Photinaという2眼レフ(GERMANY)
PHOTABIT-WERK またはBalta-Werk ドイツのメーカーです。
このPHOTINAは資料によると Cassar f:3.5 75mmを付けて販売されたとありますが、
今回入手した機体にはRoeschlein Kreuznach Achromatという単玉レンズが付いていました。
アクロマートレンズといえば既に1750年頃に開発された古典的なレンズですね。
そのレンズが後方のフイルムゲートは平面のままでどれほどの性能を示すのか興味のあるところです。
資料ではc1953製造となっていますが資料とはレンズが違うので別の年代かもしれません。
また、もしもカッサーであったならビファインド式のギロチンシャッターの前に3枚ないしは4枚構成のレンズが
セットされることになるのでデザイン的にも1枚レンズのほうが正当で資料のミスと言うことも考えられます。
この名称のカメラはの後にTYPEIIIとしてギヤカップルの(リコーフレックスみたいな)
ファインダーでピントを合わせられるタイプに進化しています。
そうなのです、この2眼レフのファインダーは物凄く明るい空中像式のブリラントファインダーなのです。
ピント合わせは3点クリックのあるゾーンフォーカスになっていて、ボディはダイキャストの特徴あるデザインです。
つまりピント合わせは撮影レンズを繰り出したり引っ込めたりの簡単目測なので
いかにもレンズボードが前後しそうなデザインはハッタリですね。
Viewファインダーの左右の蟻の耳状の突起は絞りとシャッター速度を切り替えます。
シャッターはB 1/30 1/100 の3速が得られるギロチン式です。
絞りはf:9 f:11 f:16 の3段が選べますが完全な円を打ち抜いた絞り板が入れ替わる仕組みです。
上から覗くとこのとおり
Viewレンズは固定ですのでその位置にゾーンフォーカスと絞りの関係、つまり被写界深度表があります。
そして、ファインダーレンズの左側には100と言う数字が見えますか?これがシャッター速度表示です。
右側の窓には絞り値f:11が表示されています。
この値はそれぞれの位置の蟻さんの耳(触覚)のレバーと連結しています。
肝心の距離のヘリコイドはテイクレンズの、今赤いポッチが最短距離の位置であることを示しています。
横から覗いて見ると・・・現在100%フードを開いていないので少し傾いていますが後方からのフードはありません。
これでも十分明るいファインダーなのです。
そして今斜めに開いているファインダーを倒すとスポーツファインダーの前枠になる枠だけが直立しています。
アイピース側には規制金具があったと思われますが紛失しています。
実は、早速試写をしようと外に持ち出した途端、アクシデントが発生しました。
二眼レフカメラの裏蓋は90度折れ曲がった金具で普通ですとヒンジ(蝶番)で本体と結ばれていますよね。
ところがどっこい、このカメラの裏蓋はラッチを開くと豪快に離れ離れになるのです。
寒さをこらえて懐にしまいこんでいたカメラを引っ張り出した途端裏蓋が外れてフイルムがするするとほどけてしまいました。
悪いことに、このカメラの給送側には何もピンなどは無くてフイルムを落とし込むだけ。
開いたフィルムはさっさと開いてしまうのです。
しかも、そのラッチは何の躊躇も無くスルリと移動して開いてくれるのです。
そこで!!上部左側の空間にコイルスプリングが見えますでしょうか?
コイルスプリングを仕込んで、バックにゴム板を当ててラッチの開放には力を入れるような構造にしました。
簡単ですが確実な改造です。
これは上部横から見た画像ですが左上と下にアルミニュームのポッチが見えますね。
下のポッチを押すとファインダーフードが立ち上がります。
上部のポッチでスポーツファインダーが開くのです。
その間に洗濯板のようなギザギザの板が見えますがこれが裏蓋を開くスライドノッチです。
では早速の試写
いつもの我が家のレモンです。
f:11 1/100
裏庭の蕗のトウですさすがに1,2mはなれての撮影なので小さいですね。
しかも少し先にピントが来ています。
f:9 1/30
まるでごみ集積所の状態ですが・・・
f:11 1/30
13年連れ添った家内の軽四輪、まもなくの別れですので綺麗に洗っています。
f:11 1/100
未だバンパーのあたりが汚いですね。
f:11 1/100
道路の向かい側を珍しく外人二人が自転車で通り過ぎていきました。
そう言えば、この位置から2,6km左側にはアメリカの卸スーパー「COSTCO}があるのです。
f:11 1/100
画像はすべてCanoscanD2400U600dぴで取り込みレベル調整のみ、アンシャープマスクなどはかけていません。
ファインダーは100%以上に見えるサービス振り?のようで要注意ですが距離マークは意外と正確に合ったいるようです。
単玉レンズで、しかもフィルム面は完全平行面なのに隅っこまでしっかりと写っている。
このボデーがちゃんとしたダイキャストで色々と楽しい工夫をしてくれている様は敬意を持って見習うべきだと思いました。
これほどのボデーを構成するのであればカメラの命であるレンズはもう少し工夫してしかるべしとの
先入観を見事に打ち砕かれた楽しい試写でありました。
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END