1SKRA2(NCKPA-Nは反転アルファベット?)イスクラ2のレストアと試写



旧ソ連のカメラで66サイズの連動距離計・露出計内臓の非常に数少ない生産量の希少なカメラのようです。
イスクラ2に対してイスクラは露出計を内蔵していません、
こちらも生産期間が1960年から1963年までで生産台数は4万台以内だそうです。
私の手元に来たこのイスクラ2は1964年製で1193台目のようでありますね。
さて、外観はあっと驚くほど堂々とでかいのですが作りはものすごくしっかりしています。
ツァイスのイコンタなどよりもさらに精密度が感じさせられる、目から鱗のカメラなんですね、これが・・・

歴史を振り返ってみるとこの時代ソ連は有人宇宙飛行に成功し、
アメリカはベトナムを攻撃開始し、日本では岸内閣や池田隼人内閣の成立時代です。
もしかすると国家栄誉賞(そんなものがソ連にあったとは知りませんが)に値するような人に
勲章とともに副賞であげるために作ったのかなァ・・・などと勝手な想像をしてしまいます。


正面
距離計窓の中央の格子窓がセレン露出計の窓です。




ウラ蓋は取り外し式なのです。
フィルムの押さえ金具をご覧ください、鍔を押さえるイタバネが上下に走り、フィルムを押さえる金具が横に出ています。
この材質と仕上げの工作ががすばらしいです。
底に平べったい摘みがあってこれを90度するりと回すとフィルムの押さえと挿入ができます。
向かって左下の摘みが閉めこんだ状態、右が緩めた状態です。




右上が1SKRA2(ISKRAではなく数字の1で始まります)
左はチェコのミローナ・下側はドイツのペルケオ2、いずれも66サイズのカメラですがでかいですね。


レストア依頼を受けた箇所はヘリコイドが重たいのと距離計がずれているということでした。
さっそくヘリコイド部を分解してみます。
上のBACKを写した写真にあるレンズの周りの4個のビスを緩めると蛇腹部分とレンズユニットが分離します。
普通ですとここはレンズの回りのリングを外すことになりますが、この方式は非常に明快でメンテナンス性に優れています。


タスキ金具を少し緩めてレンズブロックを傾けるとこの通りくるりと90度回転します。



レンズは全群移動式でレンズとヘリコイドの間は左側のリングで止めてあります。



上の写真でボデー側に残っているアルミニュームのリングは赤ペイントロックされてとめてありますが
この裏にヘリコイドを回す薄いリングがあります。
ヘリコイドもこのリングの擦動部も軽く動き、オイルが差してありましたが
(2002年に日本の、とある修理店で修理をしたと誇らしげなサインがありました。)
ヘリコイドを動かしてみると柔らかだったり渋くなったりと不安定です。

そこで油をふき取りグリースを差すことにしました。
つまり油膜が薄く、ガタがある構造なのでどちらかの壁にぶつかってはギクシャクするようです。
そこでグリースにすると急には動きませんが穏やかな動きには追従すると思ったからです。

ところで写真右上側、リングの外周に白い突起が見えますか?
この大変控えめな金具がヘリコイドを回すための突起なのです。

パールなどのヘリコイドの硬さを見てもグリースを差したこのイスクラとほとんど変わりません。


この通り、パールはしっかりと指がかかる仕掛けです。
ほかには文句のつけようがないのにこの部分の工作は「どうしました?」と聞きたくなるところですね。


シャッターは最高1/500ライトバリュー式ですが前のリングを引っ張って設定換えする使いやすいやり方で確実です。




セレン式露出計でライトバリュー表示です。



フィルムは自動巻き止め、黒いボタンがシャッターボタンでこれは後付けかもしれません、中にレリーズ穴があります。
もうひとつケチを付けたくなりました。
シャッターボタンの左側のボタンが前蓋開放のボタンですがこれを押すとまさに瞬時に「パチーン」と派手に立ちあがります。
必ず前蓋に手を添えておかないとエライことです。



露出計も整備しよう
どうせたいした精度は望めないからと気にもしていませんでしたがせっかくここまで整備したのでついでに・・・


軍艦を外したところです。左側黒いのがメーターです。



メータの右下のグリーンの小さな部品が直列抵抗です。
外してみると10kΩとなっていますが・・・
なんと測定してみると20kΩほどに経年変化?
電気屋を半世紀もやったので使った抵抗の数はおそらく数万個になると思いますが。
こんなに怪しい抵抗値に出会ったことは記憶にないですね。
で、正直に10kΩの抵抗に入れ替えたらドンぴしゃり!つまりセレンはまったく劣化していませんでした。


右側のメカニズムが自動巻き止め機構です。
この部分はKIEV6とそっくりですね。KIEVは同じソ連の「Arsenal」が製造したようですが同じ国家工場ですから問題なしですね。
素材もしっかりしていて問題はなしといったところです。



距離計の調整も終わりましたのでさっそく試写してみました。

フィルムはAPX100 D76自家調合、うなぎのたれ方式。



データは 開放f/3.5  シャッター1/4  手持ち(肘で固定)



突然でかいのが出てすみません。
撮影データはバナナと同じ



花を付けた柿の木、二階のベランダ越しに・・・秋にはベランダから収穫します。
f/5.6 1/500




これはf:11 1/250です。

END

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