焼き物の里「小鹿田=おんた」
2007/09/20


小鹿田は大分県日田市北側の山地に位置します。
江戸時代中期にここに数軒の焼物の集団が陶器の窯を構え、現在にいたっているようです。
製品は周辺の農民や日田市内の商家や住民に日用品の供給を行ったということです。
したがって非常に素朴で温かみのある陶器が静かな山里で営々と作り続けられています。

国指定 重要無形文化財保持団体となっています。

小鹿田焼公式ホームページをご参照ください。
 http://www.onta.jp/


知り合いの3名の写真家さんから道筋を尋ねられたのでここ数年足を延していなかったこともあり
私たち夫婦も同行させて頂くようにお願いいたしました。

車の離合も不可能な細い山道の奥に10軒の窯元と1軒の食堂と酒屋さん、
そのほかに係累の方々が多少はお住まいかと本当に小さな集落です。

土は村で共有する山から良質な土が出るようで共同で掘削して分配されます。
窯は5軒共同の登り窯と、1軒の窯元ごとに所有する5基の登り窯があります。
土は村の中を流れていく小川の水を使った唐臼で搗かれ粉砕され粘土となり
釉薬も山で切り出した薪の灰などが使われているのでしょうか。
ほとんどすべての材料を自給自足で賄っているようですね。


 列車で行くとJR日田彦山線の「ちくぜんいわや」駅から山道を登ることになります。
ここは棚田が一面に広がる名所のようで棚田公園と云うのもあったようです、今は刈り取りの時期。



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右手の電柱の脇を通り、車の離合もできない細い山道の奥になります(普通車しか通れません)。
(日田のほうから新しい道ができているようですが旧道を通ってしまいました)




登り窯と煙突




陶芸資料館?から集落を見渡す。




山から掘りだしてきたゴロゴロの石のような状態の陶土




小川の水を使った唐臼。




休むことなく水音と杵の音が聞こえています。




搗き上げた粘土を水簸と水抜き。
棚の上の鉢は水分を抜く素焼き鉢でしょう。




乾燥窯です、水分がまだ多すぎるとトンネル状の窯の外に粘度を貼り付けて中で火を焚きます。
おそらくここで生成される灰は釉薬として使われるのでしょう。



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ここではほとんど蹴轆轤が使われるそうですが最近小物に限り小型の電動が使われるそうです。
天日に干して繰り返し位置を換えながら歪まないように乾燥する作業、本当に大変でしょうがまさに伝統の工法です。



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焼きあがった作品の窯出しをしている陶工の姿が見えました。


小鹿田焼は一子相伝の伝統を守っているところです(現在10軒)。
ところで・・・将来の名陶工に出会いました。



A
将来の陶工さん



B
鉄の鏨で窯から取り出した焼ものを手早く叩いています。
割れたらどうするのだと老婆心で「何をしているの?」と聞いたら
「音でひび割れが分かるでしょ?」と云われてしましました。
参りました、そのあと湿った布巾で灰を拭き上げるのだそうです。



C
湯呑の底を砥石でくるくるっと



D
おじちゃんどうしてカメラ取り換えるの?



E
登り窯にも案内してくれましたがそのすばしっこいこと・・・おーい待ってくれぇ〜
まるで座敷童子。



F
あそこからここに粘土を持ってきて、こうやってかき回すのだよ。

将来の陶工さま大変ありがとうございました。


G
1軒だけある茶店へ橋を渡って、素朴な蕎麦定食などをせせらぎの音を聞きながら頂いて帰りました。

撮影機材 ペンタックスMZ-5 シグマ28〜70mm・コニカヘキサー35mm・コニカFantasy35mm
フィルムはイルフォードFP125、D76自家調合注足し式

カラーの分はフジFinePixF30(コンパクトデジカメ)


END
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