双眼鏡カメラNICNON(ニクノン


友人のクラカメ屋から取引の相談が舞い込みました。
カメラを修理してくれ!駄賃にはオペマ(目測機)をやる。直らなくても診てくれれば駄賃は渡す。

こんな虫のいい話はありませんねぇ。早速駄賃のオペマを観察すると革ケース入りで外観は美品、メカも快調。
ところがレンズの前玉がオペマの特長とも言うべき曇りガラスになっています。
このカメラのレンズを磨いたことのある友人に分解の仕方を教わってばらして見ましたが、傷は深いので表面がきれいになっても
おそらく性能は狂ってしまいます。
ライカの模倣を排したこのカメラは独自のレンズマウントですから、掃いて捨てるほどあるライカのレンズは使えません。
それに戦後の物資不足の中で作られた為か曇ってしまったのが多く、正常なレンズを探すのはまず無理。
なぜならばこのボデーは簡潔で優れた工作なので壊れませんので、結果としてレンズ不足になるはずです。

そこで思い切ってLマウントのジャンク・フェドのLマウント座金を拝借して見ました。
ライカと比較して見るとフランジバックが1mm〜1.1mmほど浅いので1mmのワッシャーを作ってあてがいました。
フランジのとめネジ位置はぴったりとライカと同じですがオペマは座金に雌ネジを切ってボデー側から固定します。
ライカの場合はボデーにタップを立てていますね。
そこでナットを使って固定しました。

話が本題から離れました。

修理依頼を受けたNICNONの修理の話でしたね。
***********
  このカメラについて少し調べて見ました。
  1968年に日菱という会社が「テフレックス」というカメラを発売していますが、まさにこれですね。
  どういういきさつでか名前が途中で変わっています。
  そして2年後同じカメラの左を取り去った単眼鏡「ニクノンS」を発売しています。
  このカメラは構造的には完全な一眼レフカメラですが普通の一眼レフと全く光路が逆でフイルム面には90度プリズムを通して
  直角に折り曲げて写し、ファインダーがストレートなのですね。

  さらに余談ですがアメリカ映画{メカニック」で主演のチャールス・ブロンソンが小道具として使っているそうです。
***********
双眼鏡の右目側の光路に90度プリズムを置いて横にリコーオートハーフのボデイがくっついていますが給送メカがおかしくて
全くシャッターが切れない状態です。
どのように組みつけてあるのか観察して見ますと、1/250、1/125、1/60と3速です。
シャッターはメタルフォーカルプレーンシャッターでリコーからフイルム装填のメカニズムを供給してもらってシャッターだけを
この製品のために設計したのでしょうか?
シャッターボタンの横にリコーにはないネジふたを見つけて中を見ると小さなピンが見えます。
このピンをちょいと押したらそれっきり正常に動作を始めました。ワッハッハ。
メタルフォーカルプレーンシャッターのメカを覗いてみたいところですが他人様の品物ですからあまり弄繰り回すのもどうかと思い
そのまま蓋をします。
あと、カメラ側の対物レンズが外れかかっていたのでここぞと思うところで固定しましたが、これが狂っていると目で見る分はいいとしても
カメラ側で合焦するかどうか?シャッターにバルブがないので調整は面倒です。


これがNICNON 名前はなんとなくインチキくさい名前ですね。
シャッターボタンのすぐ後ろにある(かすかに見えている)ネジをあけてピンを押したら動き始めました。
上に乗っかっているのが駄賃のオペマ。目測機のオペマです。

 
対物レンズに絞りがあります。f:3.5〜16                        ここは距離レンジメートル(20m〜∞)とフイートです。
もうひとつTと表されている数字が9〜32まで?                    これも見間違いを起こしそうですね。
この目盛りの意味がわかりません。(~_~;)
なお、絞っても接眼レンズ側ではさほど暗く感じませんね。
人間の目のラチチュードは物凄く広いと感心しました。
あ!!それと対物レンズの焦点距離は165mmであります。
ハーフカメラなので300mm相当でしょうか?

 
これは接眼部                                          シャッター速度設定部(リコーにはない)


家の前を通り過ぎる若い主婦。
誰もいないと思って大きなあくび。ゴメンネ。
このフイルムはASA400 プレストですが、絞りダイアルのT目盛りを勘違いして使った為f:11のつもりがf:5,6だったので
D76現像を7分の標準時間から5分30秒に切り詰めたインチキ減感。20m


同じく減感フイルム?での最短20m2台目と3台目の車の間の旗までが20mです。
距離レンジはうまく調整できたようです。ラッキー!!


ここからは現像液をTECNIDORに変えたASA400フイルム



これも20mに設定して撮影。
手持ちのフイルムがASA400しかなかったので現像液だけでも工夫しようとTECNIDOLを使いました。


200mはなれた新幹線の斜面で草刈をする人たち。


田んぼの中にユンボが作業をしていました。


100mはなれた7イレブンと600m先のローソン


やはりバードウォッチングが一番いいのかな〜 すずめの日向ぼっこ。

END
TOP