超軽量シノゴ2眼レフ開発記(4号機)

super light 4×5 Twin lens reflex camera


                                                              2004-2

これまでに3台シノゴ2眼レフを製作しましたが基本は既製品のボディの流用でした。
難点は機構をあまり自由にアレンジ出来ないことと、その重量でした。

そこでボディから設計をすれば重量、サイズ共に理想に近づくのではないかとの思いで木製モデルを設計しました。
レンズは135mmでスタートします。

設計は真剣に2日ほどかかって、自分で工作可能な方法をとる事にしました。
木組みは側板に刳りこみを入れて前後面を差し込んで組み立てる事で直角精度と軽量で強度のある構成とします。


まるで、小鳥の巣箱です。
以前模型飛行機を製作していましたのでまったく同じ感覚で仕事が進みます。
常に材料の重さを量りながら製作したものです。


焦点調整機構はマミヤのC22の部品を流用しました。
この方式で成功すれば、今後は自作でラックピニオンを使って製作します。
ただ、ジャンクの流用で感じた事は工作精度が自家製とは比べ物にならないこと、
ダイアルなどはあつらえた物をすぐ使えるなどいい事も多いのでさほど自作にこだわらなくても
良いのかなと言うことです。



右は2眼シノゴの1号機ですが同じく焦点距離は135mmです。
今回の機体はレンズ間隔が70mmとパララックスをかなり軽減する事が出来ます。
横幅はフイルムサイズの制約でほとんど一緒です。

重量は1号機が3.5kgあったのに対して予測ではその半分2kgを割るはずです。

目標は1,75kg以下です。

今あてがっているのはジンマー135mm、f:5.6と、
ビューレンズはD.O.Industriesですが、これは135mmなのにf0がフランジ面にないので
1号機のテッサー1:4.5(135mm)を使う予定です。
絞り、シャッターなどありません。

このままジンマーで進めるか1号機のオプターを使うかですが、オプターは少し役不足な気もします。
また、この機体は今回の最大目標で、ぎりぎりコンパクト化を目指していますので、
150mmや180mmの場合は
再度設計を変更しないといけないので135mm専用機で進行します。




レンズボード周りもおよそ最終的な形となってきました。
ゼロ番シャッターでもやっとの感じですがビューレンズの周りを考えて工作すれば
1番シャッターでもなんとかこなせそうな気がします。
つまり、150mmとか、180mmのレンズ構成でも不可能な構造ではなさそうと言うことです。


この機体の場合、レンズの繰り出しは30mm可能です。
さて、次はピントグラスの工作を開始しないといけませんが、可能ならばフレネルレンズを
使用したいところですね。

本日ピントグラスが到着しました。
フレネルレンズのピカピカも一緒です。
昨日までに革張り仕上げで行く準備も出来ていますので本皮のレザーも入手してきました。


表面鏡の固定完了。
レンズが見えているのは左上に隠れているのが90度折れ曲がって覗けているからです。


ぴかぴかのピントグラスです。
裏に上等のフレネルレンズが隠されています。
まさにルーぺいらずの明るさだろうと思います。


ここは一体なんでしょう?
新案特許申請中(自己申告)のパララックス修正回路ですね〜。
今クランプで仮止めしていますが、細工は隆々、パララックスが生じるとその分をマスクする機構です。
本当は画角は下側に移動するので下側の画角を広げるべきですがスペースやその他もろもろの事情で
頭の方の移動だけでご勘弁、市販のカメラにもそんなのがたくさんありました。


本日の全面の姿。
フレームはマホガニー材に黒のウルシですがフレーム以外の平面は本皮で貼ることになっています。

まだまだジャバラの設計など、することはたくさんあります。



ジャバラの工作中です。
外ジャバラの内側が茶色ですがこのあとで墨汁を使って黒く塗りつぶします。
最初から黒い紙もありますが、パソコンのCADで作図印刷した時見づらいのです。
材質はヤンピー(小羊の皮)
マミヤCで使われている技法ですが、2重ジャバラです。
撮影側レンズ(左側)のジャバラはさらに外側を上下一体のジャバラで囲い込まれますので
万一どちらかのジャバラに穴が開いたとしても光線を引くことはまずありえません。
改めて間宮さんに敬意を表したいと思います。



