YASHICA MAT124Gの整備

2009/11/30

知り合いの写真家さんの愛機という事でお預かりしたヤシカ マット124Gなのですがトラブルを起こしているのは露出計
インターネットで調べてみたら修理業者の広告では露出計関係は修理不能という事での整備引受けのようです。
ご依頼は、愛機の露出計がまともに動かなくなったのだが修理不能であれば諦めるとのお話です。

預かった機体はアッと驚くような綺麗な機体です。
問題の露出計は時折引っかかる感じで叩くとまともに動き出します。
124GはCDS受光素子方式で。CDSとか接点、配線関係ならパーツも手持ちがあるので何とかなります。
ところが針が引っ掛かるというのは専用に設計された電流計なのでこれが壊れたいたら打つ手はありません。

2眼レフとしてはかなり軽い方ではないかと思います。
オートマット式で使い勝手は良さそうです。


電流計は強力な永久磁石の磁界の中にムービングコイルが置かれて旋回します。
引っかかるという事で一つ考えられるのが軸受の摩擦でしょうがこれは問題なし、
次に強力な磁界の中に微細な磁性を帯びた鉄粉などが閉じ込められてコイルの通路を邪魔することです。

磁界の中でしかも極少な磁性体を取り除くには全体をばらして非磁性にして取り除き再組み立てという手順でしょうが
とても我々のレベルでは再生不可能な工程です。

今回の機体は磁性粉が可動部分の動きを邪魔しているようです。

まずはファインダーカバー、両サイドの4本のビスをはずして簡単に上に引き抜けます。
そして露出計関係の保護カバーが2本のビスで留められていますので簡単にメーターに辿り着きます。



中央上部の黒い円柱部分がメーターです。
MAT124Gの Gという命名は左部分のガラスエポキシ基板の辺りが金メッキのゴールドでGなのだそうで
この時代では贅沢なことだったのでしょうか、生産コストとしては数十円も掛からないでしょうけど・・・


さて華奢なムーブメントと外皮の磁界の隙間に磁性のごみが詰まったとしてメーター自体の直径が12mmΦほどしかなく
スリットは0.5mmもない空間です。


コピー用紙を3mm幅ぐらいに切り出してリーダーテープとします。
長さは10cmぐらいです。
その先に幅2mmほどのマスキングテープを5,6cm継足します。
マスキングテープの粘着剤で磁界に閉じ込められたゴミをうまく吸着できたらいいですね。




まずはリーダーとなるコピー用紙部分から隙間をくぐらせます。
そして下に引いていって粘着部分でゴミの回収が・・・
裏向き、表向きに、一度使ったものは捨てながら数本のリボンをくぐらせました。
今回はこれでとりあえず正常に動き始めました、運が良かった。

ついでにファインダーのミラーとピントグラス部分の汚れクリーニングをして完了。



組み上げて眺めてみると上の隙間からメーターが裸で見えます。
これじゃゴミも飛び込みやすいですね。




2000年3月で期限切れのPROVIA100を感度低下と予測、ASA50に見立ててE-6自家現像処理。
ここのところE-6処理の補充液現像方式の実験もやっていましてこれは補充液10回目の処理です。

フィルムは10数年前のものですから当然退色していますのでEPSON GT-X900で退色補正機能を使っています。

レンズは開放3.5〜4の間、 1/60で最短距離。
露出は修理完了したメーターの指示通りです。
正常ではないフィルムですがポジでこれくらい出てくれたら露出はオーケーですね。




上の写真の中心部分の拡大です(少し明るくしています)。

END

TOPへ戻る