として当てられているのが判りますね。
真鍮版の厚みをあらかじめ削っておいて、これに接着剤が効かないのでねじを立てて固定しているのです。
この作業が終わったら欠損しているところを樹脂で埋めていきます。
左手のグリップの辺りですがオリジナルではプラスチック製のあんこが詰まっていたような・・・
いくら探しても出てこないのでヒノキの板やアガチスの板で整形します。
右側の合成ゴムカバーが付くのであとではまったく判らなくなる所です。
元々の止めねじのところはしっかりと遮光します。
ああしんど。
外装のお化粧に突入
2003/12/18
本日の工作は主に軍艦部の修正でした。
黒いのはデブコン樹脂で肉盛中。
ガラス部分をアクリル樹脂に変えてデブコン樹脂で肉付け、透明アクリルにはマスキングテープ。
なんだか35mmカメラのサイズが異常ですね。
オリジナルのシャッターダイアルのあった部分は真鍮板で埋めてしまい、すっきりとなりました。
さて年を越してしまって2004年となりました。
シャッターRELEASEのところで躓いていました、ワイヤーRELEASEだけなら簡単なのですがこのシャッターを操作することによって巻上ロックの解除をしないといけません。
むかしサモカというカメラがありましてシャッターボタンを円錐形にしてこれで巻上解除をやっていたとか聞いたことがあります、カウンターのアップだったかもかも知れません。
旋盤で円錐形を削りだしましたが気に入らなかったので、次にRELEASEボタンそのものにデブコン社の樹脂でコーンを作ってみました。
1.4mmタップにちょうどボタンが一致しますのでタップの先にボタンを付けはみ出た部分はヒシチューブで養生して樹脂を絡ませました。
樹脂はパテ状なのでドリルの先につかんで唾を付けて手にくっつかないように回転させながら整形しました(汚い話ですが効果覿面作業性があがります)。
つまみの最大直径は10mmです。
この30度ほどのテーパーでロック解除の仕事をします。
RELEASEの先の長さが不足しましたので先端の継ぎ足しが必要ですが直径1.5mmしかなく
これより大きいと差しさわりがありますので頭をひねりました。
電気の部品で精密コネクターのピンがちょうど使えそうです。
外形1.5mmで、挿入ピンが1mmですから元になるレリーズ先端を1mmに削って挿入半田付け。
最後に途中の括れを削り落としますが燐青銅ですので苦労しました。
やれやれ
2004-01-10 製作開始から一月です。
一応完成しましたので光線漏れなどのテストをしてきました。GOODでありました。
シャッターボタンの隙間から歯車が見えたりしていますが・・・これがご愛嬌と言う事でご勘弁を。
露出補正とかシャッタータイムなどのダイアルも消えて無くなっています(完全マニュアル機になりました)
距離計連動、レンズ交換不可能、露光はマニュアル、レンズだけは本当のマミヤ純正と言っていいかどうか?
マミヤプレスの100mmです。
非常に惜しいところなんですがこのレンズは本来10mmほどではありますが沈胴出来たのです、しかし距離計連動の青龍刀とセブンのコロの関係でどうしても沈胴は不可能、しいて言えば1mmほど沈胴出来ますが無理をすると距離計を壊すことになりました。
まさに画龍点睛を欠く・・(我流かな・・・苦笑)
ブランコの少女。
滑り台の少女-1
滑り台の少女-2
どうして君たちはピースサインをするのでしょう、照れ隠し?じゃ無いよね。
モデルになってくれてありがとう。
右上のお母さんは楽しそうによじ登っていました。
博多市内の古いお寺の横道
なぜかお稲荷さんが裏側に祭ってあります。しかも注連飾り付き。
そのお稲荷さんの鳥居の横はお地蔵さん。
したたかで土俗的な庶民の信仰心を感じます。