オペマが落下した

                                                                             2004/09/02
お気に入りのオペマUを椅子に座るときに落としました。
革ケースに入れて持ち歩いていたのですが底をねじ止めしていなかったのです。
なぜかと言いますと、革ケースはさほど硬いものではなく、割としなやかですこし薄手で、
ご覧頂くとわかりますが、距離計のファインダーの突起などに引っかかって普段抜き取るのに苦労するぐらいの硬さだったのです。
おそらく女性のブーツもこんな感じかなと思い、普段からねじ止めしていなかったのです。

そして、本日。

喫茶店の椅子に座るときに、するりとケースが反転してあっけなく中のカメラは真っ逆さまに
テーブルの台座の鉄の金具にぶつかってしまったのです。

あわてて引き上げて見ると、無残にも眉間に一太刀。 嗚呼。




薄いブルーのフイルターはレンジファインダーが見やすいように僕が貼り付けたフイルムです。



構造的に特に変ったことはしていませんが前後の3本のねじの他に、ストラップ金具2個ねじ止め、
巻戻しつまみ(ねじ止めを更に横から小さなねじで固定してあるので横を緩めてからフイルム側を固定して反転させます)
シャッターダイヤル(横に固定ビスがあるので少し緩める)
巻上げダイヤル(これも横の固定ビスを緩めて逆転させます)
  裏側に八つ爪の皿スプリングとカウンターダイヤルも外れます。
シャッターボタンが挿入してあります。
以上シンプルな構造です、アクセサリーシューは外さなくても良いです。



整然とした構造ですが左側の距離計は非常にユニークな構造でハーフミラーを張り合わせ構造にした(ピンクの斜め筋ペイント部)
贅沢なプリズム棒形式のものです。



これが無限大の時のレンジファインダーです。



これは距離1mにセッティングした時の平行プリズムの位置です。
大きく後退しているのがわかります、これだけ可動部が大きく動くと言うことは距離計の磨耗誤差発生が少ないことを意味します。
この構造は初めて見ましたのでおそらくmeoputa社の独創だろうと思います。
これだけを見てもオペマにかけるドイツに蹂躙されたチェコの技術者の執念を感じ取れます。
機能的には開花していませんが素晴らしい設計技術、工作技術が読み取れる一品です。




鏡胴の上のファインダー、対物レンズの上部がダメージを受けていました。
クラックがはいっているのですが交換できる代替部品の入手は無理でしょう。
ファインダー上部に濁りが介入しますが、身から出たさび、形あるものはいつかは壊れるものとあきらめます。



下手な修復で軍艦部の凹みをここまでは修正しました。






落下直後の数枚の撮影の内の1枚。
すこしピント位置が狂っているようですがブレかもしれません。
ASA400 f:2,8 開放。シャッター 1/25


これはフイルムの最後で右端がすこし蹴られました。
撮影条件は上と同じ。


対物レンズのダメージが気になり始めましたのでついに凹レンズをかき集めて何とかでっち上げてみました。
使ったレンズは3枚、2枚は古いポケットカメラの残骸からプラスチック製ですので加工は簡単でした。
もう1枚がガラスですこしアンバーなコーティングがされています。
オペマのRF部は黄色で、それと透明のビューとの組み合わせでしたが、このアンバーな感じの色と黄色が非常に相性がよくて
レンジファインダーの分解が大変良い感じになりました。




1が破損したオリジナルのレンズです。
2と3がプラスチックレンズです。
4がコーティングのかかった弱い凹レンズです。
5は最初から付いているRF部の上下左右の微調整平行レンズですが大きく動かして僅かの調整となりますので
非常に安定しています。
1の壊れたレンズは参考のために置いただけです。



これがカバーを付けて組み込んだ完成状態です。
ピンクの斜め線がハーフミラーブロックですね。



これはファインダーの接眼部を出時価目でとって見たものです。ゴーストみたいなものは肉眼では感じません。
周辺の輪郭などははっきり見えるのですが、多分、カメラを近づけすぎたのだと思います。

END

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