エイトバイテン(8×10)クラップカメラ
巨大なハンドカメラを目指して・・・結果はアームカメラになりました。
2010 4 1

バイテン写真機と言えば大きな組み立て暗箱かスタジオカメラが主流です。
今回はレンズを内装して前蓋を開きレンズを引き出せばすぐ写す態勢がとれる
大きなハンドカメラと言う位置づけで工夫してみました。
A4サイズぐらいのフィルムに写すのでアームカメラになっちゃいました。

動機は至って単純で、8×のフィルムホルダーを1個だけ格安入手したのがきっかけ。
最初はピンホールカメラでも作ってみようかと思いましたがレンズ撮影もしたい。

干物箱を漁っているとImagon250mmにCOMPUR、No3が付いた物が出てきました。
レンコン絞りのついたソフトフォーカスレンズです。
これはレンズは1枚玉ですから見かけのイメージサークルは充分広いです。

1 8×10ホルダー入手。                         
2 Imagon250mmが出てきた                      
3 スピグラのジャンクが出てきた。                    
4 レンズ交換もしたい、ピンホールカメラにもしたい。         
5 レンズは付けたまま収納でき手間をかけずに簡単撮影がしたい。
6 図体は軽くして、手持ち撮影もやってみたい。            


シノゴ-スピグラのヘリコイド量はベッド上のスラストで200mm、ラックピニオンによる微動で100mmですから
最大300mmのレンズ移動が可能なことになります(加工の際にスピグラより延長している)
単純には150mmぐらいのレンズから350mmまでぐらいのレンズを使えます。




まずはシノゴのスピグラ(クラウングラフィック)のバックを20mmほど切り捨てて浅くします。
黒いレザー張りは取除いてチーク材を剥き出しにして窪みの部分などはマホガニーの薄板で塞いでいます。

そして周辺にマホガニーの鉢巻を造っていますが開口部いっぱいに蛇腹を拡張する必要があるためです。
そうしないとオリジナルの蛇腹では5×7のイメージサークルすらも賄えません。




奥行き150mmほどのエイトバイテン最低限のBOXを造ります(約270×320mm)。
マホガニーの厚板では重量とその貴重さから大変なことになりますのでDIYのお店で赤松材と称する綺麗で軽く
まるで桐のようなスカスカの木材を買って0.3mmほどのマホガニーの突き板貼りに成功。
今使っているシャッターはCOMPURですが電池が邪魔なのでこれを使うには一工夫が要ります。
とりあえず今回はCOPALの3番を使います(シャッター範囲が狭い)。




蛇腹も先端部だけなのにヤンピー(子羊)の半分ぐらいを使います。
ヤンピーにマジックインクで印があるところはピンホールテストで光線漏れの見つかった箇所です。
ヘリコイドフレームいっぱいまでの蛇腹を作ります。




完成-シノゴのスピグラが小さくみえまぁ〜す。
三脚穴は縦横付け替えられます。




引き出してImagonの無限大位置にストッパーセット、
摘みを廻してそのまま最短1.2mまで伸びますが
さらに近接したければストッパーを倒してレンズボード位置を前進すればよいのです。




バックには折り畳みフードを作りましたがカバー材に予定していたビニールレザーが皺になって使えず
街まで買いに行くのも面倒臭く、家内に帯の払い下げを願いました。
ブリキ板の強度を出すために湾曲させているのでまるで
太鼓帯を締めたような・・・
そういえば本体はまるで
千両箱みたいな形に見えて来ませんか。
持ち運びの取っ手もつけたいのですが
箪笥の取っ手ならどうだろう?




フードは開くとこのように自分で展開します。
帯の中に顔を突っ込んで覗くのは一瞬妙な気がします。



 
フードだけをピントグラスから跳ね上げることもできますがピントグラスごと跳ね上げられます。




そして両面ホルダーと差し替え固定します。




シャッターはコパル
レンズはImagonです、レンコン絞りの奥に隠れています。
当然シャッターに付属する絞り羽根もその間にあります(f:5.6〜180)普段は開放です。




右上がImagonですがほかにもイメージサークルがバイテンをカバーするものが出てきました。
レンズボード製作が忙しくなりそうです。




エイトバイテンとしてはコンパクトな方ですがレンズの先端からフードの後端までは65cmにもなりました。
小男の僕はファインダーを覗きながら距離摘みまで手を伸ばすのが苦しい。

仕様
収納時寸法 270×320×260mm
レンズなしの重量3kg

レンズとシャッター(Imagon 250mm)重量580gr

シャッターT/B/1〜125 (コンパーなら32秒から1/200まで14段とT)
あおり類はスピグラの機能をそのまま引継ぎ(貧弱です)
市販のバイテンで本体重量が3.5kgと言うのが1社ありますがその他はおよそ10kg前後まであります。
したがって僕のが最軽量だと思いますし、レンズをそのまま収納できる市販カメラはなさそうです。

(当然機能には制約があります)

これを製作するに当たってレンズを提供してくださったY・Iさま 
遥々ジャカルタからマホガニー材を提供してくださったA・Iさま、
その他の方々に深く謝意を表します。


試写

撮影距離、約2m
レンコン絞りH=7.7で撮影(シャッターの絞りは開放)。




撮影距離1.1〜1.2m(ブレザーを羽織ってエアーレリーズで自写)
レンコン絞りは取り去ってシャッター付属の絞りだけでf:8

フィルムはefkeASA100(ASA50で使用) 2004年に期限切れ、常温保存。D76タレ方式処理。

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