巨大2眼レフ・ゴーランドGOWLANDFLEXの整備

エイトバイテンまで2眼レフで作ってしまうアメリカのメーカーゴーランド社のシノゴ2眼レフが当家に舞いこんで来ていましたが
あまりの重さとでかさにあきれてほったらかしが数ヶ月。

これを送り込んだクライアント様が業を煮やして「もう売り払おう」じゃないかだって・・・ワハハ

ヨッシャ、それならヤフオクで片付けようと、
自分の懐は痛まないから持ち主さんがアメリカから仕入れた価格よりずいぶん低いところから叩き売りだぁ。
UPしたとたん反応がありましたが、オイラの手違いでしくじって質問者様の個人情報が公開されそうになり慌てて出品取り消し。

このオークションに反応されたのが以前シノゴハンドカメラでメールをやり取りしたことのある方で写真家さんだった。
その後、やはりこのカメラを譲ってほしいとのご要望で新しいクライアント様用に特別整備?を施術することになりました。

まず、パララックス補正ファインダーを明るくするためにフレネルを入れましょうということになりましたが・・・
何せシノゴのレボルビングバック付き、しかもパララックス補正のためにファインダー・マスクは20mm近くも前後するのであります。
ですから、シノゴのフレネルじゃ縦は良くても横は駄目とか、最低でも5×5インチのフレネルが必要なのです。

その説明をすると「では5×7のフレネルを探しますと・・・
きっと相当高価なフレネルだと思うのでありますが、幸か不幸か今は5×7などは売れ行きが悪いらしくて
割とリーズナブルなお値段で入手されたとの事で当方に送付されてまいりました。


重量は4,5kg フードを含んだ背の丈は43cm
撮影レンズはラプター210mm、f/4.5  ビューレンズはクセナー210mm、f/4.5 シャッターはプレスシャッターALPHAX 1〜1/50
上の三角フードを外すと真上から覗けます。
三角フードを通して後ろから観察すると上下逆像になりますが大判をやっていると別に気になりません。




ピントグラスを外して中のミラーもホコリ落しをして中央の十文字の切り抜き窓がこの画面の状態ですと
20mmほども上下してレンズ間隔90mmほどもあるためのパララックスを補正してくれます。
この移動するプレート内部にフレネルを仕組んでみようということです。
フレネルは移動しますのですりガラスのピント面と接触すると傷がつきますので配慮が必要です。




取外しにかかったパララックス補正機構、ステンレスワイヤーでヘリコイドメカニズムと連結されています。




貴重なフレネル、傷を付けないようにカットするために保護幕を両面に張って養生します。
ほこりもフレネルに付けたくないので作業は慎重に進めます、工具はアクリルカッターです。




これはフレネルを挿入する前のピントグラスの様子。
中心部はまぁまぁ見えますが周辺を見るためには自分の頭を移動しないといけません。




フレネルを装着してみました。 はい、如何でしょうか、かなり明るく観察できるようになりました。
(上のノンフレネルと単純比較はできませんね、こちらのほうは少し暗い室内側に移動して撮影してしまったようです)



さて一段落しましたのでフィルム面とビューのピンと誤差を調整しようとどちらにもピントグラスをあてがって観察すると・・・
驚くべし、まったくピントがずれている・・・しかも6mmほども・・・
写真は誤差を補うためにビューレンズの後ろに最初入っていた紙のシムシートを撤去してマホガニーの板で6mmの敷物をかませ
初期の位置より5,7mmビューレンズを前進させることで解決しました。




ポラロイドでの試写
ナンバープレートの手前の縁にピントを合わせてみたものです。
f/11 1/50




遊びに来た孫たち、来るなりばぁばのパソコンでゲーム。
f:4.5開放、ストロボを天井にバウンスして1/50
フィルムはKODAK PLUS-X PAN(2004/01に期限切れ)



こちらは中学1年になった長男の方。
撮影条件は同じ。




上の画面の部分拡大。


END

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