蛇腹修復その2

その1では液体ゴムと炭酸カルシューム(シッカロール)でのポッティング補修をお知らせしましたが
穴が大きかったり穴の数が多いとうまくいかなくなってきます。
次に現れる症状で多いのがコーナー部のピンホールというか破れですね。
見栄えがいいように裏からパーマセルテープなどを貼るとカサが増して畳めなくなったり
元々裏側には糊が付き難いので後ではがれたりします。

すこし本格的になりますがヤンピー(子羊の皮公称0.4mm-ハンドバックの裏側に使ったりする素材)
を使って作業する方法をお知らせします。

ベビーイコンタのジャンクがありましたのでそれをドナーにして作業してみます。

今回使ったヤンピーはチョコレート色です。当然黒の素材も持っていますが判りやすいようにこの色にしました。
このチョコレート色も完全に遮光してくれます(電球などにかざしてピンホールがないか先に確認をします)


レンズを取り外した蛇腹部分。
レンズボードはタスキ金具をすこし緩めると180度廻りますのでこの写真では反転させるとすこし作業性がよくなります。
電球などにかざしてピンホールの場所を確認しておきます。


これがヤンピーです。紙よりうすい手触りですが遮光性は抜群。


ヤンピーを切り出しますがこの例では15mm幅にしました。
長さは蛇腹を引伸ばして5cmぐらいですからそれよりも2〜3cm長く切り出します。
少なくとも2c以上余計な長さが必要です!!


裏側に木工ボンドをたっぷりと塗り広げます。


蛇腹の一番奥までピンセットや爪楊枝、橋などを使って押し込みます。
先ずは慌てずに奥でしっかりと位置決めしてください!!


奥の位置決めが終わったら手前側まで蛇腹を伸ばしながら貼り進めます。
裏側から指を差し込んであてがいます。
ピンセットなどは新しいピンホールを作らないように気をつけてください。


これはわざと木工ボンドを表にもくっつけています。
これで作業を進めても何も心配はありません。
完全に貼り終わったら濡れた木綿の布で拭き取ればきれいになります。
多分、1時間ぐらいは拭き取れると思いますがどうせ数分で作業は終わるでしょうから
終わり次第速やかにはみ出したボンドは拭き取ってください。


前縁に掛った皮はコーナーに切れ目を入れて畳み込むように折り曲げ余分なところはあとで切り取ります。


片側の作業が終わりましたので蛇腹を畳んだり伸ばしたりして不具合を調べます。


わざとチョコレート色で作業しましたのでバランスをとるために左右貼りました。
蛇腹の下側のコーナーは金具などが邪魔してあまり手を触れないので意外と破れが少ないですね。



これで左右の補修作業が完了です。
なお、平行な場所での折り目の光線漏れもこの要領で自転車のパンク修理と同じ理屈で
4つのコーナーをすこし丸めて木工ボンドで貼ります。

最後にヤンピーは皮工芸クラフトの店などで0.4mmのものを販売していますが
1匹分で約3500円から4500円ぐらいで入手できます。
小分けはしないでしょうね。

でかくて古い不要な蛇腹を手に入れたらこれを水に漬けて2・30分置くと表の革だけを回収できます。
コーナーは多分駄目でしょうから4面をガラスなどに広げて乾燥させると最高の補修材になります。
カメラに使ってあるヤンピーはなんと0.25mmほどの薄さです。

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END