Erica Diana(66)

Ericaシリーズ4台目になります。
1号機と同じくハッセルブラッドのフィルムマガジンを使用します。

実は先日、アメリカはシアトルにお住まいの然る写真家さまからメールをいただきました。
その内容の要旨は
Erica1号機のようにハッセルのフィルムマガジンを使うこと。
レンズにはプラカメDIANA(たぶん香港製)のレンズを使うこと。
シャッターと絞りは確実なものを使うこと。
ヘリコイド調整ができて距離を合わせられること。
そのほかにもいくつかのご要望がありましたが省略するか後の文章の中に織り込みます。

さて、シアトルから飛んできたのは、ありがたや日本語の注文書。

Dianaのレンズだけ1個、Dianaそのもの1台、、ハッセルのマガジン1個、そしてサーモンの燻製とお手紙。


Dianaを眺めるのは初めてですが、プラスチックの1枚レンズですね。
トイカメラ?ですからペラペラのプラスチックの成形筒の中にレンズを押し込んで接着してあるらしい。
加工するにも旋盤で掴めないほどやわな素材なのが気がかりです。

まず、ヘリコイドにはPENTAX-Kマウントのヘリコイドを使うことにしましたがもともと35mmのレンズ用ですから口径は狭い。
シャッターにはこの直径21mmほどのプラスチックレンズを挿入するために”0番シャッター”を使います。
もう一回り小さい”00番”ですとレンズ外径を切削しないといけないのでパスします。

とりあえずレンズをシャッターとヘリコイドの組み合わせにして前玉位置にあてがってみると・・・
鏡筒による口径蝕で66サイズは無理で円形の画面になってしまいます。

ところでDIANAは44サイズのようです、16コマ撮影できるようですね。
今回は66サイズに挑戦してみたいと思います。

ではレンズを後玉の位置に移動してフロントシャッターとフロント絞りの組み合わせはどうでしょう。
このやり方はKODAKのベストポケットカメラの「べス単フード外し」という昭和初期頃に大流行した
ソフトフォーカス写真の先例がありますのである意味では正当派な構成になるわけですね。

そこで正面から覗くとレンズが見当たらない不思議なカメラになります。

ゼロ番シャッター用後玉のガラスをくりぬいてDIANAのレンズを挿入できるか。
左の金具は不調に終わった前玉ホルダーの金具です。
後玉に装填すべく右のダイアナレンズの外周を旋盤加工します。



後玉リングの中に周辺を削ってダイアナレンズが挿入できました。
薄く周辺リングが残ってくれています。
もともとのガラスの後玉よりダイアナレンズのリングの厚みを少し大きめにしております。
したがって後玉ホルダーの中に挿入してシャッター後部に締めこみますとネジで前面側に押し付けられて安定します。



左は後ろから見たレンズ装着状態。
右はヘリコイドリング(ストロークが20mmほどもあります)
レンズとヘリコイドの組み合わせはペンタックスKマウントそのもので脱着できます。



マミヤC型のシャッターを流用したのでストロボのターミナルが外付けと云う事で
シャッター後方にプレートを装着して固定しました。
このように最前面にはシャッターと絞り膜とがあり、レンズは隠れています。



ハッセルのマガジンとの間に発泡スチロールの板をさしこんで黒いテープでごまかして仮のイメージをつかみます。



フランジバックがいかほど必要か判ったのでのでマホガニーの板を積層していきます。
レンズ前玉位置にガラスをくりぬいたリングを付けていますのとレンズ位置が後方なので
シャッター全体がフードの役目をしてくれます。



ハッセルマガジンの最前面の板を頂戴して加工に入るわけです。



出来上がった木部は目止め加工のためにサーフエッサーを塗っているので途中経過でグレーです。



まだ仕上げ塗りに入っていませんが仮組みして様子を見てみます。



レンズ部分の拡大。



絞りの目盛りは不細工な手書き。



絞り目盛りもアイシャドー入れてみました。
あまり面白くないか…



距離目盛の部分はCADで作図したので格好いいでしょ?。
ヘリコイドのストロークが20mmもあるので最短、なんと30cmまで寄ることができます。



アクセサリーシューを上部に付けてファインダーも完成、ラベルも貼って。
ファインダーは∞から1mまでは手動式ながらパララックス補正が付いています。
ファインダーはコンパクトに作ってもいいのですが大きいと撮影意欲も高まるし良く見渡せますから大きくしています。

別にレンズ交換をするつもりもありませんがヘリコイド部とレンズシャッター部は
ペンタックスKマウントの結合ですからバヨネットマウントと云う事で簡単離脱可能.。
レンズ磨きはいたって簡単、ハッセルの引き蓋もそのまま使えますのでフィルム露光もありません。
もっともレンズは裏ッ側に隠れていますので特にお掃除の必要もないでしょう。
メカニズムと云うのは組み立てたりばらしたりできる方が楽しいですね。
ファインダーもアクセサリーシューに挿入ですから脱着自由、
マガジンの引き蓋はそのまま使えますし、フィルムの装填はハッセルそのもののワンタッチ挿入。

まだこの状態では付いていませんが木部ブロックの両脇にストラップ金具を付けようかと思案中です。

シャッターB・1・2・4・8・15;・30・60・125・250・500(ストロボ全域同調)
Dianaレンズ絞り 3.5〜45(おおよその推定)
撮影ピント設定範囲∞〜0.3m
ファインダー倍率0.7(目視推定倍率)手動パララックス補正∞〜1m


完成重量は830grでした。


光線漏れ、ピント位置確認のための最初の試写。


16mに合わせて


1mの距離で高砂百合(草丈約2m)


開放
Dianaそのものではレンズをこのように完全に開放で使うことは不可能です。
これではあまりにもフレアーが出過ぎですが絞りもシャッターも自在に調整できますから最適値を見つけると面白いかもしれませんね。



福岡市役所前広場



募金する子供たち



都会のカラス(An urban crow)


僕はこの包丁でどのような料理ができるのか見当もつきませんが
シアトルに渡ってきっと素晴らしいお料理が出来上がることと楽しみにしています。

END

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