ハンディースキャナーでエイトバイテンデジタルバックを作る試みの準備
2019 12 04

なぜハンディスキャナーを使ってエイトバイテン全面のバックを作ろうかと思い立ったのか?
大判カメラのレンズを使ってデジタルカメラ(主に35oサイズカメラでしょう)に装着して楽しむ方々が多いですね。
しかしレンズ本体のイメージサークルのごく一部の性能を利用しているだけになるのではないだろうか?
やはりレンズの周辺特性なども含めて元々のレンズの性能を見てみたいと思うのはへそ曲がりなのかなぁ。

まぁ単なる道楽・趣味・変態なのといつも何か工作をしていたいという性癖なので
お安く手に入る中古のハンディースキャナーを入手しました。
実はフラットベッドスキャナーをばらしてCCDを取り出し、645サイズの中判?スキャナーカメラは何台か作りました。
そのころCIS方式のスキャナー(受光素子のサイズが8インチほどある)をばらしていきなりエイトバイテンにしてみた事もありました。
しかしいずれもメーカーの仕様で、スタート時にキャリブレーションが始まると、
妙な改造したものはそれに対応できる構造にしておかないと先へ進まないということが起きます。
これは説明をすると長くなるので大雑把に説明しますがキャリブレーションというのは
受光素子や光源の変動やばらつきを補正する大切なことなのです。

ところがハンディースキャナーはCIS受光素子が高性能になり均質化してきたのと
高品質画像を犠牲にしてもコンパクトにしたいというのがあったのかキャリブレーションはしないですね。

私も高性能なデジタルバックを作るのをあきらめても手軽にエイトバイテンをデジタル化はしてみたい
高価なシートフィルムを消耗するのはもったいないので、まずはデジタルで安易に試写して見れるメリットはないか?
(本音は単に変わったことをしてみたいので言い訳を考えているだけですな)

まず手持ちのエイトバイテンカメラは2台しかない、
一台は完全自作で受光面の中心に潜望鏡が下りて距離計合わせができるエイトバイテンRF(レンジファインダー、)
これは少し重たいのとレンズ交換が厄介な構造なので却下

もう一台は8つ切りカメラ(多分米国製)の後方を自作で伸ばしてバイテンにしたカメラ。
こちらは軽いのはいいのですがそのためにバックのピントグラスを跳ね上げ式にせずに
撮り枠を挟みこむ式にしていました。スキャナーバックを構成してみたら
撮り枠の厚み14oには寸法が収まらないことが判明したので
カメラのピントグラスバックのほうから改造をする羽目になりました。


ピントグラス板でホルダーをバネで挟んで固定しています、分厚いものははさめません。


 
デジタルホルダーの場合構造的に厚みが発生するので跳ね上げ式に作り替えます。
跳ね上げ用蝶番を作ります、切断して真ん中を重ねてロウ付け。
右側写真の左のほうは銀ロウ棒が1.6oしか見当たらず付け過ぎ
右のほうは小さく刻んだロウを挟みこんで付けたので表には出ずに奇麗な仕上がりです。


 
新蝶番でフィルムホルダー装着して装填したところ。                              下のラッチ金具


 
デジタルバックを装着して左はグラスを跳ね上げ、右側はグラスを下したところ。
デジタルバックは未完成、仮止め中。



デジタルバックはいきなり不調でお見せするようなものではありませんが一応の経過ということで見苦しいものをちょこっとお見せします。

グリーンのバーがCISセンサーブロックです。ICボンディングの多分数ミクロンの配線がむき出しなので触ると即死です。
以前紫外線硬化樹脂を暗室光の下で双眼顕微鏡下で注入して硬化をしてみたことがありますが原因不明で失敗しました。


蓋は外して右上においています。極薄のベルトはPPの粘着テープに薄絹を張り、そこに摩擦を増やすための
ステンシルインクを塗り込んでいます。ベルトの仕上がり厚みは0.015o
センサーバーとスキャナー本体間のフラットケーブルはキャノンの古いスキャナーLide40のケーブルを再加工して調達。


組み上げたばかりで回路のカバーもマスキングテープ止め、センサー保護硝子の内側はゴミだらけでしたが
大問題は画面の波打ちです、
これはハンディ―スキャナーの横移動検知が直径5oのゴムローラーの回転をパルスエンコーダーに

伝えているので約15oの周径とエンコーダーのパルスが狂うと横長画面であったり圧縮画面になるので
華奢なゴムローラーにベルト掛けをしてそれを横移動するセンサーブロックに伝達しているのがマズいのです。
エンコーダーのパルス数とゴムローラーの正確な直径の検討から初めて横長寸法誤差のない振動や無理のない送り機構を再設計だなぁw

そろそろボケが出始めているのでいつまで進行するかわかりません。
レンズはCOOKE Anasutigmat f6.5 9 1/8f:22


今回はバイテンカメラバックの跳ね上げ装置の製作記事ということで・・・
デジタルバックの話はなかったことにして・・・おあとが宜しい様で (/ω\)

END