IKOFLEXの整備

  


 ツアイスイコンのイコフレックスは1934年から変化しながら10回以上モデルチェンジを続けて行ったようです。

 ジャカルタの友人から拝領した(私は頂いたものと確信していますがもしかすると修理依頼だったかも・・・)
機種はIKOFLEX 1C(886/16)c1956-60 と思われます。

 フイルムはスタートマーク合わせで、あとはオートストップですがシャッターのチャージは単独で行います。
ユニークと言えばセレンメーター内蔵でファインダー上部の視野の中にライトバリューと思われる数値で表示されます。
残念なことにこの数値を距離繰り出しダイヤルの中央にある換算表にしたがって
自分でシャッターと絞りをセットしてやらないといけません。

 ここいらは先の老舗ローライも同じく横の指針に追針式で追いかけねばならないので五十歩百歩と言えなくもありませんが
ローライがファインダー内追針式の機構を作っていたらさらに使いやすかったことでしょう。
いずれにしてもツアイスは最後までローライには及ばなかったようです。

 調べて見ますとレンズに拭き傷、コーティングの剥がれ、白濁などがあるので研磨するにしても3面処置をしないといけない
と言うことが解りました。
素人作業で精度が出るはずもありませんのでなにか移植する材料はないかと探していたら・・・

 このカメラに付けて決してひけを取らないどころかその上まで行ってもおかしくないレンズが見当たりました。
小西六のセミパールW型に付いているHexar 1:3.5 f=75mmです。
セミパールU型のHexarならボデーが少し不具合なので丁度いいかと思ったのですが開放f値が1:4,5で絞りダイヤルの
読み違いが出そうで現役のW型から暫く借用と云うことに致しました。


カール・ツアイスと小西六の合体カメラ?


セレン・メーターがかろうじて動く程度の劣化状態です。
螺旋の線が見える中央の円柱がメーターの電流制限抵抗で10KΩ となっていますが
経年変化で12,5kΩに変化していました。
しかし、原因はそこではなくセレンの陽極(基板側)の半田付け不良でした。


 左の格子が受光側の整流窓で切り抜かれた格子の横面は黒く塗りつぶして正面からの光を
受光するように努力しています。
後の物は半円形の小レンズをたくさん配置して正面からの光だけを受光するように改善されていますね。
 右の絶縁クロスを背中に貼ってあるのがセレンの後面です。
上の方の一部の樹脂を剥ぎ取って細い導線の、所謂口出し線を引き出します。
セレンは高温に弱いので低温半田で手際よく作業しないといけませんが、弱電屋の私も低温半田には
最近縁がありませんので普通の半田で迅速に作業をしてすぐに水冷して冷却を早くしました。


校正の結果抵抗器は6,8kΩで良かったので交換しました。
今の部品は恐ろしく小さいですが性能は完璧です。


蓋を閉じる前に内部を見て見ますとミラーもしっかりしています。
作りは非常に精密な感じがします。


 これがファインダーです。
フレネルを使って明るいファインダーですね。メーターの指示はこのように、いま12と出ています。
これを左の距離操出しつまみの中にある換算表に移し変えます。
 最高感度はASA320までとなっていますので320=ASA400、80=100として使えるように先の露出計の
校正を行いました。


ヘキサーのフランジバックが少し短かったので上下の誤差を補正しないといけなくなりましたが
ビューレンズ側で自由に調整できます。
そのままでは調整シロを外れていても押しネジがついた、内外にネジを切ったリングのエッジで本体とロックしますので
適当に押しネジを緩めて(写真では右に移動)本体にねじ込みます。
調整位置に来たらその外側のメッキされた鍔のあるリングを使ってロックするだけです。


試写
 とりあえず、本当にとりあえずの試写です。写りの悪いのは大目に見てください。

拭き傷が正面にかなりありますので裸電球を正面にすると辛いです。



手前の方の頭部には完全にハレーションが起きています。
この2枚は開放1;3,5 シャッター速度1/60です。(ASA400)


蝶はメーターの指示に従ってf:8 1/300としましたが露出オーバーですね。
これはシャッター速度が1/300 出ていないためだと思います。
再整備が必要です。

                                   END