ERICA68 auto
年甲斐もなくスポーツタイプの自転車で転倒し鎖骨を骨折。
ちょうど完成の時期に差し掛かっていたパノラマカメラ(6×17)の製作は微細な工作の時期と云う事で1時製作を断念。
保護のための装具を背負って右手をぶら下げて見るともなくガラクタを眺めていると、
安かったというだけの理由で目的もなしに仕入れていたマミヤRB用68電動ホルダーが気になり始めました。
この68ホルダーに適当なレンズを付けてコンパクトな自動巻き上げカメラができないか?
距離計連動のレンジファインダーは大変なので中・大判の広角50〜65mmのレンズだと目測カメラになりますが
この手のレンズはおおむね暗い(f:6.8などというのが多い)のが相場で風景写真専用的なカメラになりそう。
それではあまりにも陳腐なカメラになってしまうので明るいレンズを探してオシロスコープ撮影レンズを調べました。
手元には3.5/75とか2.8/75がありますがいずれも実用イメージサークルが狭い。
以前、このCRTレンズを味見していたKK氏に相談してみたところf:2.8で80mmの手持ちがあるとのこと、
しかもゼロ番シャッターに装着するグラフレックスXL用のRodenstock Heligonで、69サイズを十分カバーするとのことでした。
早速厚顔にも拝借、試用させて頂くことになりました。
シャッターはCOPAL PRESS-NO.0を使いましょう。
このシャッターは最高1/125までしかないシャッターですが一々チャージすることなく「押すと動作」なのであります。
当然のことながらシャッター操作は1動作チャージ→レリーズのロングストロークとなります。
さて段々と実現可能な構想がまとまってきました。
シャッターを押すとすぐ写り、即座に自動巻き上げが始まる68中判自動カメラなら面白くないですか?
これを実現するにはレンズの焦点距離が80mmという事でヘリコイド量は少なくとも10mm以上必要となります。
大判中判サイズの筒型ヘリコイドは65mm用までぐらいがターゲットの様でストローク不足。
35oレンズ用の接写ヘリコイドですと口径蝕が発生します。
マミヤRBのホルダーということもありジャンクなRB67(1眼レフ)のボデーの真ん中を切り取って利用すれば
ロールホルダー交換式カメラということにもなりますね。
ヘリコイドはラックピニオン式でもともと40mmほども前後できる機能があるのでこれを切り詰めます。
こうしてマミヤRB67のボデーの前後を使ったキュービックなカメラの第一回構想がスタート。
キュービックとなると今年連作してきたERICAシリーズの仲間入りということかな?
ところで焦点距離が80mmともなりますと距離計がないと少し不安ですよね。
では距離計が連動できないか考えてみましょう。
距離計を完全自作するのは大変なので、以前ジャンクで処分する35oカメラの軍艦から外しておいた距離計ブロックを眺めてみます。
焦点距離50o用でしたら68で80mmのレンズを使う今回の目的には視野が不足します。
今回68で80mmということは35oフィルム換算の37mmの広角カメラになりますので
ボデーに35oレンズが付いていたカメラならファインダーはそのままに近い状態で使えることが判ります。
残念なことに手持ちのジャンクファインダーは1個は50mm用、もう一つは35〜40mm用の2個しかありません。
この広角側の距離計ブロックは縮小率が高くて0.6〜0.7程度と、非常に小さく見えますので老人向きでないのでパス。
50mmレンズ用のファインダーの方は視野の倍率は0.8程度と割と覗きやすいのです。
しかもパララックス補正用のブライトフレーム付きになっていますので一応周辺視野範囲は広く作ってあります。
パララックス補正は犠牲にして上下一杯に覗ける範囲が使えます。
横幅は少し広すぎますのでブライトフレーム固定式で左右に縦の視野ブライトラインを固定で入れます。
至近距離でのパララックスは左右の固定式ブライトフレームに目印を入れましょう。
計画仕様
1 レンズ Heligon 2.8/80mm
2 画角 56×75mm
3 シャッター COPAL PRESS No-0
4 撮影範囲 0.6m〜∞まで
