Marshal Press(マーシャルプレス)の蛇腹交換。
2003/11/8
マーシャルプレスはマミヤの創始者 間宮さんが晩年、別にマーシャルカメラという別会社を作って製作した
プレスカメラです。
このいきさつなどについては詳しくありませんので省略しますが、たしか600台ほどしか作られなかったという
希少なカメラです。
私の機体Noは6600560です。
また、105mm f:3.5の標準レンズにコンバージョンレンズを装着して135mm、150mmの3焦点を使うことが出来ます。
135mm(f:4.7)のコンバージョンレンズはNo135091
150mm(f:5.6)のコンバージョンレンズはNo150148
ニコンが間宮さんにこの一連のレンズを供給したのも不思議ではあります。
マミヤ光機とニコンの間で業務取引が親密に行われていたのは確かなようです。
このコンバージョンレンズに対応するズーム・レンジファインダーはちゃんと3つの焦点域でそれぞれパララックス補正まで
やってのけています。
フイルムは120、220ですがフイルム面に1枚撮り装置も考案されていたようです。
現実に1枚撮り装置が発売されたとは聞いていません。
さて、蛇腹が痛んできたので作りかえることにしましたが、蛇腹を取り出すために殆ど解体しないと取り出せないと分かり結構大仕事になりました。
間宮さんは商品作りから一歩はなれて、自分の趣味、アイデアの集積をこのカメラに求めていたのではないかとばらしながらいろいろなところの構造に感心したり、笑ったりでした。
1 右側のトレーのサイズはちょうどA4程度ですから図体の大きさが判ると思います。
2 左後方からみたところ、ラダーチェーンを多用しています。
蛇腹の前後移動でズームファインダーを回転させています。
3 右後方から、こちらのラダーチェーンは距離計の3つの焦点域でのカムの駆動と
パララックス補正をします。
少し変形の真鍮円盤が距離計カムです(この1回転で3種のレンジあわせをしています)
4 右側面、ダイアルに刻まれた3焦点の距離指標。
ウオームギヤとかラダーチェーンとか普通のカメラではあまり使われない機構部品が多いですね。
そういえば、ネジ類も2mmとか3mmなどのカメラではあまり使わないサイズが多いです。
5 内部の遮光BOXを外すには丈夫の距離計ベッドと、底板を外さなければなりません。
引き抜いた状態で、再度距離計ベッドを仮に載せています。
シャッターレリーズの機構はほとんどBOXを1周してラダーチェーンで引っ張られます。
6 前板も外しました、これでやっと蛇腹が取り外せます。
7 右がオリジナルの蛇腹を畳んで横から見た厚さです。材質は紙のレザーであまり良くないです。
左は新しく作った物で、本物のヤンピーを使っています。
オリジナルはコーナーの厚さと中央部の厚さが違いますね。
同じ紙を折り曲げただけで作るのでコーナー部の厚さはおよそ倍になるわけです。
僕の作り方は矢紙を平行部に入れてコーナーはヤンピーだけにしていますので
ヤンピーの厚さ0.2mm×36=9mm(矢紙の厚さは0.25mm)
オリジナルは0.2mmの素材だけで作られていますが、おそらく専用の機械で一度に作るのでしょうね。
私たちは一品ごとの手作りですから状況に応じて手法も変わります。
光線漏れとピントの試験 早速テストします。
コンバージョンレンズなので焦点距離が伸びるとその分暗くなります。
105mm=f:3.5
135mm=f:4.7
150mm=f:5.6ですから同じ場所から写した写真のA,B,Cですが後方のボケ具合は絞り開放でもそれぞれ絞り値が違うことを勘案してください。
A 105mm 標準f:3.5 (開放)・・・A、B、Cは同じ位置から撮影しています。
B 135mm f:4.7 をつけて(開放)
C 150mm f:5.6(開放)
今度は3焦点とも f:8で撮影しています(D、E、F、)
D 135mm f:8
E 135mm f:8
F 150mm f:8