mimosa Uのレストア


ミモザ 別名花アカシヤという可憐な花の名前ですがその花の名前うを冠したカメラ

1947年にドイツのDresdenからミモザ Iが発売され1950年にはIIが発売されているようです。
I とIIの違いはシャッターがコンパーラピッドからVeiax或いはProntorなどに変わったからでしょうか?
カメラ趣味になって以来、独特のデザインに惹かれずっと気になる存在でしたが現物に逢う機会がありませんでした。
この個体にはMeyer Goerlitz Trioplan 2.9/50というレンズとPRONTOR IIのシャッターを組合わせてありました。



なんと可愛いデザインでしょう。


ローライ35SEと並べてみると幅は全く同一
背の丈もミモザのダイヤルを除いた部分と全く同一
奥行きだけが俄然違います。
ローライは設計を始める時にきっとこのカメラをモデルにしたのではないかと思われるほど一致します。


先日知り合いのクラカメ店に行ったところ、完全に不動で転がっていたのを発見。
すぐに、修理依頼を受けるというか、あつかましく自主申告で「是非修理させてくれ」と頼み込んで持ち帰りました。

云うならば拉致略奪に等しいのでありますが喜び勇んで持ち帰り調べてみて驚きました。
シャッターボタンは押せない(固着)シャッター速度変更不能、巻上げはガリガリ
とんだジャンクを引き受けたものと反省しながらも先ずはシャッターを解体したらあちこちのネジが緩んでいます。
洗浄給油を何度も繰り返しながらネジを締めていくと完全に固まってしまうのです。
つまり、あまりの消耗で、しかも給油が切れた状態を繰り返したのでしょうか?
四苦八苦しながらもやっと1/200〜1/25までは安定して使える状態にまで回復させたので良しとします。
1/10〜1/1までは不安定ですがスローは使わないことで諦めることにしました。

この通り普通のプロンターシャッターです。

このシャッターは恐ろしく使い込まれていてガタガタでしたので同じ規格{00番」の予備シャッターと
交換しようかとも思いましたが残念なことにことごとく後玉のネジ径が違っていて使うことが出来ませんでした。
それで1/25〜1/250までの4段を使うことでお茶を濁すことにしました。


依頼主とも相談してシャッター交換を試みてみましたが
この予備のシャッター全てが適合しませんでした。残念。


レンズボードは4本の真鍮サポートでフィルム室から外せますが1本がなくなっており
その部分には光線漏れを防止する目隠しが貼ってありました。


シャッターボタンの動作をシャッターユニットに伝えるアーム、ピンが下にぶら下がっています。


この写真では上に持ち上がっていますね。このピンのカシメがガタガタになり先端の細くなったところも曲がっています。
それでシャッターは押せないわけです、というより動かないシャッターを無理やり押し付けていたということでしょう。



この辺りの工作はなんだか銃器の部分品のような細やかさがあります。



小さな部品ですがカシメ直して先端をピアノ線を打ち込んで付け替えました、これでシャッターを押します。
右端に折れたピンを並べておいてあります。



軍艦部を取り外したところ

実は軍艦をはぐったところ中にわけのわからないスプリング類が詰め込んでありました。
おそらく修理不能で蓋をするときに分解した部品を一緒に封入したものと思います。
これは修理職人のひとつの良心の現れであろうかとも思いますが、折角だったら元の位置に返して欲しかったです。

ここに使われているスプリング類は実に妙な形状をしたものがいくつかあります。
平板のアーム類は平行移動とか2次元の動作をするだけではなく、上下の動作を助長したりなどと
3次元の働きをさせるために妙な形状を構成してあるのです。

そこでばらばらのスプリングが何処に使われるのか、一連の動作はどのように行われるのかの観察に
少々時間が掛りました、幸いスプリング類が欠品していなかったのですこしで整形するだけでOKとなりました。

上の写真はフィルム巻上げ前の状態です。
カウンターダイヤルの下の小さな円盤がフィルムのパーフォレーション爪で回転します。
するとスチールの横板を左に呼び寄せ連携した別の横板を斜めに動かすのでフィルムの巻上げが規制されて
一齣巻き止めとなります。



軍艦をはぐってフィルムカウンターを引き抜いたところ。
これはシャッターを押せる状態、巻き上げ完了です。
始めてみる構造でこの部分が油切れで固着したのもシャッターピンのガタを呼んだ原因のようです。



フィルムのパーフォレーション歯車の軸のカシメが
無理な操作でガタになっていたのでカシメ直します。



本体前面左下に黒いレバーがありそれを手前に引くと裏側がそっくり外れます。
フィルムのパーフォレーション検知の歯車は右手中央にあり、裏蓋で押さえつけて外れない仕組みです。



フィルムを入れたら圧版の部分をかちりと押さえつけ、さらに供給側の軸を押さえるレバーを倒します。



試写


開放f:2.9 フィルムはプレスト


f:4 早場米の刈り取りあとにまた出てきた稲、これはどうするのでしょうか?

モノクロは現像中に他の事で気を取られ攪拌をしなかった上に時間超過
超過時間はいかほどだったか不明、それで画質は少し悪いと思います。


ネガカラー編

f:5,6 フィルムはインプレッサ50(自家調薬現像)


f:4〜5.6辺り。捨てられた街灯


逆光で撮影したら見事に虹がかけてしまいました。



f:4 裏庭の琉球朝顔とダイダイ。

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