ERICA66製作記
2008/04
勝手にエリカという名前を命名しましたがいきさつは後ほど。
昭和28年、国産カメラにWINDSARというカメラが発売されています。
このカメラの広告によりますとニコンの哨材を使ったレンズを自社で開発したとあるようです。
おそらくはニコンの協力会社の一つで哨材の使用権を貰ったのでしょう。
カメラは35mmライカ版、焦点距離は50mmのオーソドックスな構成ですが
距離計連動でしてその前年に世界を震撼させたライカM3の等倍ファインダーと同じく等倍ファインダーの1眼式距離計連動機で
ニコンS2が等倍ファインダーで追っかけてして発表する前年のことです。
割と短命で終わったカメラのようですがこのレンズ35mmカメラの標準50mmにしては後玉が異常に前進しています。
絞り、シャッターのすぐ後ろにへばりつくような感じなのです。
と、云う事は広角レンズの設計と一脈相通じるものを感じる次第でありますが、なぜ?と云う疑問は消えませんね。
実はこのレンズとの出会いはある手作りカメラファンの方の作品が引き金なのであります。
そのカメラは6×3cmという珍しい手作りカメラで木製の非常に美しいカメラなのです。
しかし、アイデアと木工工作技術は素晴らしいのですが、残念なことにメインテナンス性に欠け
不具合を改善するには接着などをえぐり壊さねば進展しない構造でした。
しかし、このレンズを広角レンズとして見抜いて下さっています。
この広角性能を生かすにはどうしても壊さないと進展しませんのでなるべく復元できるように留意しながら分解させて頂きました。
黒檀で作られた前作者さまの労作。
また元に戻せるように工夫してこのレンズブロックだけを使わせて頂きます。
66サイズですとハッセルブラッドのホルダー、6・45ですとブロニカETRのホルダーが手元にありますが
どちらも完全ジャンクなのです、ハッセルのホルダーは実は4×4のフレームの特殊品でしかも壊れています。
ブロニカのホルダーもコマ送りが壊れたジャンク品。
ご覧のように66ではなく今は使い道のない44の小さい窓しか開いていませんしガイドローラーも
それなりのサイズなので全くのジャンク状態。
他のカメラのガイドローラーを持ってきて埋め込んでみました。
この辺りは非常に神経を使う工作が続きますが
手間を喰った割には旨く回転せずにフィルム面に傷をつけたりで、
やむなく0.7mmのステンレスシャフトに内径1mmのステンレスパイプを組み合わせて対策しました。
巻上げはシャッターとの連動は無く、裏窓を見ながら巻きあげる仕掛けですが光線漏れは絶無です。
完成してみればハッセルのロールホルダーとウインザーの間に18mmほどのスペーサーが
挟まっただけのシンプルなものです、スペーサー自体は両サイドを2mmのアルミ板でサンドイッチして
分解組み立て自在な構造としています。
物を作るときには必ずメインテナンスを可能にする作り方をしなければいけないと云うのが僕の信条です。
66の広角ファインダー(写角は28mm相当になります)
上下が切れますがワイドなファインダーに単独距離計を搭載。
親ガメ、子ガメ、孫ガメ、アクセサリーシューで連結しています。
試写 ハーレーダビットソン
レンズが古いので少々コントラストが低下しています。
あ!命名したいきさつをお話しするのを忘れていました。
手元にドイツ製の35mmコンパクトカメラ「MIMOSA」という可愛いカメラがありまして
それと何か一脈相通じるものを感じたので「ミモザ」の花と兄弟花の「エリカ」という名前にしました。
右側が35mmの「ミモザ」です
どこか似ていますでしょ?
周辺光量落ちが目立つ時がありますので次に645で攻めてみようかな。
END
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