ジャバラも正式に取り付けました。
メインテナンスのことを考えて前板とは正面からビスで脱着出来る構造としています。
ねじの数が多いのですが仕方ありません。
側面などを覆っている革は確か「山羊」の革のようです。硬くて滑りにくいいい素材です。



フード部分を開いて見ていますが
まだフードやヒンジは取り付けていません。


スピグラと並べて見ました。
幅はほとんど同じです。背の丈がわずかにのっぽですね。

重量を聞いて見てください。
1.85kgと2.5kg なんとこの2眼レフの方が軽いのであります。ヤッター!!
もう少し加工が残っていますが2kg以内に収まることは明白だと思います。
フードと、ヒンジ、吊り金具、アクセサリーシューなどだけが残っているのかな?

最初の目標1.75kgは達成出来ませんが2Kg以内にはなりそう。
ジャバラを繰り出してグラフロックホルダーを外すと、すこしの力で前へつんのめります。
つまり、2個のレンズの重さが前側に偏ってかなり効いていると言うことです(欠点)。


フードも付けましたので重量は1.93kgとなりました。
後アクセサリーシューをつけたり・・・2kgを超えるなよ。






とりあえず、ピントグラスを覗いて見てください。
いつも思うのですが総天然色ですねこれは(当然)


初めての試写。
レンズはジンマー135mm f:5.6 絞り45  蕗は1/2秒  竹は1/4秒


裏庭の杏の木の根ッコわきのフキノトウ。
直径4〜5cmで大きいのです、今年は12,3個出てきました。



ストロボなどを取り付けるアクセサリーシュー3個(内1個はホットシュー)を固定しました。
ビューレンズの上はホットシューです。
別にシンクロタップを付けましたのでホットシュー以外に同時に2個の外部制御が出来ます。
早速6×12のホースマンホルダーを使って見ました。

       ”””完成重量=1.95Kg”””(ホルダーは別)
つまらない計算ですが・・・
  マミヤC3に標準105mmを付けて1.83kg 撮影面積は6cm×6cmとして
     1830/(6×6)=50.83
  本機の場合
     1950/(10×12.5)=15.6
        わ〜〜〜〜い、撮影面積比で行くと約1/3で完成だ。

シノゴの2眼レフの製品は極わずかしか知られていません。
私の知るところではカンボの製品とアメリカの小さなメーカーだけです。
井の中の蛙かもしれませんがたぶん世界一軽量なシノゴ2眼レフではないでしょうか。



ASA100のフイルムでf:8と11の間 1/250ですが被写界深度は浅いですね。
部分拡大して見ると無限大は甘いです。
これはファインダーで見た画角と撮影された画角の比較を目的にして見ました。
思ったとおり、見たとおりの画角でした。
広角レンズでのパースペクティブの強調されたパノラマとは違いますね。


さほど広角でもないレンズの上下をカットしているだけですがパノラミックな世界に感じます。
漫然と撮影してあとで上下をカットするのとフレーミング画角が特殊だよと言うのではすでになにかが違うようです。


この2眼レフは横画面専用ですがカメラ自体を横置きして構えるとファインダ−では逆像ながら
縦画面の撮影が出来ます。
ワイヤーレリーズを用意していなかったのですが軽いので何とか手持ち横撮影が可能です。

 
じつはこんなことが発生しました。
6駒撮影出来ますが最初の4駒はピーカン照りの下、数分置きに撮影しました(成功)。
すこし時間を置いた3枚目の橋を縦撮影したものにはすでに右下に光線漏れがすこし発生しています。
ロールホルダーの引き蓋は取り払ったまま4km散歩したあとに撮った2枚は完全に漏光していました。
(原因は引き蓋ではありませんでした)
この程度の微弱な光線漏れとなると肉眼ではまず検査できないのでいくつかの段階で順次対策をしていくしかないようですね。

思い当たるところの対策を施して完全になりました。


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