5 ファインダー 1眼式2重像左右合致式(全ストローク連動-1m以内では誤差が大きい)
6 自動巻き上げ電池 単三4本(6V) 電池切れの際は手動巻き上げ
7 フイルムパック交換可能。
8 重量2kg以内。
1 RB68のダイキャストボデーから不必要なすべてのパーツを撤去
2 前面を平面にしボデーの中央を6cmほど抜き取る。
前面は少し削りすぎで後でレンズ周りのシャッター操作ギヤを組み付ける必要が出てきました。
まぁ、なんとかなりましたが危ないところでした。
3 使えそうなレンズを検討してみる(まだヘリゴンは計画に無い。
4 ヘリコイドも付いたトプコンの65mmです、これなら蛇腹の繰り出しもないのですがレンズが暗いのでボツ。
5 左が1眼レフのままのRB67ボデー 右はガムテープの幅ぐらい後ろを切り捨てたボデー
6 マミヤプレスの距離計、よく見えるが幅が広すぎるのでこのファインダ-は…ボツ。
7 バック面とレンズボード面の平行計測、ここに前後をリンク固定するL金具を挿入しています。
8 前後の高さ調整後レンズ位置とロールホルダーのセンター出し。
つまようじに糸を付けて針をぶら下げる。
9 レンズボードのシャッターボタンのストロークは180度反対側のシャッターレバーにリンクされ、
外周の歯車は蛇腹の前後スライドを軸受けをスラストしながらべベルギヤで90度角度変換伝達します。
(べベルギヤ機構はRB67のシャッターチャージ機構のパーツを流用します)
べベルギヤ軸の回転方向を反転し約2倍の回転角に増速、伝達するのはステンレスワイヤーチェーン8の字掛けの仕事。
その増速された先端に、シャッターボタンが戻りの時だけにカムを蹴るレバーがあります。
画面では左側の長いカムレバーが動作してロールホルダーに巻き上げ指令を出します。
シャッターを押して撮影が終わりボタンが戻る際にだけSWを蹴るワンウエイクラッチ機構です。
この辺りの機構はすべて手作りで、結構ギュウギュウ詰めになりました。
このシャッターボタン形式にする前にRB67のボデーレリーズが使えないか検討試作しましたが
プレスシャッターを操作するには無理があるとわかり断念、レンズボード側にロングストロークのシャッターボタンをつけました。
10 35oカメラのRFブロックを搭載します。
35oカメラのレンズスラストは3mmほどで80mmレンズですと3倍ぐらいのストロークになります。
そこで倍率変換アームを作りますが軸受にはミニチュアボールベアリングを2個使います。
ベアリングは購入すると高いのでしょうが壊れたパソコンの小さなFANの軸受けのジャンクから頂きます。
11 目測の目盛も付けます、
ストロークが∞から1mまでですと10mmほどしかないので斜め線にして拡大、目視を助けます。
ヘリコイドストロークは充分にありますが15mmぐらいで制限して最短撮影距離は0.6mとしました。
RB用のストラップがないので不格好ですが真鍮で自作しました。
正面
右側面
左側面
完成仕様
1 レンズ Heligon 2.8/80mm
2 画角 56×75mm=68サイズ(67バックも使用可能)
3 シャッター COPAL PRESS No-0
4 撮影範囲 0.6m〜∞まで
5 ファインダー 1眼式2重像左右合致式(0.6〜∞全ストローク連動-1m以内では誤差が大きい)パララックス補正なし。
6 自動巻き上げ電池 単三4本(6V) 電池切れの際は手動巻き上げ可能。
7 フイルムパック 交換可能(MAMIYA RBパック)。
8 重量 全装備状態にて 1.78kg
参考重量、ペンタックス67、プリズムファインダー付きボデーのみと丁度同じ重量。ちなみにペンタックス105mm標準レンズを付けるとプラス620gr。
シャッターを押すと自動巻き上げすぐ次のシャッターが押せるのでERICA68 autoと命名
試写
別府北浜の夕暮れ
別府北浜の朝、右手は高崎山。手前は完成間近のヨットハーバー?
竹瓦温泉(掛け流し温泉。200円銭湯です、砂湯は1000円)
ネガカラー、最短60cm付近
END
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