TANACK Type IV-S レストアとTANAR(Hc)F=5cm 1:2.8の試写


                                                                         2004/09/20


 知り合いの方からタナックの整備を依頼されました。
私はこの手の国産ライカコピー機を一度も手入れしたことがありませんので興味津々ながら、元のオーナー様の
大切な遺品ということで緊張もしました。
 レンズは沈胴ではなく真鍮のずっしりした50mmにしては長い鏡胴のものです。
特筆すべきは最短1,5フィートまでのレンジがあります。

 ライカIIIFに装着すると2フイート以内まで連動しますがタナックでは3フィート以内は距離計が連動しません。
したがって3フィート以下はスケールで計測することになります。

さて、本体の状況は高速シャッターでは幕が開かず、低速ガバナーは動作しません。
真っ当な感じで動くのはたぶん1/25だけのようです。

早速分解給油で試行錯誤してやっと動く状態になりました。
スロー側の1秒が1.5秒の感じですがこれで勘弁ていただくことにして蓋をしました。

分解した感想としてはダイキャストがまだ洗練されていない感じと、ねじ類がライツ製品みたいに鉄材焼入れ硬化の様な
がっちりしたものではなく、1箇所はねじ頭が直ぐに割れてしまいドリルで貫通、再度タップを立てる羽目になりました。


ヘリコイドレバーはやがて1回転、340度ほど回転しますが、3フィート以上の動作では何も不便は感じません。
距離計の対物側左側の化粧リングは付いていませんでした。
貼り革もエッジでめくれあがっています。



 部品点数はバルナックより多い感じがします。
改良というか使いやすくする為に片ヒンジの裏蓋開閉式になっています。
 巻き戻しつまみは2段に引き上げられます、1段目で巻き戻し、2段目でパトローネの脱着です。
裏蓋開閉にしたためにバルナックよりも幅が7mmほど広く、高さも2mmほど大振りになっています。
 幸いシャッター幕は異常なしでしたので助かりました。



さて、完成しましたのでバルナックライカIIIFと並べて記念撮影です。
上がTANACKですね、幅も高さも少し大振りですが、まだ物資も潤沢でなかったころに、よく出来ていますね。

先日、レンズ単体での試写はしました。

http://mutohide.ddo.jp/gallery/dazaifu-tanar.html

今度はボデーの試験とあわせて行います。
その前に一度試験したのですが現像液を間違って印画紙現像のコレクトールでやってしまった大失敗です。
ただし、その時点で裏蓋からと思われる光線漏れが何コマかありましたので対策をしてみました。


試写です









いずれもキャビネサイズのプリント。
AGFA Multicontrast Premium MCP 312 RC Semi-matt 2号フィルターです。
絞りはf:8です。

END

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