形見分けのAires 35-III
元大学の教授(故人)が学生実験の記録用に私物を実験室に置いていたそうです。
時は流れその実験室も移転することになり整理中に出てきたカメラ、
その大学に勤めている義兄がこれを捨てるのは勿体無いし引き取り手もないので遊んでくれ
、と持ち込んできたのが表記のAires35ーIII です。
この教授とは私が26歳で自立開業し最初に手がけた大仕事の発注主でして、
実は外遊中の教授の許可を貰わないままの受注で(僕には責任無い話ですが)
えらい騒ぎになった経緯があります。
幸い納品も最後にはすんなりと片付いてめでたし目出度しになり、その後の私の仕事の方向付けがなされた意義深い仕事でした。
既に40年も昔の話です。
なんとその教授が1983年に教室に寄付をされたカメラが遠回りして到来したわけです。
シャッターが粘り、ファインダーが霞んで二重像が見えにくい、後玉にカビがちらほらといった状況でしたが
このカメラ、非常に簡潔に構成されています。
正面から
手前がアイレス35 III、奥はライカIII Fです。コーナーのプレスの絞り方がそっくりですね。
このあとライカはM3を発表したと思います。
アイレスも早速IIICを発表して角を丸めデザインをいただいております。
まだそれが許される時代だったのですね。
レンズを外すには前のフランジをゴム板に押し付けて回すとレンズの前群がすっぽり外れます(左側)。
そしてその右側のリングはあてがってあるだけなのですぐに取れます(シャッター設定リング)。
中身はセイコーシャMXですからお決まりの小さなストッパーをピンセットで180度回転させると
シャッターの元々の速度設定ダイヤルが取り外せますので給油と羽根油の除去をします。
ファインダーの調整のために軍艦を外します。
驚いたことに軍艦部のカバーをサイド(巻き上げ軸側)で1箇所固定。
あとは巻き上げ軸の化粧ネジ(右ネジ)写真右上を外して右側上から2番目の真鍮ネジ(右ネジ)を
カニ目回しかピンセットで外せばポロリと外れます。
巻き戻し軸(左側)は引き上げると横に長穴があって其処にネジが横から挿してありますので
これを外すと軸が引き抜け、その軸の座を固定しているナットをカニ目回しやラジオペンチで右回しに回すだけ。
これで軍艦はすっぽりと抜けます。
一見バルナックライカのF型などのようにエプロンがレンズ側に下がっていますがレンズには触ることなく抜けるのです。
ファインダーはハーフミラーを交換しないといけないのかと思っていたら丁寧にレンズ、ガラス類を拭いたらすっきりとなりました。
ファインダー中央に斜めに差し込んであるブライトフレームの反射ミラーの接着がダメになったいましたので
ここはエポキシなどですと僅かな収縮ひずみで乾燥後狂いが出たりしますので今回はコニシ株式会社
ボンド ウルトラ多用途SUを使いました、4分ほどで硬化が始まります。
強度はシリコーンなどと同じ程度でしょう、さほど強くありませんがセメダイン鰍フSUPER Xに比べると
初期硬化開始速度が格段に早いので作業性はいいです。
これでパララックス補正があれば云うこと無しなのです。
なぜならばなんとこのカメラ距離計連動で50cmにまで追従します。
まさにマクロ機能付ですが50cmでのパララックスは物凄いものであります。
後玉の軽微なカビはオキシドールで綺麗に跡形もなくなりました。
最短50cm この葉っぱは深い紫色の変わった色です。
フィルムはラッキーASA100
f:8 1/50
約1mはなれて 黄色彼岸花
f:4 1/50
50cm スズメバチぐらいの虫。目にも止まらぬ高速で羽根を動かしています。
空中でホバリングし3cmほどのきらりと光る吸管?を花に差し込んで蜜を吸っていました。
一瞬の早業なのでピントもずれていますが・・・
f:4 1/100だったか?
蛇口
f:4ぐらいだったかな?
車の助手席側から隣の中古車屋の旦那
f:4ぐらいだった
逆光だったので運転席側から
f:8ぐらいだったかな?
TOP
END